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第23話 地下倉庫
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ぼんやりと昔を思い返していたので、後ろから近づいてくる気配に気が付かなかった。
「キフェンダル様!」
声を掛けられて振り返る。
そこには困った顔をしたギルと、怒ったような顔のハンローレンが立っていた。
「あ……」
やばい。
いまの自分の立場を思い出す。
「ここで何を? 今日は休んでいると聞きましたが?」
笑顔のハンローレンが怖い。
「いやー、まあ、ほら、息抜きだよ、息抜き」
俺が答えると、ハンローレンの美しい眉が吊り上がる。
「部屋に戻って寝てください。今にも死にそうな顔をしていますよ」
「大袈裟だなぁ」
俺は立ち上がって、それから元気であることをアピールするためにその場で一回転してみせた。
しかし、ハンローレンの眉は下がらない。
「しばらく部屋にいてくださいますか?」
「う、うん。わかってるよ」
俺は教会に足を向ける。
ハンローレンとギルも後ろについてくる。
やたらと笑顔のハンローレンもだが、一言も発さないギルも怖い。
俺は一応弁明しておく。
「……すぐ戻るつもりだったんだ」
「そうですか。では一緒に戻りましょうね」
俺はそれ以上何も言わないことにした。
どう考えても俺の分が悪い。
俺に宛がわれた部屋の前までくると、ハンローレンがぐっと顔を近づけてこう言った。
「明日から護衛をつけます」
「……護衛?」
「ええ、必要です」
「今日ちゃんと休むから、別に見張りなんていらないよ」
ハンローレンは少しためらったあと、さらに続けた。
「第一皇子が城から消えた、という噂です」
「ええ?」
俺は頓狂な声を上げた。そして尋ねた。
「なんで?」
「わかりません」
しかし、第一皇子ハイントルが消え、俺に護衛をつける。それが示すことは――。
「……もしかして、こっちに来てるとか?」
「……わかりません」
ハンローレンの表情はかたい。
俺は顔色を窺いながら、質問を重ねる。
「可能性がある?」
「わかりません」
「なんで教えてくれないの?」
「……心配しているんです。休んでいないでしょう?」
「ちゃんと休むから、教えてよ」
「ほんとうに、わからないのです」
「でも、護衛をつけるんだ?」
「出入りする人間が増えていますから、どちらにせよ必要です」
俺は首をかしげる。
「ハンローレンとギルにも護衛をつけてくれるのか?」
「あなたが先です。そもそも、私には配下の者がいますから」
まずハンローレンが答え、次にギルが「私も準備が整い次第護衛をつけていただく予定です」と言い添えた。
俺は頷くほかになかった。
ハンローレンとギルが去ったあと、俺はひとり、寝椅子に身を投げ出してしばらく天井を眺めていた。
朝に一眠りしてもう十分に休んだと思っていたが、意外と疲れていたらしい。体を横にすると睡魔が襲ってきた。
意識が覚醒したのは昼前だった。
なにやら外が騒がしいような気がしたが、それよりも時間が気になった。
そろそろ禊の準備をしなくてはならない時間なのだ。
俺はのろのろと体を起こす。
俺は自分の侍従たちをマスカード城においてきていた。
なので、いま禊の準備をするのも後片付けをするのも基本的に自分一人だ。
禊にはいろいろな作法があったのだが、ある日、そのひとつをするのを忘れてしまった。
しかし、しっかりと髪は白く染まった。
それを見て、俺は禊を簡略化できると気が付いた。
いまとなっては禊はすっかり簡略化され、聖水を薄めてざばっと頭からかぶるだけになっていた。
匂いと痛いということ以外は、ずいぶんと楽になった。
俺は絶対にこの簡略化した禊の作法を後世に伝えなくてはいけないと思っていた。
聖水を入れた瓶を手に取る。
「ん?」
