上 下
134 / 136
シャーロット旋風 王都にて

王妃と遠乗り2

しおりを挟む
そこから、馬での散策を続ける。シャーロットは、木の実や花や草木の名前にとても詳しかった。雑草についても詳しい。

「まあ、あんな雑草にも名前があるのですね」

「はい、このような小さな草花にも一つひとつ名前があり、役割があるのです。とても愛おしいですわ」

良い子じゃないのと王妃の機嫌は上がる一方である。

「そういえば、ゼオンの庭は素晴らしいと社交界で噂を聞いたことがあります」

「ありがとうございます。庭師が一生懸命世話をしてとても美しい庭となっております。ゼオンにおいでの際にはいらっしゃって下さい」

「ほほほ、そうですね。楽しみにしておきます。ゼオンはハーブが最近では有名なようです、私も最近は眠れなくて、ちょっと顔が火照ったりすると、もう何にでもイライラしやすいのです。そのようなところに行けば気持ちが落ち着くのかもしれないわね」

「あのう」

「あら?なんでしょう?」

「ジェニー様、それはきっと更年期障害だと思います」

「!!!」

後ろの騎士団も女官たちも、そして王妃自身もフリーズしている。流石に王妃に面と向かってあなたは更年期障害だというものは医師であってもいない、特に騎士団は真っ青である、どうしよう、無礼だ、逮捕しろとか言われたら、アーサーに殺される・・

「更年期障害の時期は、眠りにくくなりますし、火照って興奮しやすくなってイライラしやすくなるんです。別にゼオンにこられなくても、お薬や生活を工夫されれば少し楽になると思います。よろしければ、ハーブを調合してお渡ししましょうか?」

シャーロット自身は、直球だが単に親切心で言っている。みんなが、凍っているのに気がつかない。

「あ、姉上、初対面の夫人に失礼なのでは・・」
ギルバートに声かけられて、ハッとする。

ああ、やってしまった。私って本当に貴族らしくないわ。

「夫人、申し訳ありません。私はどうも田舎育ちで。大変失礼しました」

「ふふ、ふふふふ、うふふふふ、あははは」

王妃は笑い出した。
「あの?」
「す、すまぬ。いや、とても面白くて。私にそんなことをはっきり言ったのはそなただけです。侍医ですらそんなこと言わなかった。ああ、面白い。
シャーロット嬢、気遣い痛み入ります。そうね、では、調合したハーブをいただきましょう。パトリシア、後日侯爵家に伺っていただいてきておくれ。
シャーロット嬢、今日はありがとう。なんだか毒気を抜かれたっていうか。遠乗りに来てよかった。」

「よくわかりませんが、ご気分が良くなられたのでしたらそれは嬉しいですわ」

「ふふふ、そう、最近は、子供も大きくなって一緒にこうやって遠乗りする人もいなくって寂しかったのかもしれないわ。」

「まあそうでしたの。ご主人やお孫様たちはご一緒にはこられませんの?」
「え?ま、まあ。そういうのも悪く無いかも。一度、夫や孫や嫁を誘っても良いのかもしれないわね」

「きっと、お友達との遠乗りも楽しいでしょうけど、ご主人と一緒に過ごされるのも楽しいと思います。お孫さんともきっと楽しいと思います、私も子供の頃、領地で母と遠乗りしたのが懐かしいです。」

シャーロットは、前世で美咲の母が島の近所の更年期のおばさんとストレスを抱えないで、旦那さんや子供達と遊びに行ったり、家事とか手伝ってもらうと良いわよとか漢方も効くわよなんて話していたのを思い出して、一般的なイメージで話してしまっている。

結局、シャーロットは、ずっと王妃と知らないままにジェニー様と呼びながら遠乗りを楽しみ、途中の休憩では、持参のハトムギ茶や豆乳を使ったケーキを王妃にも渡して、体重減少の必要性やコルセットの話などをして楽しく過ごしたのだった。


シャーロット! 天然!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜

白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」  即位したばかりの国王が、宣言した。  真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。  だが、そこには大きな秘密があった。  王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。  この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。  そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。 第一部 貴族学園編  私の名前はレティシア。 政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。  だから、いとこの双子の姉ってことになってる。  この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。  私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。 第二部 魔法学校編  失ってしまったかけがえのない人。  復讐のために精霊王と契約する。  魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。  毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。  修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。 前半は、ほのぼのゆっくり進みます。 後半は、どろどろさくさくです。 小説家になろう様にも投稿してます。

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました

ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。 大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。 ー--- 全5章、最終話まで執筆済み。 第1章 6歳の聖女 第2章 8歳の大聖女 第3章 12歳の公爵令嬢 第4章 15歳の辺境聖女 第5章 17歳の愛し子 権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。 おまけの後日談投稿します(6/26)。 番外編投稿します(12/30-1/1)。 作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...