8 / 10
6話
しおりを挟む
今日は土曜日。翔太さんと、日向さんと一緒にお出かけする約束の日です。待ち合わせ場所は渋谷のモヤイ像前とのことでした。あ、ありました!
彫りの深い独特のフォルムをした彫像、そして、その傍らには__目が窪んで、クマが出来て、げっそりとしたまるでモヤイ像のような顔色の‥‥‥あれは‥‥‥翔太さん?
「あの、翔太さん‥‥‥ですよね?お待たせししました」
「はっ、春香さん!久しぶり」
「お久しぶりです!今日はお誘い頂きありがとうございます。あの、お顔色がすぐれないようですが、大丈夫でしょうか?もし具合が悪いようでしたらまた日を改めて‥‥‥」
「え?いやいや!元気元気!全然大丈夫!これはちょっともんもんというか、もやもやが溜まってしまったというか‥‥‥」
「もやもや、ですか?」
「いやっ!もやというか、あ、えと、そう!
もやい!もやい像のまねみたいなものなんだよ、今流行ってて」
なるほど、その様な文化が流行っているのですね。
これが渋谷カルチャーというものなのでしょうか?
私もモヤイ風にしてくれば良かったです。
「翔太、、あんた何いってんのよ」
私達の背後から、声が聞こえてきました。
「日向!」「日向さん!お久しぶりです」
「春香ちゃんやほ!ついでに翔太も」
「ついでって!」
「ついでよ、ついで、出会い頭に春香に嘘教えてんじゃないわよ」
「嘘、ですか?」
「そ、モヤイの下り、流行ってるとかあれ全部翔太の冗談だから間に受けなくて良いからね」
「え!?そうだったんですか?翔太さんひどいです」
「(怒った顔も可愛いな‥‥‥)」
い、いやーごめんね春香ちゃん、ちょっと場を和ませようとして」
「ふふっ、冗談です、モヤイのモノマネとっても素敵でした」
「お茶目な春香ちゃんもかわいいな(ボソッ」
「かわいい?ですか?」
「あ、いや!?服装!そう服装がかわいいなって」
「そうですか?ドレスコードがないと伺ったもので、少しカジュアルにしすぎたかと思って、心配だったのですが、そういってもらえて嬉しいです」
「うん、デザインがオリジナリティがあって素敵だなって」
「ありがとうございます、実はこれのデザインアイデア私が考えたんです」
「え!そうなの?すごい本当にセンスあるね、とっても似合ってる」
「翔太‥‥‥あんたさっきから顔にやけすぎ、ちょっときもい」
「そ、そんなことないって」
「‥‥‥ばーか‥‥‥ま、いいけど!さ、カラオケはやくいこ!」
「お、おう」
「‥‥‥‥‥‥私もお洒落したんだけどな、翔太のばか(ボソッ」
そんな風にわいわいやりとりしながら、私達は目的地へ向かいます。今日はカラオケという場所に連れてって下さるとのこと、なんとなくのイメージは翔太さんから教えて頂いたものの、実際は一体どんな場所なんでしょう。楽しみです。
一つだけ確信していることは、どんな所でも
お二人と一緒ならきっと楽しいに違いありません。
カラオケに到着した私達は、受付で入館手続きを済ませた後、小さな部屋に通されました。
5畳ほどの広さの中に、簡単な腰掛けとマイクと液晶画面が配置されています。
ここは待合室でしょうか?
それにしては狭すぎるので、恐らく本来はペット同伴の方のための犬小屋として使用されているのでしょう。
受付の方もお忙しそうでしたし、手違いで犬用のお部屋へ案内してしまったのですね。ふふっ、うっかりさんですね。
「よっしゃー春香ちゃん歌お!」
「歌う、のですか?犬のお部屋で歌っても大丈夫なでしょうか?」
「犬の部屋?犬のお巡りさんのこと?春香ちゃん童謡好きなんだ、なんかぽいかも!そうえば、春香ちゃんはカラオケ初めてだったね?この部屋で各々好きな歌を歌うって感じなの!何歌ってもOKだから、好きなやつ入れてこー!」
そうなのですね、今時の日本では、犬用サイズの部屋で歌う事がトレンドだったとは!!
ミニマリズムの思想を、遊戯の場所にすら早急に取り入れる柔軟さ‥‥‥!なんて素晴らしいのでしょう!