1回の禊に使うのは、この瓶の半量である。
しかし、瓶の中に聖水はない。
あわてて他の瓶も見たが、すべて空になってしまっていた。
昨日疲れすぎて、聖水が切れたことにも気が付かなかったのだ。
聖水は俺たちが出奔のときに持ってきた分と、ハンローレンを追いかけてきたフェリダムが持ってきた分がある。
ひとまず俺は半分を俺の部屋、もう半分を例の地下倉庫に入れていた。
「取りに行くくらいいいよな?」
そうひとりつぶやいて、部屋から出た。
地下倉庫の扉に手を駆けた時「あれ?」と思った。
この地下倉庫には聖水を保管しているため、他の人間が立ち入れないように鍵をかけていたのだ。
それが、開いていた。
「もしかして、ギル、中にいたりする? 俺、ちゃんと休んでるけど、その、聖水が必要で仕方なく……」
言い訳をしながら階段を下りていく。
しかし、一番下まで来ても、返事がない。
片手に持った灯りを掲げる。薄暗い地下室に光がさして、同時に濃い影が生み出される。
照らし出された椅子には誰も座っていなかった。
単に鍵をかけ忘れていただけらしい。
俺は頭を抱えた。
鍵をかけるのは俺の仕事である。
やっぱり疲れてるんだな、と思った。
禊が終わったら水浴びをして、そのままベッドでしっかり寝ようと思った。
遠くから、怒号に似た声が聞こえた。
それが耳鳴りのように脳内に響く。
俺は足早に地下倉庫に足を踏み入れた。
聖水の瓶は木箱の中に入れていた。
蓋を開けて中身を見る。ひと箱に9本の瓶が行儀よく並んでいる。
とりあえず今日明日の分として1本取り出す。
肉を食べていない俺は、全部をひとりで運ぶのは無理なのだ。
木箱に蓋をしたとき、背後で物音がした。
振り返って、思わず「あ!」と声が出た。
そこには息を飲むような黄金の髪、澄んだ空の瞳の人物がいた。
俺は最初、それが疲労から来る幻覚だと思った。
人は疲れているとき、ふと嫌なものを見るものだ。
「……キフェンダル」
しかし名を呼ばれて、その人物が幻覚ではないと知る。
「ハイントル皇子……」
俺は驚愕で立ち竦んだ。
「キフェンダル様!」
声を掛けられて振り返る。
そこには困った顔をしたギルと、怒ったような顔のハンローレンが立っていた。
「あ……」
やばい。
いまの自分の立場を思い出す。
「ここで何を? 今日は休んでいると聞きましたが?」
笑顔のハンローレンが怖い。
「いやー、まあ、ほら、息抜きだよ、息抜き」
俺が答えると、ハンローレンの美しい眉が吊り上がる。
「部屋に戻って寝てください。今にも死にそうな顔をしていますよ」
「大袈裟だなぁ」
俺は立ち上がって、それから元気であることをアピールするためにその場で一回転してみせた。
しかし、ハンローレンの眉は下がらない。
「しばらく部屋にいてくださいますか?」
「う、うん。わかってるよ」
俺は教会に足を向ける。
ハンローレンとギルも後ろについてくる。
やたらと笑顔のハンローレンもだが、一言も発さないギルも怖い。
俺は一応弁明しておく。
「……すぐ戻るつもりだったんだ」
「そうですか。では一緒に戻りましょうね」
俺はそれ以上何も言わないことにした。
どう考えても俺の分が悪い。
俺に宛がわれた部屋の前までくると、ハンローレンがぐっと顔を近づけてこう言った。
「明日から護衛をつけます」
「……護衛?」
「ええ、必要です」
「今日ちゃんと休むから、別に見張りなんていらないよ」
ハンローレンは少しためらったあと、さらに続けた。
「第一皇子が城から消えた、という噂です」
「ええ?」
俺は頓狂な声を上げた。そして尋ねた。
「なんで?」
「わかりません」
しかし、第一皇子ハイントルが消え、俺に護衛をつける。それが示すことは――。
「……もしかして、こっちに来てるとか?」
「……わかりません」
ハンローレンの表情はかたい。
俺は顔色を窺いながら、質問を重ねる。
「可能性がある?」
「わかりません」
