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四章『トマト編』
第389話 伝説の剣を抱いて12
しおりを挟むなるたる戦闘センスだ。俺は吹き飛びつつも、空中で体勢を立て直す。
ニードルハックの左腕から棘が生える。凄まじい再生スピードだ。
「スカリーチェ無事か?」
我ながら敵の心配をしている場合ではないと思うが、いまは違う気がするからこれはノーカンだ!
「なにがっスか?」
スカリーチェはニヤニヤと片手を振る。その手の指の隙間にはニードルハックが飛ばした棘が挟まれている。
「心配して損した」
「え? 私を心配してくれたんスか?」
「そんなんじゃない!」
「クスクス」
くっ! ホント調子狂う!
惑わされるな俺! アイナに早く会いたい!
俺は迷いを振り切り、ニードルハックと睨み合いをする。
今まで戦った中でも透明龍(インビジブルドラゴン)に匹敵する強さだろう。
あの時は皆の協力があってかろうじて勝てた。
たが今の俺には、その頼れる仲間はいない。
否。ある。伝説の剣、Mソード。
このMソードに秘められた魔法を使えば・・・・・・。
激しく動けばそれだけ魔力を消費する。もはやトマトは絞りカスしか残ってはいない。
Mソードの解析説明には時間経過で再使用可能と言っていた。
つまりこのMソードは単体で魔力を作り出しているということになる。
現在魔力がどれだけ増えているかはわからない。増えている感じはしない。こうして動いていると、消費するペースのほうが早いのかもしれない。
やはりパテがほしい。パテは最大効率の魔力タンクなんだ。
「よし。一か八か。やってやる!」
俺の気配の変化を感じ取ったのか。ニードルハックが構え直す。
勇者斬(ブレイヴスルー)と言ったな。斬撃なのは間違いないが、斬撃(スラッシュ)とどう違うのだろうか?
く、迷うな!
本能の赴くまま。ハンバーガーの本懐が示す道を進むだけだ!
やるなら至近距離。そう告げている! 何かが!
俺は一直線にニードルハックに跳ね寄る。
ニードルハックは右腕を俺に突き出す。
「棘散弾砲(ニードルショットキャノン)」
棘が散弾銃のように俺に向かって飛んでくる。
俺は動体視力でそれらの位置を確認。ギリギリで回避し、邪魔な棘はMソードで弾いた。
「棘槍(ニードルランス)」
ニードルハックの背中の棘が一本だけ異様に伸びる。それがパキッと外れて、槍の形状になる。
多分あれに刺されても支配される。ま、当たれば粉微塵だろうがな!
ニードルハックの鋭い突きをMソードで受ける。Mソードの腹の部分に当たり火花が散る。
よし十分に近づいた!
「『勇者斬(ブレイヴスルー)』」
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