50 / 80
第二章 1年 1学期
隠れんぼ、スタート!!
しおりを挟む逃げの800人が先に体育館を出て、10分間で一斉に移動する。
「ライゴウ先生、鬼の皆さんに開始の合図をよろしくお願いします。」
『おー、まかせとけ。涼宮もはやく隠れろよ。狙われてるぞー。』
「はい、いってきます。」
『気をつけろよ。』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
どこに隠れようかな。体育館から出たものの、とにかく広い。800人もいたのにもうみんなどこに行ったのか分からない。
とりあえず行けるところまで行ってみようと思い、散策も兼ねて歩き出す。
薔薇園や温室も一通り見学していたら、大きな庭のような所に出た。ベンチや噴水があって、休憩にはぴったりだ。
裏山がすぐ後ろに聳え立っていて、自然の空気を感じられる。
「こんなところまで来たのは初めてだな。」
時間があったらまた来てみよう。憩いの場はとても広くて、隠れられる場所は見当たらなかった。
結局来た道を少し戻り、鬼が来たら素早く移動できるように温室の近くにいることにした。木陰に腰を下ろし、大きな木に背中を預ける。
「今日はいい天気だなぁ。」
雲一つない青空。もうすぐ夏になるのか、、、。優しい風が心地いい。人の気配もないし、少しくらい目を瞑っててもいいよね、、。寝るわけじゃないから、、。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『現在の確保数は約100人!1位を五十嵐渚が独占中!それに会長”一条司”、放送委員長”神楽隼人”、体育委員長”犬飼旭”と生徒会が続く!!』
ゲーム開始から30分。体育館では実況の得意な生徒が確保された生徒らを盛り上げている。
『きゃぁぁ会長様がまた捕まえた!』
『隠れてる西園寺様も素敵、、、。』
『天馬様!鬼が近づいて来ています!回避してください!!』
『後ろからイガラシに捕まった、、怖かった、、、。』
『神楽、、、なんでバレたんだよ、、。』
『犬飼君も、、笑顔で見つけてくるから余計に怖い、、。』
ドローンの映像を見て盛り上がる生徒、
開始早々捕まって悔しがる生徒など様々である。
『てゆうか、副会長様が全然映らないな、、。』
『木の影とかに隠れてたら上空からじゃ映らないからなぁ。』
『でも動いてないってことだよね。まさか寝てるとか笑 そんなわけないかっ笑』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
っは!木漏れ日があったかくていつの間にか寝て、、意識を失ってた。あ、いけない涎がジュルッ
「まだ30分経過か、、、今のところ順調かな?」
ドンッッッ!!!
大きな音、、、?喧嘩か?!
そっと音が聞こえた方へ向かう。どうやら近くの倉庫からのようで、
『おい神宮寺。お前がぶつかってきたせいで靴が土で汚れただろうが。謝れよ。』
あれ、コウタくんじゃないか。
あの人たち誰?どこのヤクザだよ。キサラギ先輩に連絡しよ。あとウタ先輩にも。
『わざとぶつかってきたのはそっちだろ。』
『あ?先輩に向かってどの口聞いてんだ?こいつは靴汚されてイラついてんだぞ。なめてんのか?』
『高級ブランドだぞ。お前みたいなやつに汚された靴が可哀想だろ。』
何が可哀想なのか分からないな。大事なら違うの履いて来なよ。
『そんなに大事な靴ならなんで今日みたいな日に履いて来た。今のお前たちはとても恥ずかしい。1人じゃ何もできないから3人で連んでいるんだろ。』
コウタくん、結構言うね。かっこいいじゃないか。
『はぁ?理事長の息子だかなんだか知らねぇが調子に乗るなよ!!』
正論言われて逆上してるよ、、
『大人しく土下座しとけば痛い目見ずに済んだのになぁ。』
『俺らが躾けてやるしかなさそうだな?』
倉庫の中でドローンに映らないからって好き放題しすぎでは?
『それ以上近づくな。』
『はっ怖がってんじゃねぇか。』
『そんなわけないだろ。呆れてるんだ。』
『あ“ぁ?』
バンッッッ!!!
