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シャーロット旋風 王都にて
新しい護衛
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五日目の朝である。
「へ?護身術?ペリエで襲われたから?」
毎日、毎日侯爵家から驚くような手紙がやってくる。ペリエでの詳細を知らなかったギルバートと侯爵から、護身術を本人が習いたいと言っている、自分たちも賛成だ、ペリエで海賊に連れて行かれそうになってナイフを持っていたから助かったのだと言われて自分たちがショックを受けた話も書かれている。自分もショックである。確かに、男に追いかけられていたシャーロットをあの時助けた。あの時、彼女は怖かったのだろう、震えていた。しかし、その前にそんなことになっていたとは知らなかった。あの野郎、一刀両断に殺したが許せん!と今になって怒りが込み上げてくる。
しかし、護身術である。そんなものはかなり体を密着しながら教えないといけない。絶対に自分以外が教えるなんて許せない。とりあえず、護身術は自分が教えますと返事するが、いずれにせよ、ギルバートとすでに朝の訓練を始めているようだ。
唸っているとオスカーがやってきた。
「若、昨日もお会いになっていますが、今から侯爵家に行かれますか?」
と尋ねてくる。どうも、ウキウキしていると不思議に思っていたが、実はケイトとお付き合いを始めたと聞いたのは昨日だ。
「さすがに今日明日は無理だが、明後日伺うと返事をするつもりだ。お前はついてこなくて良いぞ、一人で行くからな」
「え?若一人というわけには行きません、自分でなくても良いですが、ちゃんとだれかつけてください」
と言ってくる。
「お前は行かなくて良いのか?」
嫌みたらしく聞いてみる。
「大丈夫です。ケイトに会うのは休みの日でと決めていますからね。シャーロット様のお世話に彼女は忙しいので、若に同行したからと言っても、彼女と時間を取れるわけではないですから」
とあっさりした返事である。
「若、大丈夫ですよ。若の暑苦しい思いはみんな知っていますから。7年間離れていたのですからね。俺たちは、俺たちのペースで付き合いますから」
と余裕のあるセリフをいってくる。
「それよりも、若、そろそろシャーロットさまの護衛を決めてください。たった数日でこれだけ外出されるようであれば心配です。想像以上に活動的です。」
護衛か。無論、重要だが、自分が護衛したい。もし、護衛がシャーロットに恋をして拐かしにあったりしたらどうするんだ、心配で護衛がつけられんと悩んでしまう。
「若、良ければ、弟のデイビッドはどうですか?エドワード様の側近として働いていましたが、最近エドワード様はそんなに護衛をつけなくても良いとおっしゃって、デイビッドは、貴族学院に剣の指導に頼まれて行ったり、騎士団の仕事を手伝ったりしています。若を尊敬しているデイビッドなら、シャーロット様に懸想するようなことはないですから」
図星だ。オスカーの弟のデイビッドなら信用ができる。想像していることをすでに読まれている。
「そうだな、デイビッドの腕なら護衛として安心だ。では、早速デイビッドに連絡してくれ。シャーロットと侯爵、ギルバートに紹介したい。」
「ギルバート様もちょうど剣の練習ができて良いでしょう。ずっと平民として過ごされていたので、貴族学院では大変でしょう」
「まあな。足のこともある。だが、オスカー、ギルバートならすぐにその辺の貴族の子弟なら勝てるようになるさ」
「幼いときも、結構筋が良いと褒めておられましたね」
「ああ、正直、一緒に自分も騎士団に入ります、アーサー兄上と一緒に頑張りますなんて張り切っていたときもあったな。まあ、ちょうど良い、ギルバートのことも頼めるとありがたいな」
「御意」
「へ?護身術?ペリエで襲われたから?」
毎日、毎日侯爵家から驚くような手紙がやってくる。ペリエでの詳細を知らなかったギルバートと侯爵から、護身術を本人が習いたいと言っている、自分たちも賛成だ、ペリエで海賊に連れて行かれそうになってナイフを持っていたから助かったのだと言われて自分たちがショックを受けた話も書かれている。自分もショックである。確かに、男に追いかけられていたシャーロットをあの時助けた。あの時、彼女は怖かったのだろう、震えていた。しかし、その前にそんなことになっていたとは知らなかった。あの野郎、一刀両断に殺したが許せん!と今になって怒りが込み上げてくる。
しかし、護身術である。そんなものはかなり体を密着しながら教えないといけない。絶対に自分以外が教えるなんて許せない。とりあえず、護身術は自分が教えますと返事するが、いずれにせよ、ギルバートとすでに朝の訓練を始めているようだ。
唸っているとオスカーがやってきた。
「若、昨日もお会いになっていますが、今から侯爵家に行かれますか?」
と尋ねてくる。どうも、ウキウキしていると不思議に思っていたが、実はケイトとお付き合いを始めたと聞いたのは昨日だ。
「さすがに今日明日は無理だが、明後日伺うと返事をするつもりだ。お前はついてこなくて良いぞ、一人で行くからな」
「え?若一人というわけには行きません、自分でなくても良いですが、ちゃんとだれかつけてください」
と言ってくる。
「お前は行かなくて良いのか?」
嫌みたらしく聞いてみる。
「大丈夫です。ケイトに会うのは休みの日でと決めていますからね。シャーロット様のお世話に彼女は忙しいので、若に同行したからと言っても、彼女と時間を取れるわけではないですから」
とあっさりした返事である。
「若、大丈夫ですよ。若の暑苦しい思いはみんな知っていますから。7年間離れていたのですからね。俺たちは、俺たちのペースで付き合いますから」
と余裕のあるセリフをいってくる。
「それよりも、若、そろそろシャーロットさまの護衛を決めてください。たった数日でこれだけ外出されるようであれば心配です。想像以上に活動的です。」
護衛か。無論、重要だが、自分が護衛したい。もし、護衛がシャーロットに恋をして拐かしにあったりしたらどうするんだ、心配で護衛がつけられんと悩んでしまう。
「若、良ければ、弟のデイビッドはどうですか?エドワード様の側近として働いていましたが、最近エドワード様はそんなに護衛をつけなくても良いとおっしゃって、デイビッドは、貴族学院に剣の指導に頼まれて行ったり、騎士団の仕事を手伝ったりしています。若を尊敬しているデイビッドなら、シャーロット様に懸想するようなことはないですから」
図星だ。オスカーの弟のデイビッドなら信用ができる。想像していることをすでに読まれている。
「そうだな、デイビッドの腕なら護衛として安心だ。では、早速デイビッドに連絡してくれ。シャーロットと侯爵、ギルバートに紹介したい。」
「ギルバート様もちょうど剣の練習ができて良いでしょう。ずっと平民として過ごされていたので、貴族学院では大変でしょう」
「まあな。足のこともある。だが、オスカー、ギルバートならすぐにその辺の貴族の子弟なら勝てるようになるさ」
「幼いときも、結構筋が良いと褒めておられましたね」
「ああ、正直、一緒に自分も騎士団に入ります、アーサー兄上と一緒に頑張りますなんて張り切っていたときもあったな。まあ、ちょうど良い、ギルバートのことも頼めるとありがたいな」
「御意」
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