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 遅くなりましたm(_ _)m その分映人×悠 新婚バージョンは完結させましたので、お許し下さい(^-^;

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 ここ半年良い先輩でいたと思う。
 入社したての頃は、どちらかというと控え目な後輩を兄が見まもるような目線でみてきたが、劇的に変化したのは三ヶ月を過ぎたころであろうか?
 あまり目立たなかった悠に色気なようなものを感じ始めたのは?

 丁度その頃だった。
 年上の女性と付き合っていると、相談されたことはあったが、妙に自分は後輩のことを意識しはじめていた。
 もちろん自分も酔っている自覚はあったが、このタイミングを外してしまうと、一生言い損ねてしまうという焦りだったか? 頭で考えるよりも口に出していた。
 
「永原······俺さ、そんな趣味はなかったハズなんだけど、お前のことかわいいと思っている········ここんとこ悩んでいたけど、お前変なとこで危なっかしいし········お前の対象は女だってわかっちゃいるけど········俺、望みないか?」
「·········え?」

 突拍子もない告白をうけて、酔っているなかでも悠の思考は完全に停止してしまった。
 あまりにも、理解できない内容。

 浜野は会社の先輩であるけれど、悠は恋愛感情などいちども抱いたことはない。
 映人のことは言えないけれど、浜野自身 "夜の帝王" といわれるくらい、女性を何人もお持ち帰りするほどの、ストレートのはずだ。

 ぐっと左肩を強い力で掴まれ、よりいっそう浜野の顔が近づいてきた時だった。

「悠!」

 公園の入り口から映人が走って来る。
 それに気づいた悠の表情が満面の笑みに変わり、ベンチから立ち上がると映人の腕に飛び込んでいた。

「にいさん········えいとぉ·······」

 こんな態度は通常では絶対にしないことを確信した映人は、胸になついたままの悠を腕に抱くと、顔をあげ浜野に問いかけた。
 映人の顔をみて安心したのか、悠は兄の腰に両腕をまわしそのまま眼を閉じてしまう。

 兄の匂いを感じると、妙に落ち着いたのか、浜野の告白のことなど完全に頭から消していたが、映人の方はそうはいかなかった。

「どのくらい呑ませた?」

 薄暗いなかベンチから立ち上がり、相手の顔と声を認識した浜野は一瞬で凍りついた。
 背中にブリザードを背負う感覚は初めてのことで、そこそこ呑んだ酒が一気に覚めてしまっていた。

「·········え? 永原部長!?」

 いつものスーツ姿と違い、薄手のセーターと黒のパンツ姿で対峙したのは、間違いなく第一営業部の永原映人だった。
 横に撫で付けていた髪も、今日は洗いざらしのままの状態でかるく顔にかかっていたが、まぎれもなく本人だ。

 その映人も、悠にいつもまとわりついている、浜野と気づいたようだった。

「········兄さんって?······こいつと兄弟だったんですか?」
「··········あぁ──俺は公言しても良かったが、入社するときに黙っておいてくれと───こいつに頼まれた───悪いがこの事は内密に頼む」

 浜野に"こいつ"という呼び方をされ、映人も同じ言い方をしたのは、悠の所有権を無意識にだしたイヤミでもあった。
 胸のなかでなついている悠の髪をあやすように撫でる。

 そうすると、まるで喉を鳴らす猫のようにりついた。
 いつもなら恥ずかしがって絶対にしないしぐさで、ますます愛しくなったが、映人が気に入らないのはそんな悠の姿を他人にみせてしまったことだ。

 だから、少しだけ映人の声色が険のあるものになっていた。

「───関心できないな。まだ社員として半年しか経っていない後輩を、前後不覚まで呑ませるとは·······どれだけ呑んだ?」
 
 映人の空気を察した浜野の顔色がますます蒼くなっていき、あせったように言い訳される。

「すっ───すみませんでした。最初の居酒屋でビール二杯と焼酎三杯呑んだだけなんですけど、最後のバーで間違えて俺のウオッカ飲んでしまって·········それが、とどめだったみたいで······」
「───では、無理矢理飲ませた訳ではないのか?········まったく、仕方のない子だ·······」

 腕の中の悠を見下ろすと、それに気づいた悠はぽつりと訴えた。

「········眠い」

 そのまま眠りについてしまいそうな悠の腰をかかえなおし、映人は一言だけ浜野に釘をさした。

「立場が上の者が迫るのは、パワーハラスメントというのは知っているね·······もし今後似たようなことがあった場合──」
 
 それを聞いた浜野の顔色が、気の毒なくらい蒼白になった。
 "永原映人の弟"と判明してしまったら、もう手を出す気力さえ失くなっていた。

「わっ───わかっています!」

 頭を縦に振るようすを確認した映人は「弟が世話になってすまない」と、言い残し悠を連れてその場を立ち去った。
 あとでひとり残された浜野の酔いはすっかり覚めてしまい、薄暗い公園でしばらく立ち尽くしていたのは、気の毒としか言いようがなかった。
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