本当に日本文化には驚愕するばかりです。
また一つ勉強になりました。
「私から歌っちゃうよー」
「~♪~♪」
伸びのある歌声が部屋中に響き渡ります。日向さんの歌はとても涼やかで、まるで本物の歌手のようでした。
「すごい!素敵ですね」
「そ、そう?へへ、ちょっと歌には自信あるんだ」
「歌が上手な方って素敵ですわ」
「!お、俺も!歌おうかな」
「~♪~♪愛してる~♪」
翔太さんが歌っているのは俗にいうラブソングというものでしょうか?とっても情熱的に歌われていて素敵です。日向さんは、飲み物を取ってくるといって丁度、席を外しています。
「ふう、どうだったかな?」
「好きな方に愛をささげる歌なのですね、ロマンティックで素敵です」
「そ!そうかな?実は今ちょっと気になっている人がいて、その人の事を考えながら歌ったんだ」
「まあ、翔太さんの想われ人さんは幸せものですね」
「本当にそう思う?」
翔太さんが何かを訴えるように私を見つめながら、真剣な顔たずねます。何でしょう、まるで何かを察して欲しいような‥‥‥
!!!!!
次の瞬間、私は全てを理解しました。
翔太さんの、想いを
彫りの深い独特のフォルムをした彫像、そして、その傍らには__目が窪んで、クマが出来て、げっそりとしたまるでモヤイ像のような顔色の‥‥‥あれは‥‥‥翔太さん?
「あの、翔太さん‥‥‥ですよね?お待たせししました」
「はっ、春香さん!久しぶり」
「お久しぶりです!今日はお誘い頂きありがとうございます。あの、お顔色がすぐれないようですが、大丈夫でしょうか?もし具合が悪いようでしたらまた日を改めて‥‥‥」
「え?いやいや!元気元気!全然大丈夫!これはちょっともんもんというか、もやもやが溜まってしまったというか‥‥‥」
「もやもや、ですか?」
「いやっ!もやというか、あ、えと、そう!
もやい!もやい像のまねみたいなものなんだよ、今流行ってて」
なるほど、その様な文化が流行っているのですね。
これが渋谷カルチャーというものなのでしょうか?
私もモヤイ風にしてくれば良かったです。
「翔太、、あんた何いってんのよ」
私達の背後から、声が聞こえてきました。
「日向!」「日向さん!お久しぶりです」
「春香ちゃんやほ!ついでに翔太も」
「ついでって!」
「ついでよ、ついで、出会い頭に春香に嘘教えてんじゃないわよ」
「嘘、ですか?」
「そ、モヤイの下り、流行ってるとかあれ全部翔太の冗談だから間に受けなくて良いからね」
「え!?そうだったんですか?翔太さんひどいです」
「(怒った顔も可愛いな‥‥‥)」
い、いやーごめんね春香ちゃん、ちょっと場を和ませようとして」
「ふふっ、冗談です、モヤイのモノマネとっても素敵でした」
「お茶目な春香ちゃんもかわいいな(ボソッ」
「かわいい?ですか?」
「あ、いや!?服装!そう服装がかわいいなって」
「そうですか?ドレスコードがないと伺ったもので、少しカジュアルにしすぎたかと思って、心配だったのですが、そういってもらえて嬉しいです」
「うん、デザインがオリジナリティがあって素敵だなって」
「ありがとうございます、実はこれのデザインアイデア私が考えたんです」
「え!そうなの?すごい本当にセンスあるね、とっても似合ってる」
「翔太‥‥‥あんたさっきから顔にやけすぎ、ちょっときもい」
「そ、そんなことないって」
「‥‥‥ばーか‥‥‥ま、いいけど!さ、カラオケはやくいこ!」
「お、おう」
「‥‥‥‥‥‥私もお洒落したんだけどな、翔太のばか(ボソッ」
そんな風にわいわいやりとりしながら、私達は目的地へ向かいます。今日はカラオケという場所に連れてって下さるとのこと、なんとなくのイメージは翔太さんから教えて頂いたものの、実際は一体どんな場所なんでしょう。楽しみです。
一つだけ確信していることは、どんな所でも
お二人と一緒ならきっと楽しいに違いありません。
カラオケに到着した私達は、受付で入館手続きを済ませた後、小さな部屋に通されました。
5畳ほどの広さの中に、簡単な腰掛けとマイクと液晶画面が配置されています。
ここは待合室でしょうか?
