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四章『トマト編』
第342話 しっぺ
しおりを挟む玉座の間。王さまがヒゲを撫でて難しい顔をしている。
俺が伝説の剣というワードを口にしてからこんな感じだ。
あの反応でわかった、伝説の剣は存在している。
「バーガー、その話どこで聞いたん?」
「神から啓示を受けました」
「神? どのような神なん?」
今日の王さま至ってフランク。
「自称ですが、女神と仰ってました」
「自称女神・・・・・・初めて耳にする神だ。その神が私に聞けと?」
「はい」
「そうかですかぁ、はは、まいったなぁ」
王さまは困り顔で髭をかく、髭って痒くなるの?
「実はバーガー、君に謝らなければならないことがある!」
「え?」
「伝説の剣さ、無くしちゃった」
王さまは舌を出す。『てへぺろ』ならぬ『でべべろ』だ。
アイナが大きな声で驚いた。
「ええ!! 伝説の剣を無くしたんですか!?」
「しっ! 大きい声で言わないでけれ! あ、けれって言っちゃった! 言わないで! 王さま恥ずかしいからホントマジで!」
「は、はぁ・・・・・・」
オワタ、伝説の剣紛失とか聞いたことないぞ。
この転生、どこまでバーガーモードなんだ。
「で、でもね、バーガー」
「なんですか・・・・・・」
「無くした大まかな位置は分かってますのよ」
「ではなぜ回収に向かわないのですか?」
「それ聞いちゃう?」
「聞いちゃう」
「えっとね、大体100年前の話かなぁ、先代の王さまが遺跡で伝説の剣を発見してね」
「遺跡でですか」
「うん、人族の遺跡ね。そこまではよかった。でも不幸なことに運搬中に何かに襲撃されたらしくて、その時にどっかいったらしいのよ」
「強奪されたってことですか?」
「その可能性は低いかな、すぐに周囲を聖騎士大隊で何度も捜索したらしいし」
「では、まだその地に?」
「当時の話だとそうなるかなぁ。まさか勇者が私の代で生まれるとは思わなかったから、探すのはいいかなって思ってたんよねぇ」
おい。
「その事についてはすまなかったバーガー。特別に私にしっぺしてもいいよ」
「わかりました、アイナ」
「はい。王さま、歯を食いばってください」
「ふぉふぉ、そのようなか細い腕で私の逞しい腕にしっぺを?」
10秒後。
「・・・・・・うぐっ、ああ・・・・・・ッ。つぁあ・・・・・・」
「では、捜索隊を結成してくださるのですね」
「いや、まだあれから何も話してないやん」
「俺の方でも探してみます。その土地の場所を教えてください」
「わかったよ。私の方からも兵を出すから。協力していこうね」
「はい、王さま」
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