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四章『トマト編』
第341話 伝説のパン
しおりを挟む『伝説の剣』。
勇者ものには必須のアイテムと言える。
王さまのところに行くのは学校が終わってからでいいだろう。まずは通学中にアイナに聞いてみることにした。
「伝説の剣って知ってるか?」
「伝説の剣ですか。・・・・・・聞いたことないですね」
あれ? 伝説の剣って言っても、皆が知ってるってわけじゃないんだな。
「伝説の盾なら知ってますよ!」
またしてもニューワードだ。剣の次は盾か。
「伝説の盾ね、どんな代物なんだ?」
「王国が誇る最強の盾です!」
「どれくらいすごいんだ?」
「私もこの目で見たことがありません、ですが聞いた話によると『魔王砲』を防ぎきれるそうです」
「また知らない言葉だな『魔王砲』ってのは?」
「魔王軍が使ったとされる兵器だそうです。その威力は星をも砕くほどだとか」
「・・・・・・それを防ぐのか」
「のようです、伝説の盾は神クラスのアイテムです。あの盾があるから人類はこうして存続していると言わしめるほどです」
「その盾の名前は?」
「『マナーの盾』と呼ばれてます」
「マナーの盾か、覚えておこう」
「きっと勇者であるバーガー様が使うんだと思います! 楽しみですね!」
いやアイナさん、俺、手がないんだけど・・・・・・。ナイフを挟むので精一杯なんだけど。
なんて言えないよな。
「もちろんさ、何せ俺は予言の勇者だからな、これから伝説になるパンだ! 伝説のパンと呼んでくれ!」
「伝説のパン様!」
「本気にしないでおくれ」
その後、学校でもトレース先生にも尋ねたが、伝説の剣のことは知らなかった。図書館でも調べたがそんな文献はなかった。
王立図書館だからあると思ったんだが。
ふむ、伝説の剣については何も分からなかったな。やっぱり女神の言う通りに王さまのところに行くのがいいらしい。
学校帰りに俺はアイナに切り出した。
「アイナ、王さまに会いに行くぞ」
「え、王さまにですか?」
「伝説の剣について訪ねたいことがあるんだ」
「・・・・・・失礼ですがバーガー様」
「なんだ?」
「本当にそんな剣あるんでしょうか? 先生も知らないような、図書館にも載っていない剣なんて」
「百理ある。皆が知らないということは伝説じゃないもんな」
それでも女神がお告げまでしたんだ、行くしかあるまい。
俺はアイナにお願いしてついてきてもらった。まぁ二回頼んだら断らないのがアイナだ。「わかりました、行きましょう!」と潔く来てくれた。
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