僕らの青春はここにある。

たまご

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第三章 1年 2学期

不在の危機3

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異例の2.3年生がいない学園。




『大丈夫ですか?すぐ戻りたいのですが、飛行機が飛ばなくなって、、何かあったらと心配で心配で、、』



とシキからの連絡があった。





「心配することは起きていないので、旅行が伸びたと思って楽しんでくださいね。」


とメッセージを送った。





何もないと言ったけれど、一年生が羽目を外し始めるのだった。









放課後、生徒会の仕事をするために生徒会室へ行く。


その道中、担任のライゴウ先生が、



涼宮カイ、今から生徒会か?』



「先生。、、できることは今のうちにやっておきたくて笑」




『そうか。あんまり無理するなよ。顔色があまり良くない。』




「大丈夫です。心配していただいてありがとうございます。」



授業でしか顔を合わせないのに、よく見てるな、、



『、、何かあったら、職員室横の休憩スペースに来なさい。イレギュラーな週だから、臨時で夜もそこにいる。、、夜勤だ。』





あ、夜勤嫌いなんだな、、






「、、分かりました。、、あの、」





一瞬、あの不審な人物についてもう話してしまおうかと思ったけれど、







先日のエレベーターで不審者と対峙して逃げられた時、周りには誰もいなかった。普段人通りもあるところで、そんなタイミングで偶然会う確率も低い。

もしかしたら、監視カメラをハッキングして見ているのではないか、、。最悪の場合、会話も聞かれているかもしれない。






『どうかしたか?』





「いえ!では、夜勤頑張ってくださいね。これ、飴です。良かったらどうぞ。」





『あ、あぁ。ありがとう。、、?』







先生に、ポケットに念のため入れておいた、この前部屋の外に設置したカメラのデータをお菓子に紛れ込ませて渡した。




今頼れる大人は理事長以外にこの人しかいない。直感がそう言っていた。













次の日


今日は風紀委員長の代わりで、校内を同じ1年生数名と巡回している。



相変わらず安心して眠れないけれど、数学の時間、ライゴウ先生が




『涼宮、この問題はこうやって解くともっと近道できる。』





僕の席に来て、僕のノートに数式を書くついでに、“昨日の件、調べている”と書いたのだ。





意図を汲み取ってくれたようで、少しほっとした。






放課後、



『副会長様、最近校舎裏で喧嘩をする人が多くて、、』




『風紀委員で何名か負傷した者もいて、、』






『あ、あそこです!またやってる、、』






指差した方を見ると、







『ガッ、、!!やめ、、!!』





『俺の真似か?限定版の価値が下がるだろ?』




ドガッ!!





倒れている生徒に蹴りを間髪入れず入れている。




どうやら同じ靴を履いていることに腹を立てているらしい。







「やめなさい。暴力は校則違反です。」






『あ?邪魔すんな。どっか行ってろ。お前みたいなモブが俺と同じもん持つなんてありえねぇんだよ!!』








注意を全く聞き入れない。







「刺股で彼を壁際まで押さえ込んでください。その間に僕が倒れている彼を助けます。」






『『『はい!』』』







『何だお前ら!離せよ!!』






『『『確保!!』』』







「立てますか?どこか痛むところは?」








『た、立てます。なんとか、、蹴りを入れられたところが痛ッッ、、』







「あそこに風紀委員が待機しています。彼らが保健室まで同行してくれます。あとは任せて。」





『はい、、あり、がとうございます。』






『副会長様!!止められません!!』






『ガッ!!そっち行きます!気をつけてください!!』






『邪魔してんじゃねえ!!どけ!!』






突進してくるけれど、体にバランスが取れていない。





目の前まで来た瞬間に相手の顔に拳を当てて腕を掴み捻って地面に押し倒す。





「学園での暴力事件、決して許せるものではありませんね。理事長室、、いえ、今回は職員室まで連行します。」






『、、、』






あれ、気絶してる。拳がヒットしたかな、、?







