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シャーロット旋風 王都にて
王妃と遠乗り1
しおりを挟むとうとう 王妃様 vs シャーロット?になるのでしょうか?
「はあ、なかなか側室探しはうまくいっていないと?」
「申し訳ございません、王妃様。やはり王太子妃殿下への遠慮もあるのか二の足を踏んでいるものが多いようです」
「全く王家の安泰のために男子は多い方が良いと言うのに、どの貴族も忠誠心が足りないわね!全く、わたくしの若い時には、王家のために全てを捧げようと思ったものを いまの若い者たちは!」
王妃のイライラは治らない。しかも、国王陛下ももう一歩側室探しに乗り気になってくださらない。
「王太子殿下も、夜会でどなたかお気に召す方でもいらっしゃれば良いのですが、お仕事に忙しいのかあまり熱心に夜会には参加していただけないようです」
そもそも息子がもっと考えるべきなのにどうも消極的だわ。だからこそ、母である私が頑張らなければならないというのに。
体重が増えてきてしまった王妃は甘い砂糖菓子を食べながらどうしようと考える。
「王妃様、お疲れと存じます。気分転換に少し遠乗りにでも出かけられるのはいかがでしょう」
実は王妃は乗馬が好きである。
「まあ、そうね、冬になればとてもそんなことはできない。気分転換を兼ねて遠乗りに行くのも良いかもしれぬ。パトリシア、手配を。それから、できれば今回はお忍びにしようと思う。いつも、仰々しくて大変だし」
「え、お忍びでございますか?わかりました。第一騎士団と相談いたします」
「何?王妃様が遠乗りに?しかもお忍びで?なんでこんなに多忙な時期に・・・」
近衛である第一騎士団長はうなる。この忙しい時期になんで遠乗りなんだ・・・しかし、希望があった以上はどうしようもない。反対すれば、その方が機嫌が悪くなって面倒だ。手配して行くしかない。とりあえず近衛兵の制服ではなく私兵の服装での護衛になるからな、注意するようにしてくれと伝える。
当日である。
王都から馬車で1時間ほど離れたところにあるブラン公園である。森があり、貴族が遠乗りや四阿でお茶を飲めるように整えられている。ちょうど、秋の始まりでコスモスやダリアも咲き乱れており美しい。
久しぶりの遠乗り、昔はよく子供達と出かけたがもう娘達は嫁ぎ、王太子は多忙であり一人である。女官が二人付き従うが、何となく寂しい物悲しい気持ちになる。
ふと見ると、少年とその姉であろう美しい貴族令嬢が護衛とともに遠乗りをしている。二人は微笑みながら馬をのんびり歩かせている。
「あら?あれは誰?」
パトリシアも
「見たことはないですわね。貴族の令嬢であればだいたい存じ上げているのですが・・・」
「声をかけてみることにしよう」
「王妃様、お待ちください。危険です!」
騎士団が反対する。
「ほほほ、このようなところであのような子供が私に何ができると言うのか。さあ。」
王妃に声をかけられたとなったらきっとびっくりするわね、ふふふと思いながら声をかける。
「御機嫌よう。良い天気ですわね」
こちらの方を向いた二人は、
「御機嫌よう。本当に素晴らしい天気で乗馬にはもってこいですわ」
微笑みながらまっすぐこちらを見て姉が答える。
え?この子達、もしかして私が王妃ってわかってないのか?そんな貴族いるのだろうか?もしかしてこの子達貴族ではないのか?いや、でもとてもマナーは貴族らしい・・後ろで子供達の護衛兵が真っ青になって慌てているが、当然何も言えずにいる。
「失礼ですが、どちらの令息と令嬢?お見かけしたことがないように思いますが」
「失礼いたしました。馬上にて失礼します。私は、シャーロット ゼオン、弟はギルバート ゼオン、最近ゼオン侯爵家の養子、養女となりました。ですので、夫人が、私どもをご存知ないのは当然ですわ」
シャーロットとギルバートは乗馬の練習のため護衛兵を連れて遠乗りにきていた。まだ、デイビッドは着任していない。
なんと、あの悲劇のケント子爵の子供達!
後ろで、騎士団が真っ青になっている。つまり、アーサー卿が溺愛していて今度婚約すると言う噂のご令嬢だ。見るだけでアーサーに睨まれると言う噂だ・・
王妃の方は、まあなんとも可愛らしいではないの。そう、ゼオンの養女、つまり侯爵家の令嬢ということであれば王太子の側室にぴったり。なぜ、今まで候補にも出なかったの?と思っている。
「まあ、まあ、では、ケント子爵の令嬢でいらしたの。それは、それは。ここから一緒にいかがかしら?」
シャーロットは、キョトンとしながら、
「はい、ありがとうございます。そうですね。遠乗りは人数が多いほうが楽しいですもの。あの、失礼ですが、夫人のお名前をお聞かせいただいても?」
「ほほほ、私の事はジェニーと呼んで下さい」
本当の名は、ダイアナ ユージェニー ローヌである。
「わかりました。ジェニー様、よろしくお願いします」
シャーロットがにっこり微笑む
シャーロット、前世で習ってないのかな? いかのおすしだよー (笑)
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