398 / 1,167
四章『トマト編』
第398話 モンスターパニック3
しおりを挟む聖騎士たちが魔法で迎撃しようとしている。
それはまずい! 俺は叫んだ。
「ニードルハックはクリスの魔法反射能力を持っている! 魔法は効かないぞ!」
聖騎士たちは慌てて詠唱を中断する。周りにも伝えてくれている。
「勇者様! しかしこのままでは!」
そう、このままでは押しつぶされてしまう。
オショーが俺の前を走りすぎる。遅れて風が吹く。
「私が戦いますぞ。他のものは本体から剥がれ落ちた魔物を仕留めて回ってくだされ!」
「はっ!!」
聖騎士たちが散開する。
オショーといえど、カマさんのスキルが使えないとなると戦いようがないんじゃ?
その間にもニードルハックが迫る。
オショーが人間離れした跳躍を見せる。背の高い木々よりもさらに高いジャンプだ。
たぶん足元に風を発生させて跳躍力を強化しているのだろう。マントがたなびいている。もしかしたら飛べるのかもしれない。
ニードルハックは右手を広げて俺たちを押し潰そうとする。
「勇者様! そのまま進んでくだされ!」
オショーの自信に満ちた言葉に、俺は魔法を使わないことを決める。
「アイナ! 全速力だ!」
「はい!」
俺はバンズのクラウン部分を動かしてオショーを見る。
オショーが雄叫びをあげた。
「うおおーーッ!!」
オショーの振り上げたカマさんがニードルハックの腕に激突する。
ニードルハックの手のひらの魔物が吹き飛ばされる。
その衝撃で元の位置に押し戻すことができた。かなりの力だ!
「やるにゃ! あのおじいちゃん」
「ああ、俺たちも負けてられないな」
「エリー降ってくる」
ジゼルの言う通り、吹き飛んだ魔物の一部は無傷のまま降ってくる。
「ジゼル!」
「君(グッド)に幸(スピード)あれ!」
ジゼルの持つ最高の全能力上昇魔法だ。かけられたエリノアが落ちた魔物たちに疾風のごとく襲いかかる。
「にゃあ!」
魔物たちが体勢を立て直す前に首を跳ねていく。
しかし周りにも次々に落ちてくる。
周囲の聖騎士たちが叫んだ。
「ここは我々にお任せを!」
聖騎士たちが道を阻む魔物を押し出していく。
「すまない! ジゼルとエリノアはここで彼らを援護してやってくれ!」
「オーライ!」
「残ったものは俺とアイナに続け!」
「おおーー!!」
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
あなたを、守りたかった
かぜかおる
ファンタジー
アンジェリカは公爵家の娘、隣国の第二王子ローランドと結婚して、この国の王妃になる予定である。
今、公爵家では結婚直前の披露パーティーが行われていた。
しかし、婚約者のローランドが迎えにこない!
ひとまずパーティー会場に一人で向かうもののそこにいたのは・・・
スカッとザマァではない
4話目の最後らへんで微グロ注意。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
さよなら 大好きな人
小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。
政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。
彼にふさわしい女性になるために努力するほど。
しかし、アーリアのそんな気持ちは、
ある日、第2王子によって踏み躙られることになる……
※本編は悲恋です。
※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。
※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる