上 下
356 / 1,167
四章『トマト編』

第356話 怪物の眠る森5

しおりを挟む


 俺たちは部屋に集まる。そして作戦会議を開始する。

「まず魔人について理解を深めたい」

 俺のその言葉にジゼルが答える。

「知っていることを話す」
「ジゼル頼む」
「オウイエ。魔人は魔物が進化したもの」
「進化か、さっきも言ってたよな。ワンランク上がるって」
「そう」
「じゃあ、Sクラスの魔物が魔人になったらどうなるんだ?」
「なった個体はほとんどいない。進化するための魔力の必要量が段違いだから。でも九大天王と呼ばれる魔王の側近たちはSクラスから進化した魔人がいると噂されている」

 九大天王? 四天王じゃないのか。まぁその話は今はいい。

「あの棘の魔人はどうだ?」
「魔人は魔物の時より小さくなったりするから、見た目だけでは強さはわからない。でも蛭の魔人と水晶の魔人はSクラス冒険者のパーティに勝っている」
「俺たちより強いってことか」
「にゃめてもらっちゃ困るよ。ミーなら戦えるよ!」
「エリーは強い。けどもっと強い可能性がある」
「ジゼルぅ」
「私は信じてる」

 エリノアがジゼルに撫でられている。あらぁ。

「こ、こほん。それで、俺たちがあの怪物の眠る森から、無事に伝説の剣を持って帰る方法はあるか?」
「ある」
「教えてくれ」
「オショーの送った伝達が王国に届けば。王国から精鋭部隊が派遣される」
「それについて行けばいいのか」
「そう。今回はパーティだけでの行動は危険。もっと実力者たちを集めて軍事的規模で考えるべき」
「となると、ここまで来るのに1週間かかったし、2週間は下手に動けないな」


「バーガー様」
「アイナどうした?」
「外が騒がしいです」
「ミーが見てくるよ」
「私もついていく」

 エリノアとジゼルが様子を見に部屋を出ていく。

「死者が出てしまいましたね・・・・・・」
「許せないな。勇者としても、ハンバーガーとしても」
「はい。必ず討伐しましょう」

 伝説の剣はそう簡単には手に入らないということか。もしこの勇者パーティの誰かを犠牲にしなきゃ手に入らないようであれば、俺は仲間を取る。

 そんなくだらない伝説にはつきあっていられない。
 皆がいて、初めての勝利だ。

 これからの事を女神に聞いてみるか?
 女神ならどのタイミングで敵が現れるかとか、わかるかもしれない。

 だが、女神の事だ。俺らの命なんかより、面白さを優先するだろう。必死に頼むだけではダメだ。

 本当に危険な時じゃないと、この方法は使えない気がする。
 それに何かあればまた夢に出てくるだろう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

あなたを、守りたかった

かぜかおる
ファンタジー
アンジェリカは公爵家の娘、隣国の第二王子ローランドと結婚して、この国の王妃になる予定である。 今、公爵家では結婚直前の披露パーティーが行われていた。 しかし、婚約者のローランドが迎えにこない! ひとまずパーティー会場に一人で向かうもののそこにいたのは・・・ スカッとザマァではない 4話目の最後らへんで微グロ注意。

家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~

りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。 ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。 我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。 ――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」 乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。 「はい、では平民になります」 虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

さよなら 大好きな人

小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。 政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。 彼にふさわしい女性になるために努力するほど。 しかし、アーリアのそんな気持ちは、 ある日、第2王子によって踏み躙られることになる…… ※本編は悲恋です。 ※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。 ※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...