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募る想い 5
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「······そんなこといったか?」
「答えになってないよ······映人さん·····ゆうって誰?」
からだを起こし離れると、背中に桃里の言葉がぶつけられる。
指摘されて自覚はしたが、だからといって素直にみとめるわけにもいかなかった。
募った想いは、かなり重症であることをしめしてる。
沈黙したままの映人に、桃里が焦れたように躰を起こしながらいった。
「とぼけないでよ───ぼくだってばかじゃない·····ベッドで他の人の名前呼ばれたら嫌だってわかるよ!」
「あぁ、"悪かった"───これで、いいか?」
言葉だけの謝罪に、桃里の感情に火がついた。
映人からの呼び出しに、いそいそと支度をしここへ来た自分が間抜けに感じる。
"付き合っている"という、甘い感情だけではない自分たちの関係に、納得はしていた。
しょせんは倶楽部でのつながりでしかない関係だ。
「へえ、·····なに?──相手はノンケ?·····映人さんだったら、相手をその気にさせるのだって、お手のものじゃない········」
愛らしいと言われる顔がさらに険しくなり、大きな瞳が映人の背中を睨みつけた。
「·······だまれ······」
「黙らないよ───"ファントム"ともあろう者が、本命を抱けなくて"代用品"を抱いて、我慢してるだなんて·······」
「───お前になにが解る······」
桃里はプライドを傷つけられなおも言い、映人は自分のためらいを指摘され、お互いに険悪な空気になった。
抱けるものなら·······悠が学生のころにとっくに自分のものにしていた。
募った想いを他人に土足でふみこまれ、映人の声はさらに低くなり話の間がながくなった。
言葉さえ発しない映人に、桃里は苛々とした口調でかえす。
「ボクには、解らないね······学生でもないのに······イマドキの高校生のほうがよっぽ───アっ!」
「───だまれ」
振り向いた映人が桃里の躰をつきとばすように、ふたたびベッドにおしつけ、首もとを押さえつける。
その声はあらげてはいなかったが、眼光は鋭いものに変わっていた。
その眼の真剣さに、映人の弱点を知ってしまう。
先程のセックスの時とは違う、鈍い光にいっしゅん桃里はひるんだが、尚もつづけた。
「抱い、ちゃえばいいのに───そんなの、映人さん、らし······ぐっ」
のどもとを圧迫され、言葉がつむごうとするが、映人はよほどそれ以上聞きたくなかったらしい。
くびすじから手を外し、自分のベルトをひきぬくと、桃里の右手首と右膝を器用につないでしまった。
「なにするの·····ぼくがしたいのは、こんなじゃないけど·····」
「減らない口には───お仕置きだ」
まるで倶楽部のプレイのようだ。
言葉どおり、桃里がここへ来たのはこれがしたかったわけではなく、さらに頭に血がのぼった。
「へえ、映人さんもただの男なんだ·····」
映人がそこまでして隠す態度にも腹がたったが、桃里にとっての映人は"王"であり傍若無人にふるまっていい、人間だった。
調教師としての崇拝もあるが、たったひとりの人間を抱くことを躊躇する"普通の男"としての映人はみたくない。
桃里の片側だけ拘束した状態で、映人はベッドのサイドテーブルの引き出しに手をのばすと、倶楽部で使っているような薄いゴム製の手袋をとりだし右手に装着する。
桃里は不安定なかっこうのままだったが、双丘はベッドのシーツからうきあがった状態であり、身動きもままならなかった。
────────────────────────────────────────────
※ 次回もR18ですが冒頭注意がありますので、ご容赦下さい(^-^;
「答えになってないよ······映人さん·····ゆうって誰?」
からだを起こし離れると、背中に桃里の言葉がぶつけられる。
指摘されて自覚はしたが、だからといって素直にみとめるわけにもいかなかった。
募った想いは、かなり重症であることをしめしてる。
沈黙したままの映人に、桃里が焦れたように躰を起こしながらいった。
「とぼけないでよ───ぼくだってばかじゃない·····ベッドで他の人の名前呼ばれたら嫌だってわかるよ!」
「あぁ、"悪かった"───これで、いいか?」
言葉だけの謝罪に、桃里の感情に火がついた。
映人からの呼び出しに、いそいそと支度をしここへ来た自分が間抜けに感じる。
"付き合っている"という、甘い感情だけではない自分たちの関係に、納得はしていた。
しょせんは倶楽部でのつながりでしかない関係だ。
「へえ、·····なに?──相手はノンケ?·····映人さんだったら、相手をその気にさせるのだって、お手のものじゃない········」
愛らしいと言われる顔がさらに険しくなり、大きな瞳が映人の背中を睨みつけた。
「·······だまれ······」
「黙らないよ───"ファントム"ともあろう者が、本命を抱けなくて"代用品"を抱いて、我慢してるだなんて·······」
「───お前になにが解る······」
桃里はプライドを傷つけられなおも言い、映人は自分のためらいを指摘され、お互いに険悪な空気になった。
抱けるものなら·······悠が学生のころにとっくに自分のものにしていた。
募った想いを他人に土足でふみこまれ、映人の声はさらに低くなり話の間がながくなった。
言葉さえ発しない映人に、桃里は苛々とした口調でかえす。
「ボクには、解らないね······学生でもないのに······イマドキの高校生のほうがよっぽ───アっ!」
「───だまれ」
振り向いた映人が桃里の躰をつきとばすように、ふたたびベッドにおしつけ、首もとを押さえつける。
その声はあらげてはいなかったが、眼光は鋭いものに変わっていた。
その眼の真剣さに、映人の弱点を知ってしまう。
先程のセックスの時とは違う、鈍い光にいっしゅん桃里はひるんだが、尚もつづけた。
「抱い、ちゃえばいいのに───そんなの、映人さん、らし······ぐっ」
のどもとを圧迫され、言葉がつむごうとするが、映人はよほどそれ以上聞きたくなかったらしい。
くびすじから手を外し、自分のベルトをひきぬくと、桃里の右手首と右膝を器用につないでしまった。
「なにするの·····ぼくがしたいのは、こんなじゃないけど·····」
「減らない口には───お仕置きだ」
まるで倶楽部のプレイのようだ。
言葉どおり、桃里がここへ来たのはこれがしたかったわけではなく、さらに頭に血がのぼった。
「へえ、映人さんもただの男なんだ·····」
映人がそこまでして隠す態度にも腹がたったが、桃里にとっての映人は"王"であり傍若無人にふるまっていい、人間だった。
調教師としての崇拝もあるが、たったひとりの人間を抱くことを躊躇する"普通の男"としての映人はみたくない。
桃里の片側だけ拘束した状態で、映人はベッドのサイドテーブルの引き出しに手をのばすと、倶楽部で使っているような薄いゴム製の手袋をとりだし右手に装着する。
桃里は不安定なかっこうのままだったが、双丘はベッドのシーツからうきあがった状態であり、身動きもままならなかった。
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※ 次回もR18ですが冒頭注意がありますので、ご容赦下さい(^-^;
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