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四章『トマト編』

第368話 怪物の眠る森17

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「・・・・・・なるほど。傷を負うほどに力を増すのか」

 ニードルハックがここにきてダメージらしいダメージを受ける。

「面倒だが仕方あるまい。俺もスキルを使わせてもらおう」
「にゃに?」

 そう言ったニードルハックに変化はない。

「はっ、虚仮威しにゃんてミーには効かにゃいよ」
「そろそろ聞こえるころだろう」

 エリノアが耳を動かす。その表情に焦りが見える。

「バーガー!! 魔物の群れが迫ってきているよ!!」
「なんだと!!」

 エリノアが叫んだあと、森の奥から数えきれないほどの咆哮が聞こえる。

「これがお前のスキルか!?」
「そんなところだ。まだ逃げる俺の相手をするか?」
「くっ!」

 エリノアは俺たちのところに戻ってくる。ジゼルがすかさず治癒魔法をかける。


「ごめんバーガー、逃がしちゃった」
「仕方がない、それに奴のスキルとはなんなんだ?」
「わからにゃい。ただモンスターの群れがもう少しで来るよ」
「迎え撃つか。オショー、どうする?」
「無論。引き返すわけにも行きますまい。全兵力を持ってして迎え撃ちますぞ!」
「わかった!」
「勇者様たちは安全なところに・・・・・・と言いたいところですが、お力をお借りしてもよろしいか?」
「もちろんだ。俺の戦いをまだ見せてはいなかったな!」
「勇者様の戦いが見られるとは、長生きはするものですな・・・・・・来ますぞッ!」
「おお!!」

 茂みから現れたのは多種多様な魔物たちだ。
 勢いよく飛び出しては俺たちに襲いかかってくる。

 俺とアイナのところに来るのは銀色狼(シルバーウルフ)の群れだ。一体ではBクラス中位の魔物だ。だが群れている場合はBクラスでも上位に入る。

「射ますか?」
「頼む!」
「はい!」

 アイナが次々と銀色狼(シルバーウルフ)を射殺していく。

 しかし数が数だ。1頭が抜けてくる。それでもアイナが対応しようとする。

「俺がやる」
「お願いします!」

 アイナは視線を遠くに戻し次々に矢を射る。信頼されてんなぁ。負けられんな!

 俺はアイナの肩から降りて全力で跳ねる。
 銀色狼(シルバーウルフ)の目前で魔法を発動する。

「『火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)』」

 銀色狼(シルバーウルフ)が木っ端微塵に吹き飛ぶ。後方にいた銀色狼(シルバーウルフ)も巻き込んで木々を薙ぎ倒す。

 それを見ていたオショーが驚きの声をあげた。

「なんと! その魔法も使えるのですか!?」
「ああ、まぁ挟んでいたのは火炎草なんだがな」

 俺は萎びた火炎草を吐き出しながらそう言った。



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