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四章『トマト編』

第362話 怪物の眠る森11

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「バーガー、それはあんまり言いふらさにゃいほうがよくにゃい?」
「背に腹は変えられん。伝説を手にするならこれくらいやらないとな」
「わかったよ」
「ごほん。冒険者諸君、伝説の剣とやらはしっているか?」

 冒険者たちは一同に首を横に振る。そう誰も知らないだろう。
 しかし、その名の響きは冒険者たちの興味を引きつけるには十分なようだ。

「王さまがそう呼ぶものが確かに存在する。伝説の剣つまり伝説の盾と同等の代物がここに存在するのだ!」

 冒険者たちは身を乗り出してくる。いいぞ。

「君たちが人生の分岐点で聖騎士を選ばずに冒険者になったのはロマンを求めていたからではないのか!? それがいつからか、生き残ることに必死になって旨い依頼をこなす日々になっていた。違うか? 薄々嫌気がさしていたのではないか?」

「今回だってそうだ。魔人が出る前は『こんなチョロい仕事ほかにはにゃいぜ』と内心思っていたのではないか?」
「にゃんで口調がミーにゃんだよ」
「確かに残れば死ぬかもしれない。だが君たちが冒険者になった時あったはずだ。命をかけてもやりたいことが、確かにあったはずだ!」

 静まり返る食堂。
 ダメか。それもそうか、俺もなんだかんだ言って安全な部屋に長年引きこもっていたニートだ。ジゼルの真似をしてみたがそう上手くはいかないか。

 奥にいたリーダー格の冒険者が前に出てくる。その顔は険しいものだ。

「私が子供の時、親に読み聞かせてもらった童話がある」

 何の話だ?

「その童話には勇者がよく登場してな。人々を苦しめる魔物や魔人を次々に倒していった」

 童話の勇者? サガオの言っていた童話と同じものか?

「俺もそうなろうと思い剣を振るってきた。野蛮な貴族に喧嘩をふっかけて聖騎士への道こそ絶たれたが、それでも冒険者となり率先して危険な任務をこなしてきたつもりだ」

 ちょっと言いすぎたかな?

「それを理解してもらった上で、勇者様の言うことも一理ある。その伝説の剣。本当にあるのか?」
「あるという噂だけで俺はここまで来たぞ?」
「ふっ!  愚問だったな。しかし私もパーティメンバーの命、延いては私を含め57名の命を預かる身だ。独断では決めかねる。検討させてくれ」
「分かった、感謝する」

 冒険者たちの目を見る。
 俺は確信してその場を後にした。

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