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四章『トマト編』

第374話 怪物の眠る森23

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「2手に別れるぞ」
「私はここからカマさんのスキルで同時に援護しましょう」

 となると、俺たちの相手はエリノアに近いリーチだな。

「わかった! 俺たち勇者パーティはリーチの相手をする」

 俺の言葉を聞いた聖騎士たちがクリスを取り囲む。
 シャニーはまだオショーのところだ。

「人、人、今日はごちそうなのれす」
「にゃあ!!」

 エリノアは即座に抜刀、リーチのぶよぶよの腹に無慈悲な斬撃を繰り出す。

 エリノアの繰り出した斬撃はリーチに命中、そのぶくぶくに太った腹部を大きく切り裂く。

「いたいれす!」
「にゃ!?」

 リーチの腹部から大量の血液が噴出する。エリノアは大きく飛び退く。

「汚(きたにゃ)いにゃあ」
「ひどいれす」

 リーチの傷がみるみる塞がっていく。

「高速再生能力だにゃ。ジゼル!」
「オーケー。氷突風(アイスブラスト)!」

 エリノアが横に飛んだ直後、ジゼルの魔法がリーチを襲う。
 凍えた風を吹き付ける魔法か。リーチの体が凍りつく。

「さむいのれす」

 堪えてるようには見えないが動きが鈍くなっている。

「アイナ」
「はい!」
「射れ」

 アイナの矢継ぎ早に放った2本の矢がリーチの両目に突き刺さる。

「ぬああああ!」

 リーチは目を抑えて悶え苦しむ。チャンスだ。エリノアが切りかかる。リーチの窄んだ口元が歪むのが見えた。

「分離(セパレーション)」

 エリノアの攻撃がまだ命中していないのにも関わらずリーチの体が弾ける。まさか!

「こいつ! 群れてるのか!」

 リーチの正体、それは小さな蛭が集まった群れだったのだ!

 蛭の群れがエリノアを襲う。

「『旋風』!」

 エリノアを守るように風が渦巻く。蛭を切り刻む。
 蛭が集まりリーチの上半身が形作られる。

「いだだ。今のはなんでふか?」

 リーチは怪訝そうに距離を取っている。
 オショーの援護だ。


 背後から金属音がする戦闘音だ。

 俺はクラウンの部分のみを回して背後を確認する。
 聖騎士が隊を組み、二重にクリスを囲んでいる。

 前衛が剣を振り下ろす。クリスはそれを受けようともしない。硬い金属音を、響かせるのみで、全く切れていない。

「勇者様と比べるのは可愛そうですが、些か情けないですぞ! 武器に性付加魔法(エンチャントマジック)を使いなさい!」
「はっ!」

 聖騎士たちは剣の刃の部分に手を当ててそれぞれ魔法を唱える。

 燃えたり、水を纏ったり、電流が流れてたりと、相手の苦手とする属性が分からない以上、被らないように配慮しているのだろう。

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