庭師の推しごと!~人外と契約したので領主さまを推します~

深山恐竜

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第三十五話 これだ

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「あ、んっ……」
 オルム様は俺の服を脱がすと、執拗に俺の胸を責めた。指で転がし、舌で舐め、口で吸う。俺は刺激を与えられるたびになまめかしい声をあげて悶える。
「む、胸ばっかりぃ……」
「まだ足りないだろう?」
「ふっ……あっ、あ……」
「ほら、こんなにかわいらしくなった」
「んっ…えぁ……」
 見ると、たっぷりと愛撫された俺の乳首はオルム様の唾液でぬらぬらと光り、さらにぷっくりと立ち上がっている。
「あっ……」
「気持ちいいか?」
「ひぁっ……!」

 摘ままれて、背中が反る。胸を突き出すような形になったところを、オルム様が背中に手をまわして抱き留める。身動きがとれなくなったところで、またオルム様の舌がそこを這う。
 知らない。こんな感覚、俺は知らない。くりくりと乳首を押しつぶすようにされて、びくびくと跳ねる腰も、ぴんと伸びていく足も、まっしろになる視界も、俺は知らない。ぜんぶぜんぶ、はじめてのことばかりだ。

 背中にまわされたオルム様の手が、俺の背中を持ち上げ、さらに胸を突き出させる。それだけで、俺の体は反応する。
「だめっ……ああっ……」
「セルジュは敏感だな」
 ふー、ふー、と俺は肩で息をする。
 俺は汗だくで、顔もきっと真っ赤で、涼しい顔をしているオルム様とは対照的だ。
「オルム様……ああっ、ん」
「気持ちいいか?」
 乳首に息を吹きかけられる。そして、彼は俺の胸の肉をかき集めるとそれを口に含んだ。
「ふぅ……んっ……」

 ぎゅっと乳首を押し出すように胸をわしづかみにされ、敏感になったそこはオルム様の舌の動きがよりはっきりと感じられた。

「きもちっ……いい……」
 俺は首を振る。気持ちよくて、気持ちよすぎて、怖いくらいだった。俺の体が俺のものではないかのようだった。
「んんっ、あ、あ、あ! んっ、んん……」
 背中を押されて、胸をつかまれて。俺は奥歯を噛み締めた。それでも唇の間から抑えきれない嬌声が漏れる。
「ん、んーっ! だめ、だぇ……」
「いいぞ……」
 背中に回された手が、ゆっくりと下に下がる。そして俺の尾てい骨をぐっと押し込んだ。
 俺の目の前に、小さな星が飛んだ。口がだらしなく開き、呼吸がとまる。
「あああああっ……!」

「……う……あ……はぁっ……」
「セルジュ……かわいい」
 荒い呼吸を繰り返す俺の耳に、オルム様が唇を寄せる。
 ちゅ、という音が耳元で鳴る。俺はくすぐったくて、身をよじる。
「オルム様……くすぐったい」
「慣れてくれ」
「ええ~」
 俺がくすくすと笑うと、オルム様はさらに何度も唇を落とす。

 ――ちゅ、ちゅっ、ちゅ……。

「ふふっ、あはっ、は……! へぁ……くっ……ひあ……」
 俺の笑い声は次第に艶をおび、体はくねりだす。

「……んあっ……」
「勃ってきたな」
 ぬるい快楽に俺のそこは芯をもつ。
「あっ、あっ、なんで、こんな……」
 驚く俺の頬にオルム様の唇が降る。
「耳が弱いのか」

 かっ、と顔に血が上る。
 オルム様は笑う。
「かわいい」
 それだけで、腹の奥がずんと重くなる。

「ああっ……」
 俺の腰が無意識に揺れだすと、オルム様の手が下へ下へと下がっていく。それは俺の腹を撫で、太もも、内もも、そして足を持ち上げて膝裏に触れていく。
「くぅ……お、オルム様……」
 俺はほしくてたまらなくて、目に涙をためて訴える。
「なんだ?」
 彼はちょっといじわるな顔。
「じ、じらさないでください……」
「ふふ」
 そうして期待でぱんぱんになって張り裂けそうなそれをオルム様がゆっくりとなでた。
 たったそれだけの刺激で、先端からは白い液体がだらだらとあふれる。
「んんんっ……ふぁ……、あっ……」
 オルム様があふれ出るそれを掬い取って俺のそれに塗り込んでいく。
 くちゅくちゅと卑猥な水音がオルム様の手の動きにあわせて生まれる。
 俺はそれを聞いて恥ずかしくなった。
「オルム様……」
 見ると、彼の股間のそれも激しく勃起している。

 ――勃ってる……。

 うれしかった。俺の恥ずかしい姿を見て、彼が興奮してくれていることがうれしい。
 ずん、とまた胎の奥がうずく。
「ああっ、あっ、あ……ああ、ん……あぅっ……! んんっ……!」
 俺の嬌声はひときわ艶をもち、激しくなる。
 俺の高まりを察して、彼の手の動きがはやくなる。
 ぐちゅ、じゅっ、ぐちゅっ……!
「ああああっ!」
 腰を突き出して、俺は彼の手の中で果てた。

 全身から力が抜けて、はあぁ、と大きく息をはく。そして肺の奥にまで空気をいれる。全身火照っていて、ただの空気が冷たく感じられた。
 オルム様が俺の額にキスを落としてくれて、そのあとぎゅっと抱きしめてくれる。
 なんだか薄い紗につつまれているみたいだった。紗のこちら側の世界には俺たちふたりしかいない。俺たちは見つめ合って、唇を合わせる。

 ――幸せだなぁ。

 こんなに幸せでいいのだろうか。
 オルム様に触れられて、オルム様に名前を呼ばれて。ぬくぬくあたたかいやさしさに包まれて、できればずっとこのままこうしていたい。
 頭がぼうっとする。オルム様の匂いがした。
 オルム様とエートルの間のわだかまりは解けたし、ティユルとソールも幸せになった。俺もこのまま幸せになればいい。なにも心配いらない。――なにも?
 ちらと頭の隅に緑の影が映る。

 ――俺だけ幸せでいいのかな。

 俺の呼吸が整うと、オルム様が口を開いた。
「セルジュ……」
 俺の内ももに触れる。その手が、熱い。
「入れてもいいか……」
 オルム様のそれは勃起して、赤黒く血管がうかんでいる。
「は、入るかな……」
「ゆっくりやるから、大丈夫だ」

 オルム様は小箱から小瓶をとりだした。小瓶の中には液体が入っている。
 彼がそれを手に出すと、途端に甘い香りが漂った。
「わ、なんですか、それ」
「潤滑油として持って来た」
 興味津々で覗き込んでいると、オルム様がそれを俺の手のひらにも垂らしてくれた。
「とろとろ……」
「メープルの樹液を精製してシロップにしたものだ」
 指で掬い取って舐めてみる。
「あまーい」

 こめかみが痛いほどの強烈な甘みが口の中に広がる。樹液そのものよりもずっとずっと甘い。甘党の俺はもう一口、と手を伸ばす。

「食べる用に用意したものではないぞ、まったく」
 そんな俺を見て、オルム様は苦笑している。

 ――あれ。

 シロップがシーツに落ちる。それは水とは違い、シーツの上で粒になったあと、ゆっくりと染み込んでいく。俺はその様から目が離せなかった。

「セルジュ?」
 オルム様が怪訝そうな声をかける。
「オルム様……これ……」
 俺は勢いよくオルム様の肩をつかんだ。
「これですよ‼」

 シャテニエ領の、救世主だ。
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