それにしては狭すぎるので、恐らく本来はペット同伴の方のための犬小屋として使用されているのでしょう。
受付の方もお忙しそうでしたし、手違いで犬用のお部屋へ案内してしまったのですね。ふふっ、うっかりさんですね。
「よっしゃー春香ちゃん歌お!」
「歌う、のですか?犬のお部屋で歌っても大丈夫なでしょうか?」
「犬の部屋?犬のお巡りさんのこと?春香ちゃん童謡好きなんだ、なんかぽいかも!そうえば、春香ちゃんはカラオケ初めてだったね?この部屋で各々好きな歌を歌うって感じなの!何歌ってもOKだから、好きなやつ入れてこー!」
そうなのですね、今時の日本では、犬用サイズの部屋で歌う事がトレンドだったとは!!
ミニマリズムの思想を、遊戯の場所にすら早急に取り入れる柔軟さ‥‥‥!なんて素晴らしいのでしょう!
本当に日本文化には驚愕するばかりです。
また一つ勉強になりました。
「私から歌っちゃうよー」
「~♪~♪」
伸びのある歌声が部屋中に響き渡ります。日向さんの歌はとても涼やかで、まるで本物の歌手のようでした。
「すごい!素敵ですね」
「そ、そう?へへ、ちょっと歌には自信あるんだ」
「歌が上手な方って素敵ですわ」
「!お、俺も!歌おうかな」
「~♪~♪愛してる~♪」
翔太さんが歌っているのは俗にいうラブソングというものでしょうか?とっても情熱的に歌われていて素敵です。日向さんは、飲み物を取ってくるといって丁度、席を外しています。
「ふう、どうだったかな?」
「好きな方に愛をささげる歌なのですね、ロマンティックで素敵です」
「そ!そうかな?実は今ちょっと気になっている人がいて、その人の事を考えながら歌ったんだ」
「まあ、翔太さんの想われ人さんは幸せものですね」
「本当にそう思う?」
翔太さんが何かを訴えるように私を見つめながら、真剣な顔たずねます。何でしょう、まるで何かを察して欲しいような‥‥‥
!!!!!
次の瞬間、私は全てを理解しました。
翔太さんの、想いを
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
私の隣は、心が見えない男の子
舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。
隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。
二人はこの春から、同じクラスの高校生。
一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。
きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。
あずさ弓
黒飛翼
青春
有名剣道家の息子として生まれる来人。当然のように剣道を始めさせられるも、才能がなく、親と比較され続けてきた。その辛さから非行を繰り返してきた彼は、いつしか更生したいと思うようになり、中学卒業を機に地元を出て叔母の経営する旅館に下宿することに決める。
下宿先では今までの行いを隠し、平凡な生活を送ろうと決意する来人。
しかし、そこで出会ったのは先天性白皮症(アルビノ)を患う梓だった。彼女もまた、かつての来人と同じように常人と比較されることに嫌気がさしているようで、周囲に棘を振りまくような態度をとっていた。来人はそんな彼女にシンパシーを感じて近づこうとするのだが、彼女はさらに重いものを抱えていたようで……
来人の生き様と梓の秘密が絡み合ったとき。そこに生まれる奇跡の出来事は必見―。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
夫の心がわからない
キムラましゅろう
恋愛
マリー・ルゥにはわからない。
夫の心がわからない。
初夜で意識を失い、当日の記憶も失っている自分を、体調がまだ万全ではないからと別邸に押しとどめる夫の心がわからない。
本邸には昔から側に置く女性と住んでいるらしいのに、マリー・ルゥに愛を告げる夫の心がサッパリわからない。
というかまず、昼夜逆転してしまっている自分の自堕落な(翻訳業のせいだけど)生活リズムを改善したいマリー・ルゥ18歳の春。
※性描写はありませんが、ヒロインが職業柄とポンコツさ故にエチィワードを口にします。
下品が苦手な方はそっ閉じを推奨いたします。
いつもながらのご都合主義、誤字脱字パラダイスでございます。
(許してチョンマゲ←)
小説家になろうさんにも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる