僕らの青春はここにある。

第二章 1年 1学期

オリエンテーション‼︎

オリエンテーション当日。








「只今から、新入生歓迎、オリエンテーションを開催します！」








ｳｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵ！！！！！！






すごい団結力。さすが男子校！！






「ではルールの確認をしましょう。

制限時間は2時間。
逃げは800人。逃げ切った人全員が賞品を獲得できます。

ゲームの様子がここのプロジェクターに映されます。後日“映画鑑賞部”が編集したものを販売するそうです（？）

同じ場所にいるもよし、隠れながら移動するのもよし、鬼から隠れましょう。」





『逃げ切れば賞品がもらえる！』




『しかも全員だもん！去年はお宝見つけるの大変だったから、楽しみ！』




『早く捕まって鑑賞するのもありかな。』




『生徒会の中に鬼はいるのかな、、捕まりたい、、。』








「鬼は100人。逃げを見つけて確保し、リボンを受け取ってください。

体力差や学園への慣れを考慮して学年ごとにポイントが違います。

ゲーム終了後、合計ポイント数の多い順で、上位3名が賞品を獲得できます。」




『1年生に優しい！』



『鬼がポイントの高い3年生を狙ってくれれば、最後まで残れるかも！よっしゃあ！』




『鬼に厳しくね？』






『圧倒的に逃げが有利だろ。』







「ここで新情報です。残り３０分になり逃げがドローンの視界に入れば、その近くでアラームが鳴ります。
残り１０分になるとアラームは止まり、体育館のプロジェクターに逃げの数と居場所のヒントが映されます。

映されるのは３分間だけですので、確認したい場合は体育館まで来るようにしてください。」



最初考えてたのだと、800人分のアラームが何百個も無駄になりそうだったから、ハヤト先輩にお願いして決まった場所にドローンが滞空できるようにプログラミングしてもらったんだ。学園の私有地だからこそできることだね。

ハヤト先輩はプログラミングが得意みたい。すごいなぁ。






『鬼に有利な情報きたぁぁぁぁ！！』



『これ、俺らが圧勝じゃん！』






「では、賞品の内容についてです。」





みんながそわそわしだした。やっぱり気になるよな。




「賞品は5種類あります。

１つ目が、“旅行券”です。」





『旅行かぁ、、』



『いつでもできるしなぁ、、』




父さんと母さんにあげたいな。






「宿泊施設は月城旅館です。」





『えっ？！』




『まじか？！』





『予約2年待ちの？！なんで？！』






テレビ番組で見たことあるけど、高額すぎて他人事だと思ってた旅館、、。

いつメンの3人におすすめの旅館はあるか聞いてみたら、




『俺の家、旅館やってるんだ。多少なら部屋取れると思うよ。俺がここの書記会計になったから、今母さんの機嫌がすごくいいんだ。』





ってカナメが用意してくれた。まさか実家だとは思わなかったよ。すごいな。










「２つ目は“食堂1ヶ月無料券”です。」






『別に困ってないんだけど～。』




『さっきのと比べたら全然だな。』







「メニューにないものでもなんでも作ってくださるそうです。」





『今で十分だろ。』





『3年になってもまだ全種類食べてないし～。』





「ちなみにシェフはヒイラギさんという方です。」





『え？！あの”HiiraGi”？！』





ん？なんか違う？




『弟子入りしたい人がたくさんいるって噂の！』





『え、この学園にいるの？！』





『そんな人がいたら情報が入ってくるはずなのに、、、』






近くの生徒さんがスマホで海外の新聞記事を見せてくれたんだけど、ヒイラギさんはとても有名な料理人らしい。






ヒビキが美化委員会の仕事で朝1人だった時に、食堂1ヶ月無料にできるかお願いしてみたんだけど、





『高級食材がたくさん入ってくるのに、使うところが理事長や先生方のお食事だけで寂しいと思っていたところなので。大盤振る舞いです。』




ってすぐにOKしてくれて。

　
　

『あ、賞品の発表のときは私の名前を出してくださいね。』





ついでにと言われたから言ってみたらこんな反応が起こるだなんて。先に教えてよ、、、。　
そういえば僕、ヒイラギさんが作った桜のアイス食べたよね。、、あれ、いくらですか？





ふぅ、、「では次、３つ目ですね。」




今は気にしないでおこう。改めてお礼を言わないといけないけど。







『さすがはカイ様。惹き寄せる力をもっていらっしゃる。堪りませんね、、、』








「３つ目は、“遊園地１日券”です。最大15人まで一緒に入場できます。」







『落ち着いたぁ。』





『こうゆうのがいい。うん。』





「場所はテーマパーク“サンライト”です。」





“サンライト”というテーマパークは夢の国みたいなところなんだけど、お化け屋敷とか参加型のイベントとか色々あって大人気なんだ。
僕も小さい頃に行ったことがあるけど、すごく広くてキラキラしてた記憶があるな。






「こちらは犬飼イヌカイ様から特別にいただきました。先輩方、一言お願いします。」







　




『楽しんでほしいから！』

　




『賞品を手に入れたあなたのために！』





『『夜の花火を特別にプレゼント！』』






天使だ、、かわいいな双子先輩。
って、花火って！！すごい！楽しそう！






『天使だぁぁぁぁぁぁぁ！！』




共感共感。





『好きぃぃぃ、、』





『尊いです双子様、、、』





「4つ目は、“売店の商品なんでも10点無料券”です。」





『これは意外と嬉しいな。』




『買うか迷ってたのがあるんだよね！』




『制服がキツくなったから新調したいんだよな。予備も欲しい。』






『え、チェキの買い占め1択でしょ。』





『あ、それいい！写真部のチェキ、一枚〇〇万円するのあったよね。一条イチジョウ様と西園寺サイオンジ様の中等部の頃の写真とか！』





聞こえた金額は想像を遥かに上回っていて、、、みんな頑張って、、、。











「５つ目は、“お願い券”です。」








ﾜｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！








これ、過去の賞品の項目に毎回載ってたんだよね。







「鬼がこの賞品を選んだ場合、“捕まえた人”の1人にお願いができます。ただし法律に違反すること以外のお願いに限ります。」







『これは好きな人をゲットするチャンスか？』






『鬼が良かったぁぁぁぁあ！！』






『可愛い子捕まえまくるぞぉぉぉ！！』






『まずは身体から手に入れる、、、』


　


皆さん、法律守って。絶対。






「逃げは“誰にでも”お願いができます。こちらも同様に、法律に違反しないことに限ります。」







『やったぁぁぁぁぁ！！』






『きゃぁぁぁぁぁぁぁ！！』

　



なぜ鬼と逃げで内容が違うのかって？過去の計画書のメモ曰く、“ロマンがある”からだって。どんなロマンだ？







「賞品内容は以上です。それでは、逃げと鬼に分かれてもらいます。鬼は体育館前方へ移動してください。」







『え、お前鬼だったのかよ！』　




『ごめん。全力で捕まえに行く。』



『きゃぁぁ、好きな人が鬼なんだけど！！』




『やばいじゃん！ちゃんと捕まりに行くんだよ！』

　


『賞品獲得してやるぜ！！』




『逃げ切ってみせる！！』







ステージ上から鬼の人たちを見ていると、

え、ヒビキは鬼なんだ。あ、イガラシ先輩とシキもいる。

100人って結構多いなぁ。なんだかワクワクしてきた。こんな大人数で隠れんぼなんてしないもん。






「生徒会も分かれます。皆さんから見て左側が鬼、右側が逃げです。」


　　

『会長様はどっちかなぁ？』




『神楽様ぁぁぁぁぁ！！』




『双子様が離れ離れになったら、、、』







当日まで秘密にしてたから、僕もみんながどっちか分からないんだよね。











結果



〈鬼〉ツカサ先輩、ハヤト先輩、アサヒ先輩（双子の片割れ）


〈逃げ〉ウタ先輩、カナメ、アヤト先輩、ハル先輩（双子の片割れ）、そして僕




みんな逃げかもと思ってたけど、案外分かれるもんだなぁ。






『双子様が分かれたぁぁぁぁぁぁ』




『やっぱり会長様は鬼側！！』




『神楽（ハヤト）様に捕まりたい！！』



『天馬（アヤト）様を捕まえたい！！』




『会長と副会長の絡みが、、、』




『会長がカイを捕まえたら、、、ﾌﾌﾌ』





『月城（カナメ）様を探す！！』





おぉ、すごい盛り上がりだ。皆さん人気ですね。







「では最後に会長、お願いします。」
















『お前ら、楽しむ準備はできてるか？』










ｷｬｧｧｧｧｧｧｧｧｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！！












『捕まえる自信はあるか？』







ｳｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵ！！！！











『逃げ切る自信はあるか？』











ﾜｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！！





　




『、、、随分と威勢がいいな。


俺が捕まえに行ってやるから、子鹿みたいに震えながら待ってろよ。』







ｷｬｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！！








一気に会場が盛り上がる。これがカリスマってやつか。背中が眩しいｯｯ。






『あまり調子に乗るなよ、ツカサ。


、、、見つけられなくて後で泣いても知らないよ？』






ｷｬｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！！







ウタ先輩、、、ツカサ先輩を煽るの好きだなぁ笑









『言ったな？すぐに捕まえてやるよ。』







『やってみろよ。』








ｷﾞｬｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！！








歓声が悲鳴になってるよ、、、。








『はいはいそこまで！2人で盛り上がらないでよ～！』






ハヤト先輩！そうだそうだ！







『そろそろ始めましょう。』






そうだね！






「では、、、










『『「ゲームスタート！」』』