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四章『トマト編』
第378話 伝説の剣を抱いて1
しおりを挟む「ぐ・・・・・・ここは」
意識を取り戻す。
この感覚、ハンバーガーの体だ。つまりここは異世界、だが、前にいた風景とはだいぶ変わっていた。
「暗い・・・・・・何も見えないぞ」
動くことができるから埋まっているわけではないな。
とりあえず具材を確認する。
「スーちゃんの前髪の破片が少しだけか・・・・・・まずいな」
女神のところに行ったということは俺に刻まれた魔法陣が傷ついたということだ。その回復にスーちゃんの前髪の魔力を使ったのだろう。起きるのがもう少し遅ければどうなっていたか・・・・・・。
俺の体は暗くて確認できないが、動かした感じ五体満足(手足ないけど)だ。
「たしかニードルハックの棘を植え付けられた魔物が魔法反射能力を持ったクリスに向かって魔法を放ったんだよな」
そしてその爆発に巻き込まれた俺は意識を失った。
他の人たちは大丈夫なのだろうか。
「おーい!! 誰かいないかー!!」
ダメだ、俺の声が反響するだけだ。くそ! まだ戦闘が続いているかもしれないってのに・・・・・・ニードルハックもあの近くにいるはずなんだ。
魔人が3頭、聖騎士大隊長のオショーがいるとはいえ、かなり危険な状態だ。
「ここから出ないと」
空が見えないってことは、ここは地下なのだろうな。
ならば上に進めば出られるはず・・・・・・っていってもなぁ。
具材の残りも少ない。まずは具材を確保しなければ。
そもそもここはただの空洞で出口なんてないのかもしれない。
魔力供給するための具材だってない可能性のほうが高い。
どうすれば・・・・・・。
俺は女神の言葉を思い出す。
『ハンバーガーの本懐を忘れるな』・・・・・・か。これは助言か、それともただの戯れ言か。
やることもない。己の中に眠るハンバーガーの声でも聞いてみるか。
俺は目を閉じて内側に意識を向けていく。
懐かしいな。筋トレ後期はこうやって坐禅に時間を費やしたもんだ。アニメ見ながら。
筋肉との対話に成功した経験上。ハンバーガーもきっと俺に答えてくれるはずだ。
む、声は聞こえなかったが、何やら気になってきたな。
ビビビっときた、なんだ? 向こうからだ。
俺は開眼して、気配のするほうに這いずる。
行き止まりではないらしいな。
しばらく進むと光が見えてくる。気配が強くなっている。
一体何が・・・・・・。
道を曲がると、光の正体がわかる。一部の岩が光っている。
視界を取り戻して分かったことがある、この空洞はかなり広い洞窟だ。
む、気配はさらに奥のほうからだな。
俺は岩を跳ねて登る。少し高い場所に『それ』はあった。
「トマトだ!」
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