その後そいつを引き摺って職員室まで連れて行き、ペナルティー班の代わりに停学処分と次やったら退学処分とすると罰を与え、報告書をまとめた。







「ッいたた、、顔に当てた拳と、、手首も痛い、、こっちも痛いんだから勘弁してほしいよ、、、」










報告書をまとめた後、体育委員長の代わりに、日が暮れる前に備品や倉庫のチェックをした。







他の体育委員と別れ、部屋に戻ろうとしたら、廊下の向こうから、







『よぉ、副会長様?』






『昨日俺の連れが停学処分になったらしいんだけど、あれってお前?』





『やってくれるじゃん?』





「校則違反ですので、当然の処遇かと。」







『まぁ、それはそうなんだけど~』







後ろからも声がする。囲まれていたのか、、







『普通にむかつくし、』








『守ってくれる奴がいないうちにヤっちゃおうぜってな。』











3人、3人で囲まれてる、、どうするか、、





体力的に6人も躱せる自信はない。









『捕まえろ。』







1番背の高いやつがこちらに向かってくる。








『顔は傷つけんなよ~』









拳が飛んでくる。避けても次がまたくる。






この人たち喧嘩慣れしてるな、、







『お前、避けるくらいしかできないんだろ。』



 


「そっちこそ、手くらいしか出すものがないんですよね。」





『あ?』





「あの生徒も短気でした、、類は友を呼ぶってご存知で?」







『っざけんなよ!!』







攻撃がブレた瞬間、向かってきた相手の腕を掴んで引き寄せて転かして、すぐさま1番弱そうな人物のところまで走る。






『うわぁ!!』





助走を生かして混乱させ、追突する寸前でスライディングして人と人の間をすり抜け、ダッシュで逃げる。







『おい逃すな!!』





『下に降りるぞ!職員室へ向かう気か?』





『この時間もう教師はいない!突き当たりまで追い詰めろ!!』








先日のライゴウ先生の言葉を信じて職員室横の休憩スペースまでダッシュで走る。







そして、








「ライゴウ先生!!!!!」









試しに大声で叫んでみる。もしいなかったら、、とりあえずユウトのところまで逃げる。










「ライゴウせんせーい!!」









ガラッッッ








『涼宮か?門限過ぎてるぞ、、ってお前ら何やってんだ!!!』







普段省エネモードの先生からは想像できない大声が廊下に響く。








『ッッライゴウじゃん、、』








『邪魔すんな。そいつに用があんだよ。』









『言い訳は後日聞いてやるよ。お前らB組とC組だろ。大人しく部屋へ帰ってろ。明日は謹慎とする。部屋から出るな。』









『いやいや~、俺ら何もしてないっすよ。』







『じゃあどうして大人数で涼宮を追いかけてたのか説明できるのか?』









『チッ、、うぜぇな。』







先生に拳が飛んでいく。









「せんせっ、、!!」








ライゴウ先生に触れる前に先生がその生徒を投げ飛ばした。









『お前らやっぱり理事長が帰るまで謹慎だ。部屋ではなく、理事長の棟の隔離部屋へ連行する。』








か、かくり、?








いつの間にか先生が呼んでいたのか、数名の警備員によって彼らは連行されていった。









「あの、隔離って?」






『ペナルティー班が基本は風紀を破った場合に掃除などの罰を与えられるが、彼らが不在の場合ややむを得ない場合には理事長室がある棟の隔離部屋で管理されるんだよ。重大な規則違反や暴力沙汰になったときは理事長直々に判断される。』







「なるほど、、。先生、ありがとうございました。助かりました。」







『あぁ。少し中で話そう。』













休憩スペースといってもやはりこの学園、ほぼホテルのような部屋になっている。





ベッドに机、ソファーなどの家具のほか、奥にはトイレとシャワールームまである。









『そこに触れ。』






ソファーに腰掛ける。





先生がココアを淹れてくれた。





「ありがとうございます。」






『何があってあんなことになったんだ?』






生徒会の仕事の後に囲まれたことを話した。







『そうか、、今はあまり1人で行動しない方がいい。東雲たちがいるだろ?』






「そうですけど、巻き込みたくないので。」







『、、それで、あのデータのことだが、、あぁ、この部屋は理事長に許可を受けてカメラを停止させているから安心しろ。それで、あのフードを被った人物について調査した。』






「何か分かったことはありますか?」







『いや、、、学内の防犯カメラを確認したがあんな不審者は映っていなかった。』







「、、、そうですか。」






『ただ、その不審者がつけていた手袋が外で作業をしたりする軍手のようなものだった。もしかしたら学生でない可能性があるかもな、、』





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