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四章『トマト編』

第358話 怪物の眠る森7

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「ギャアアアア!!」

 悲鳴だ。激痛に襲われた者のリアクションだ。


 チーターズの鋭い爪はオショーには届かなかった。
 それどころか、チーターズの突き出した腕が空高くに切り飛ばされている。

「お、俺の腕がぁッ!!」
「カマさんのスキル。旋風(ツムジカゼ)。設置型のトラップスキルですぞ」
「クソッ!!」

 チーターズは右腕の切断面を左手で強く抑えて後方へ退く。
 今度はオショーもチーターズに詰め寄る。

 圧倒的だ、俺たちが加勢に入るまでもない。

「バーガー様、射ますか?」
「まだ様子を見よう。下手をすれば戦いの邪魔になり兼ねない」
「わかりました」
「もちろん、アイナの腕を疑っているわけじゃないからな」
「ふふ。わかっていますよ」

 あの戦いの決着はもう着くだろう。チーターズとかいう魔人も大したことなさそうだ。あれならAクラスの魔物、幻影大鷲(アパリションイーグル)の方が強そうだ。

「く、くく」

 チーターズは不敵に笑っている。
 オショーはゆっくり距離を詰めている。

「ここまで引き寄せれば・・・・・・それはもう孤立したも同然だ!」

 オショーの足が止まる。辺りの茂みが不自然に揺れる。
 飛び出したのはチーターズだ。

 まてまて、チーターズはそこにいるだろ?

「群れる魔人か」
「そうだ、俺たちは群れる豹の魔物だった!」

 総数15頭のチーターズがオショーを取り囲む。
 それを見た聖騎士たちが駆け寄ろうとする。

 オショーが叫んだ。

「手出しは無用ですぞ!」
「賢明な判断だな、その巣から出れば容赦なく狩る!」

 オショーを取り囲み、ジリジリと距離を詰めるチーターズ。
 そして、

「殺せ!」

 腕を飛ばされた個体が叫ぶと、一斉にチーターズがオショー目掛けて襲いかかる。

 その刹那、オショーはため息をつく。

「台風(タイフウ)」

 オショーの呟きに呼応して風が渦巻く。瞬く間にオショーとチーターズを巻き込む。




 少しして風が止む。オショーの周りが円状にえぐれている。

 間を置いて、ボトボトと何かが落ちてくる。肉塊だ。チーターズだったものが次々に落ちてくる。

「ここまで離れれば、私の攻撃に皆を巻き込むこともない」

 残った隻腕のチーターズが戦略的にではなく、あからさまに恐れて後退りをする。

「ぐ、俺の仲間たちを」
「あとはお主だけですぞ」
「くっ!!」

 チーターズは踵を返して走り出す。
 オショーは幾重にもカマさんを振るい。鎌鼬を作り出す。

「あの足の速さ、あれが魔人としての特異な点ですな。私の足では彼奴に追いつけません。どなたか追いつける方は?」
「オショーで追いつけないにゃら、ミーたちでも無理だにゃ」

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