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開発 3
しおりを挟む浜野は自分の名前を覚えている映人を以外に思いながら、悠とロビーで別れた。
残された悠は映人に促され、エレベーターで映人のオフィスに向かうことになった。
「──ずいぶんと仲がいいんだな」
「──えっ?」
二人きりのエレベーターで、映人がぽつりとつぶやく。
隣にいた悠は、なんとなく苛々した口調の映人をみあげた。
「·····センパイはただ、おれの面倒みてくれるだけだよ······」
返事をしながら、悠は数日前に"練習"させれたことを思い出してしまった。
どちらかといえば、堅いイメージのある兄が、淫らなことを強引に自分に強要しているとは信じられない。
映人はスリーピースのスーツを着こなしており、着せられた感のある悠はとは違う、できる男をかもしだしていた。
そんな兄の欲望を咥え、自分の躰のすみずみまで視られ、あまつさえ、あんなところまで舐められ、放出してしまった。
実際にはもっとすごいことをされているのだが、ゆっくり与えられる快感は兄弟がすることではなく、まるで恋人同士がするかのようなものだった。
経験がない悠でも、そのくらいのことは解っていた。
背の高い位置から、見下ろされるように映人の顔をみたら、急に顔に血がのぼり、真っ赤になったが、映人はなにか勘違いしたらしい。
その眉が寄せられ、映人のオフィスの階にエレベーターが停止すると、扉が開いたとたん、廊下をひきずるように歩かせる。
悠の腕をひっぱり自室の前に行くと、細い躰をおしこむように扉が閉められた。
がちゃりと施錠されると悠の躰を壁におしつける。
「あいつが好きなのか?」
険しい顔に、悠の思考が停止してしまう。
なんであの会話でこうなってしまうのか、わけがわからなかった。
「──なんで······そう思うの?」
先日映人にされたことを思い出してしまった······なんて、正直に言えるわけもない。
そして、映人自身も強制的に悠の躰をひらいてはいたが、悠に想い人がいないとはかぎらなかった。
はじめて強引に躰を貫いたとき、悠自身だれかと躰を重ねたことはないとは言っていたが、プラトニックな関係も考慮するべきだった。
奥手ともいってよい弟には、そういう人がいないとはかぎらない。
今更とはおもいもしたが、ここではっきりさせた方がよいと考えさらに悠を追いつめた。
だからといって諦める気はさらさらなかったのだが······。
「──悠、正直に言え。好きな人はいるのか?」
「·····なんでっ、そんなこと聞くの? ·····もし、いたらもうあんな事しないって───約束してくれるの?」
さんざん色々なことを自分にしておいて、勝手な映人の問いに、悠の感情がゆれうごく。
兄の顔をみることができず、うつむいたままで問いを返したが返事はないかわりに、ふたたび腕をひっぱられいつも映人が座っているイスに強制的に座らされた。
「───そうだな······くだらない質問だったな」
自嘲するように呟き、映人は悠のあごをつかみ自分に向かせると、ゆっくりと言い聞かせるように言った。
「悠、このさいだからはっきりと言っておく。お前に好きな人がいても······離すつもりは、俺にはない───もし、お前から逃げようとしたら───」
─── 一生ベットに繋いで、監禁してやる。
あえて言わなかった言葉だったが、映人の怖いともいえる表情で悠にはなにか空恐ろしい感情をうえつけていた。
そして映人にとっても、ここのところ飢餓感にひとしい感情が支配していた。
なにをしていても心の内は悠のことばかりで、弟の躰の開発をしては、その時の表情や、恥ずかしがるしぐさと躰の反応、を思い出してしてしまう。
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