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四章『トマト編』
第371話 怪物の眠る森20
しおりを挟む怪物の眠る森に入って10日。延々と続く森の風景に変化が起きる。
「山ですね」
斜面が行く手を阻む。オショーが前に出る。
「ふむ。視界が悪い、突風!」
オショーの掲げたカマさんから風が発生する。
木々をなぎ倒して広場を作る。
「たしかにこれは山ですな」
「こんなところに山なんてあったのか」
「どうでしょう、100年前の情報はほとんどないので」
「何かあるよな?」
「でしょうな。ここにキャンプを作りましょう」
そう話していると聖騎士たちの隊列が騒がしくなる。
「どうされました?」」
俺たちが騒ぎの場所に駆け寄る。聖騎士の一人がバカ笑いをしていた。
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「どうされた! 気をしっかり持ってくだされ!」
オショーの呼びかけにも応じずに聖騎士は笑い続ける。
ジゼルが聖騎士に近づく。
「何かに掛かっている」
「何か? 魔法ですかな?」
「わからない。幻覚あるは精神異常を起こす魔法」
「魔物の仕業か? ですがここは隊の中心、魔物などどこにもーー」
オショーの言葉を遮るように別の場所からも叫び声が聞こえる。
「ぎゃあああああああ!! いっああああああああああああ!!」
「向こうからもですな。今度は叫び声が」
それを皮切りに次々と聖騎士たちが発狂していく。
それを聞いたジゼルが叫んだ。
「ここは危険! 何らかの魔力異常が起きている!」
「わかりました! 総員退避! 後退してください!」
オショーの指示で隊は山から1キロほど下がる。
下がった途端に発狂する者は出なくなった。
だが、発狂したものは意識混濁したままだ。
「私が見てくる」
そう言ってジゼルが発狂者たちのところに駆けて行く。
当然のようにエリノアもついて行った。
「これはどういうことなんだ?」
「さぁ、私もこんなことは初めてですなぁ」
「あの山に近づくと何か精神異常が引き起こされるってことか」
「ですな。現在発狂したのは精神的な面、つまり魔力が少ない聖騎士たちでした」
「・・・・・・あの山に入るか」
「それしかありませんな。確実に何かがありますぞ」
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