『、、、ッッッ!!』
『弱ぇな。ちょっと押しただけで転びやがった。』
『まぁ今から強情さを治してやるから、、、覚悟しろよ?』
『、、、ッッ』
まずい。先輩たちが来る前にコウタくんがやられちゃう。鎮めないと。
「やめなさい。」
コウタくんとアホ3人の間に割って入る。
『あ”?今忙しいんだ、、邪魔すんならまとめてぶん殴る、、って副会長?』
「暴行は校則違反ですよ。」
『はぁ、、お前一般人だろ?俺らを誰だと思ってんの?』
「どれだけの地位かは存じ上げませんが、このようなくだらないことをする程度の人間だということだけは確かですね。」
『あ?てめぇも一緒に殴られてぇのか?』
『か弱い副会長が出しゃばる場面じゃねぇよ。』
「ご心配なく。3人程度に負けるほど貧弱ではありません。コウタくんは外へ。」
『なに逃がそうとしてんだよ。』
『待て。副会長を好き勝手できるなんて中々ないチャンスだ。お前はもういい。副会長、、俺らが遊んでやるよ。』
『おい!こいつを巻き込むな!』
「コウタくん、大丈夫だから。早く。」
僕は避けるだけで、守れるわけじゃないから。1人の方がいい。
『身代わりってのは燃えるぜ。ヤリがいがあるな。』
喧嘩にやりがいを見出さないでほしいな。チガウ
『ちゃんと3人でマワしてやるよ。』
??回されながら殴られるとか嫌だよ。酔っちゃう。チガウ
『顔は傷つけねぇから安心しな。』
「停学になれば将来の道が狭まりますよ。」
『優等生かよ!!うぜぇな!!』
1人から拳が飛んでくる。そんなに速くないな。
スッッッ
サッと拳を受け流す。
『なっ?!』
当たり前だけど喧嘩に慣れてないんだろうな。まぁ僕も初心者ですけれど。
『偶然か?避けてんじゃねぇよッッ!!』
避けるわ!当たったら痛いんだから!
スッッ
バンッッッ!!!
勢い余って倉庫の備品に直撃しに行った1人。
『痛ってぇぇぇぇ!!』
そりゃね。ハッ備品を壊したら怒られるんじゃ、、、。
『調子乗ってんなよ!!』
蹴りか。顔面は避けるって言ったじゃん!
スッッッ
避けたら後ろにいたもう1人の顔面に蹴りが入った。
『ガッッッッッ‼︎‼︎』
うわ、痛そうだな、、。
よし、あと1人、、だけど、完全に頭に血が上ってる。なりふり構わず向かってくるし。
何度も避けるのは集中力がいるし、長期戦は無理だ。だから、拳を避けながら近くにあった箒をそっと相手の足に引っ掛ける。
『はっ?!』
ドンッッッッッッ!!
視野が狭いと足元掬われるよってね。
『涼宮!大丈夫か!!』
『カイくん!!遅くなった!!、、って、なんか、片付いてるね。』
「キサラギ先輩、ウタ先輩、来てくれたんですか。」
『当たり前だろ。“緊急!温室付近の倉庫”って。』
『カイくんが襲われたんだと思って急いで来たんだよ。』
『カイ!!俺の代わりに、、、怪我は?!』
「大丈夫だよ。」
『本当に?』
「うん。ほら、無傷だよ。」
『そうか、、、よかった。あ、勝手に名前で呼んで、、ごめん。』
「友達のピンチを助けるのは当たり前だよ、コウタくん?」
『、、ありがと。』
なんか初めて会ったときを思い出した。なんかほっとけないところがあるんだよね。
『お前、強かったんだな。体格差のある、しかも3人ともボコボコに、、』
『カイくん、、想像以上だね。』
え、殴ってない!!誤解!!
「殴ってません。校則違反になりますから。避けたんです。」
『避けた?』
「自滅しました。」
『ツカサの躱されたっていうのはこれか笑』
「僕、人を殴って倒す力はありませんし、痛いのも苦手です。」
『避ける、、か。涼宮、今度風紀の奴らに教えてやってくれるか?揉め事を止めようとして怪我をする奴が多くてな。』
「もちろんです。」
『その話はまたにしよう。神宮寺くんには事情を聞く必要があるから、風紀委員長と生徒指導のテントまで行きなさい。ショウ、よろしく。』
『あぁ。神宮寺、着いてこい。事情聴取が終わったらいい隠れ場所を教えてやる。』
『あ、分かっ、、はい。カイ、また改めてお礼をしたい。』
「気にしなくていいけど、また教室で話そうね。」
『うん!』パァァ‼︎
やっぱ双子先輩と同じく子犬みたいだな。
「キサラギ先輩、ありがとうございました。」
『おう。じゃあな。そこに転がってる3人。どこも折れてないだろ。行くぞ。』
『くそ、、、、』
『副会長強すぎだろ、、、』
『なんなんだ、、、覚えとけよ、、』
『お前らは暴力を覚える前に校則を覚えるべきだな。』
先輩がコウタくんとアホ3人を連れて行った。
「キサラギ先輩は風紀委員の鑑ですね。」
『そうだね。』
0
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;



男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる