異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜

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2話

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 ハイセンはもともと俺のお目付役だった。きちんと折り目のついたシャツと、一部の隙もなく結ばれたネクタイが特徴的な黒髪メガネの男だ。 

 厳しく、ときにはやさしく俺をしつけてくれていた人物である。俺が狂った演技を始めてからも、俺を治療しようと国中から医師を連れてきてくれていた。 

 そして治癒が不可能だとなってからは、こうして俺の身の回りの世話を一手に引き受けてくれている。 

 もともと几帳面で、寡黙な男だったが、俺とふたりっきり、しかも俺が何もわからない状態であるため、どんどん完璧男の鎧が剥がれ落ちていき、ついにこんな感じになってしまったのだった。 

 具体的には、俺の足に頬をすりすりしてはあはあしちゃう感じだ。 

「あああ、ぼっぢゃんんんん、足すべすべぇ~かんわいいいいいい」 

 むしろ怖い。 

 しかし、さすがBLの世界というべきだろうか。登場人物は全員BL属性をもっているらしい。 

 ハイセンの属性は(激しすぎる)ギャップ、執事、溺愛主従、メガネといったところか。主役並みのてんこ盛り具合だ。 

 俺は彼の名誉のためにもずっと正気だったなんて言い出せないわけである。 

 しかし、せっかく異世界で平穏に生きられることが8年がかりでようやく決まったのだ。そろそろ自由がほしいし、娯楽がほしい。ツインテロリちゃんが怪人と戦うアニメなんかがあれば最高だ。 

 俺は一計を案じることにした。 

 

 

 

  その時以来、俺はずっと決行の時を待っていた。 

 シナリオはこうだ。なんか適当なところで滑って転んで頭を打つ。そうしたらあら不思議、坊っちゃんが8年ぶりに正気に戻ったではありませんか、というわけだ。 

 大事なのは、だんだんと正気に戻ることではなく、ある日なにかしらの出来事が起きたことによって一気に正気に戻ることだ。そして、狂っていた間の記憶はないということにしてしまえばいい。境界線をはっきりしておけば、ハイセンも自分の醜態を晒したことについて悩まずにすむ。 

 くぅ~、俺って冴えてるぜ。 

 

「さあ、坊っちゃん、お風呂ですよ。温まりましょうね」 

 ハイセンに風呂に連れていかれて、俺は決行のときが来たことを悟る。足元は濡れているし、石鹸やタオルを準備するためにハイセンが俺から離れる瞬間もある。 

 これはチャンスだ。 

 俺はやってきたチャンスに興奮した。 

 

「きれいきれいしましょうね。……おや? ああ、もう前回から3日も経ちましたか」 

 そして興奮しすぎてしまった。 

 俺のちんは上を向いて、かまってくれといわんばかりにハイセンにアピールをしていた。 

 ハイセンは俺を風呂の椅子に座らせると、俺のちんをやさしく触れてこう言った。 

「さあ、すっきりしましょうね」 

 

 この8年の間に俺の体は成熟して、射精を覚えた。狂っている設定の身としては、ちんを至る所でしごきまくってさらに狂ったふりに磨きをかけてもいいのだが、さすがに良心が痛んだ。かといって、人目を避けてちんをしごくのも不自然だ。したがって、玉がぱんぱんになっても俺は自慰行為を我慢したわけである。 

 となると、ふとした刺激でちんが反応してしまうようになるわけである。 

 

 ハイセンは俺のちんが立ち上がるたびに優しく射精へと導いてくれた。彼はときには俺の乳首に触れて新しい快楽を与えてくれることさえあった。 

 俺は最初こそ抵抗があったものの、幼い時から面倒を見てくれていたハイセンの手にすべてを委ねて、与えられる快楽に溺れるようになっていた。 

 今となっては、3日に一度は彼の手で絶頂へ導いてもらわなければ気がすまないくらいだ。 

 

