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四章『トマト編』
第351話 王国の戦力
しおりを挟む「これはこれは勇者様!」
「オショーさん」
アイナとベースキャンプの中を歩いていると、聖騎士大隊長のオショーさんと遭遇した。
「オショーさんがここの責任者なのか?」
「いかにも。なにせ伝説の剣の捜索ですからな。大隊長クラスも出てきますぞ!」
ふと疑問がよぎる。
聖騎士大隊長って偉いのか?
サガオが聖騎士隊長だから、それより一つ偉いのは分かるが。
俺は小声でアイナに話しかける。
「なぁアイナ」
「ん、耳元でくすぐったいです」
「あ、ああ、ご、ごめん」
ビクッと反応したアイナさん。顔を赤らめておられる。
そなたは美しい。
「聖騎士大隊長って偉いのか?」
「あれ、知らなかったんですか?」
「親からは愛情しかもらってないからな」
俺の体は愛情100%だ。
「勇者様、私から説明を致しましょう」
オショーが巨体をかがませて俺たちに視線を合わせる。
聞こえていたか。
「ああ、頼む」
「はい、ではまず王国の戦力図から」
オショーは大きなテーブルに紙を広げる。
そこに筆でスラスラと文字を書いていく。ちなみに墨汁はテーブルの端にいる魔物、小型化した陸蛸(グランドオクトパス)が提供してくれている。頭をつつくと墨を出すのだ。
「ではしたから説明しましょう。まず聖騎士たちがいます。彼らはBクラスからAクラス程の使い手で王国で一番多い戦力です」
ヒマリもこれからここのクラスになるのか。
「そして数は一気に減りますがAクラスからSクラス程の使い手を聖騎士隊長として任命、その下の聖騎士たちをまとめているのです」
あのサガオや、キッドがそうか。
確かに彼らは強いな。
「そしてそしてその者たちをまとめるのが私たち聖騎士大隊長。ランクは当然Sクラス、今は10名しかおりません」
指で数えるほどしかいないのか。
「どれくらい強いんだ?」
「そうですな。単体でSクラス上位の魔物とも戦えるくらいには」
あのエリノアより強いかもしれないのか。そりゃあ、数えるほどしかいないな。天才中の天才だ。
「そしてそしてそして、その全ての上に立つ者が3名います」
「まだ上がいるのか」
「はい、王国が誇る最強の戦力ですな。名を三騎士と言います」
三銃士ならぬ三騎士か。
「それぞれ、月白騎士、紅蓮騎士、金色騎士と言って、纏う武装の色の名で呼ばれています」
ここに来て初めて聞く名前ばかりだ。月白って白か? あと赤と金、縁起のいい色合いだな。
「あとは強力な固有魔法(ユニークマジック)が使える王国魔導師たちと、冒険者ギルト連盟が我々の総戦力となりましょう」
なるほど、いざとなればエリノアたち冒険者も戦場に駆り出されるわけか。国が無くなれば冒険も何もないもんな。
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