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洗礼 3
しおりを挟むそうしているうちに、悠の気分が悪くなった。
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さきほど、加賀美という男から注意をうけたが、およそ観たいものではなく立ち上がりかけたが、長椅子に置いていた右手を、誰かが掌でおさえつけ立てなくなった。
「──ダメだよ。君はここにいないと」
声は柔和《にゅうわ》だったが、有無をいわさない口調だった。
黒に金の装飾のはいった仮面の男は悠のとなりにに座ると、飲み物をさしだした。
「こういうものは初めて観る?」
周囲に気づかれないような小声で、意地悪な質問をしながら男は悠に飲み物を渡すとそっときいた。
「·····あ·····たりまえ·····です」
「───そうだよね。君見たいな純粋そうな子には、縁のない世界だろう」
うつむいた悠に、男は賛同するように呟く。
そして、つけたすように言った。
「暗い欲望をもった人間はね──こういうことでしか晴らせない····あれ、が誰か判ったよね?」
その言葉に悠は戸惑いながらも、こくりと頷いた。
裸にされた青年は椅子のうしろに両手を、長い鎖で拘束されている。その脇に立っている低い声のバリトンは間違いなく兄、瑛人のものだった。
兄は首元のネクタイを、指でくっとひっぱり緩めると、ワゴンに乗っていた薄い手袋に手をのばし、両手に装着する。
医者が手術で使うような手袋だった。
「はしたないココには、栓をしなければいけないな····」
彼はそういうと透明な蜜をこぼしている陰茎を無造作につかみ、いくつも先端に丸いものがついている細い棒を、無慈悲に挿入した。
ひっかけられた青年の脚がびくりと揺れ、矯声にちかい声があがる。
「あ、アアアァアァッ! いたぁ、い──」
「痛くはないはずだ──こんなに勃って──喜び過ぎだ」
容赦のない責めは、尚もつづいた。
周囲の観客の目線はくいいるようにその様子を観ながら、ごくりと喉が嚥下される。
10センチほどある棒の根本は輪っかがついており、そこに指をかけると尿道を容赦なく刺激されるようで、イスにかけられた少年の脚はそのたびに空を蹴った。
「ふっ、あっ─アッ······あんッ!」
時々甲高くなる声は愉悦をしめしており、あきらかに痛みだけではないことをかたっていた。
輪っかに指先をかけ数回ゆらすと、少年の吐息があがり熱をもつ。
その瞳は蕩けていてファントムの顔をみあげると、自分の唇を紅い舌でいやらしく舐めた。
それは先の責めを期待しているような仕草だった。
「──どうやら、足りないようだな──どうして欲しい?」
「僕の···うしろ──もっ、いじめて·····」
まだ触れられてもいない収縮している後肛に刺激が欲しいようで、青年はファントムにおねだりした。
「──それではご褒美だ·····」
冷めた視線で見下ろした彼は、ワゴンの上にある皮でできたものを掴むと少年の陰茎に装着してしまう。
「──いやぁっ····くるしぃ、のっ」
皮の拘束具は青年の根元のふくらみから圧迫するもので、そこをせき止められたら解放できなくなってしまう。
調節できるように革ひもで編み上げてあるそれは少年のふくらみの尖端だけをだすだけのかたちとなった。
尿道と陰茎の拘束で、刺すような痛みがあったのか、びくびくと躰をゆらした。
それでも少年は荒い息をつき、悦《よろこ》びを全身であらわしているようだ。
開閉をくりかえしている後肛は荒く息をするたびに、赤い粘膜がのぞく。
そこをみてしまった悠はあまりのいやらしさに、眼をそむけた。
純情すぎる様子に隣に座った男は、くすりと嗤《わら》う。
そしてその嗤いはファントムにも向けられた。
───もっと早くしつけていれば、こんな手荒いことをしなくてもよかったのにと·····。
彼の懊悩をかなり前から知っている徳永伊織は、さきほどふたりが来たときに瑛人と顔をあわせていた。
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