「ああー、ううー……うぅっ…」 

 気持ちよさに身を捩る。ハイセンは俺が椅子から落っこちないように後ろから抱き抱えるようにして、右手で俺のそれを擦っている。 

 根本からしごきあげられて、俺は鼻息が荒くなる。 

 そのうち先っぽからとろとろと先走りが溢れて、それを乳首に塗りたくられ、ぐりぐりと乳首を潰される。 

 くちゅ、くちゅ、とやらしい粘液の音が耳を打って、俺の腰は勝手にへこへこ動き出してしまう。 

 ハイセンの顔が俺の耳元にあって、彼の吐息が熱くなっているのを感じる。 

 BLの世界の住人らしく、彼もまた俺の痴態に興奮しているのだろうか。 

 

「坊っちゃん、いいですよ。どうぞ、私の手の中に吐き出しておしまいなさいな」 

 ふっ、と耳に息を吹きかけられて、俺の頭は真っ白になる。 

「ーーっ、ーーーーー!! ーーっ! ーっ!」 

 前世では味わったことのない快楽が体を駆けめぐる。 

 俺は腰を突き出して、容易く絶頂させられてしまったのだった。 

 

 

 

 

 ずるずると椅子から滑り落ちる。 

 頭は気持ちよさでいっぱいだ。 

それも仕方ない。ルートによってはモブレからのメス堕ちがある俺の体だ。間違いなく、体は前世よりも快楽を拾いやすくなっている。  

 

 息を整える。 

 ハイセンは倒れ込んだ俺の背中をやさしく撫でてくれている。 

 

 しかし、その優しい手が不穏に下がってくる。背中をさすっていたのが、腰に下がり、尻に下がり、尻ひだを開くと、その中心にある菊に触れた。 

 ハイセンが、今日はとまらなかった。 

「ああああ! 坊っちゃん、かわいらしすぎます!! 快楽に溺れる白桃の頬! あああ! 私、もう限界です。私に! ご褒美をください!」 

 

 言い終わるやいなや、彼はズボンを下ろして、俺の股を開かせると、ずっぷりと俺の尻の穴に猛ったそれを挿し込んだ。 

「あああー」 

 思わず声が出る。BL世界の尻らしく、俺のそこは濡れそぼって、ハイセンの極悪なまでに太いそれを咥え込んだ。 

「ああ、ああ、坊っちゃん、かわいいですよ、最高です!」 

 ハイセンは容赦無く腰を叩きつけ、俺は人形のようにされるがままだった。体が何度も上から押しつぶされて、そのたびに目の前に星が散った。 

 ハイセンはいつも几帳面に整えている前髪を乱して、汗をかきながら俺の乳首をつまむ。 

「ーーっ!あっ、ーーっ、つっ、あーっ、ーーっ!」 

 俺は初めてだというのに、快楽に溺れてまともに声もでない。 

 ハイセンは容赦無く腰の速度を早める。俺はのけぞり、乳首を彼に差し出すような形になって揺さぶられる。 

「ああ、私は坊っちゃんになんということを…しかし、しかし、これはメスの穴なのです! 伯爵家の長男としてやっていける穴ではないのです!! メスになるべく生まれたお方…!!」 

 メス、メスと連呼されて、俺はその気になってしまう。ハイセンは俺の体を隅々まで知っていて、俺といえば前世は童貞、今世も童貞というステータスだ。勝ち目がない。 

「下品に足を開いて、私のような卑しい身分の者に汚される気分はどうですかっ! 坊っちゃん、ああ、あなたを私だけが穢せるのです…! 私のメス穴…!」 

「ああーっ!ああああ!」 

 やばい。これはやばい。俺ってこんなにドMだったのか。 

 ぐるぐると回る頭で、ひとつだけわかったことがあった。俺は叫ぶ。 

 

「メスですぅ! 俺! メスなんですぅ!」 

 ゲーム世界でのモブレメス堕ちルートのセリフを叫びながらで、俺は見事に後ろ穴だけで達した。 

 

 

* 

 
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