「なんで教えてくれないの?」
「……心配しているんです。休んでいないでしょう?」
「ちゃんと休むから、教えてよ」
「ほんとうに、わからないのです」
「でも、護衛をつけるんだ?」
「出入りする人間が増えていますから、どちらにせよ必要です」
俺は首をかしげる。
「ハンローレンとギルにも護衛をつけてくれるのか?」
「あなたが先です。そもそも、私には配下の者がいますから」
まずハンローレンが答え、次にギルが「私も準備が整い次第護衛をつけていただく予定です」と言い添えた。
俺は頷くほかになかった。
ハンローレンとギルが去ったあと、俺はひとり、寝椅子に身を投げ出してしばらく天井を眺めていた。
朝に一眠りしてもう十分に休んだと思っていたが、意外と疲れていたらしい。体を横にすると睡魔が襲ってきた。
意識が覚醒したのは昼前だった。
なにやら外が騒がしいような気がしたが、それよりも時間が気になった。
そろそろ禊の準備をしなくてはならない時間なのだ。
俺はのろのろと体を起こす。
俺は自分の侍従たちをマスカード城においてきていた。
なので、いま禊の準備をするのも後片付けをするのも基本的に自分一人だ。
禊にはいろいろな作法があったのだが、ある日、そのひとつをするのを忘れてしまった。
しかし、しっかりと髪は白く染まった。
それを見て、俺は禊を簡略化できると気が付いた。
いまとなっては禊はすっかり簡略化され、聖水を薄めてざばっと頭からかぶるだけになっていた。
匂いと痛いということ以外は、ずいぶんと楽になった。
俺は絶対にこの簡略化した禊の作法を後世に伝えなくてはいけないと思っていた。
聖水を入れた瓶を手に取る。
「ん?」
1回の禊に使うのは、この瓶の半量である。
しかし、瓶の中に聖水はない。
あわてて他の瓶も見たが、すべて空になってしまっていた。
昨日疲れすぎて、聖水が切れたことにも気が付かなかったのだ。
聖水は俺たちが出奔のときに持ってきた分と、ハンローレンを追いかけてきたフェリダムが持ってきた分がある。
ひとまず俺は半分を俺の部屋、もう半分を例の地下倉庫に入れていた。
「取りに行くくらいいいよな?」
そうひとりつぶやいて、部屋から出た。
地下倉庫の扉に手を駆けた時「あれ?」と思った。
この地下倉庫には聖水を保管しているため、他の人間が立ち入れないように鍵をかけていたのだ。
それが、開いていた。
「もしかして、ギル、中にいたりする? 俺、ちゃんと休んでるけど、その、聖水が必要で仕方なく……」
言い訳をしながら階段を下りていく。
しかし、一番下まで来ても、返事がない。
片手に持った灯りを掲げる。薄暗い地下室に光がさして、同時に濃い影が生み出される。
照らし出された椅子には誰も座っていなかった。
単に鍵をかけ忘れていただけらしい。
俺は頭を抱えた。
鍵をかけるのは俺の仕事である。
やっぱり疲れてるんだな、と思った。
禊が終わったら水浴びをして、そのままベッドでしっかり寝ようと思った。
遠くから、怒号に似た声が聞こえた。
それが耳鳴りのように脳内に響く。
俺は足早に地下倉庫に足を踏み入れた。
聖水の瓶は木箱の中に入れていた。
蓋を開けて中身を見る。ひと箱に9本の瓶が行儀よく並んでいる。
とりあえず今日明日の分として1本取り出す。
肉を食べていない俺は、全部をひとりで運ぶのは無理なのだ。
木箱に蓋をしたとき、背後で物音がした。
振り返って、思わず「あ!」と声が出た。
そこには息を飲むような黄金の髪、澄んだ空の瞳の人物がいた。
俺は最初、それが疲労から来る幻覚だと思った。
人は疲れているとき、ふと嫌なものを見るものだ。
「……キフェンダル」
しかし名を呼ばれて、その人物が幻覚ではないと知る。
「ハイントル皇子……」
俺は驚愕で立ち竦んだ。
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