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番外編2
思わぬ来客2
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「パトリシア様、ようこそおいでくださいました。」
全員が玄関で出迎える。
「ええ、突然の訪問ごめんなさい。あら?イーズス伯爵夫人!もしかして今日はお茶会でもされていたのかしら?悪いことをしてしまったわね?」
「とんでもございません。パトリシア様にお会いできるとは光栄でございます。」
貴族らしく微笑む。
「でも、珍しい取り合わせですのね。そんなにおふた方が仲が良いなんて存じ上げませんでしたわ」
「実は、この間の事件でずっと亡くなったと思われていたシャーロット嬢が生きていたとわかり、アーサーと再度婚約する予定でございます。シャーロット嬢は、ゼオン侯爵のご養女となることも決まりましたので、侯爵のお姉様と婚約式のことについて打ち合わせに参りましたの」
スラスラと言い訳が出てくる。
「まあ、気の早いこと。そんなに簡単に許可が出るかしら・・・」
え?どういうこと?貴族の婚約は確かに届け出が必要だが許可が出ないなんてことは基本ないはずである。
つい顔に出てしまっていたのかもしれない。
「うふふ、後で説明させていただきますわ。それよりも、まあ、なんて素敵なお嬢様たちでしょう。ぜひ、御挨拶いただけないかしら?」
「し、失礼しました。さあ、ロザリー、クリスティナ」
二人が、挨拶をする。そして、エリザベスも挨拶をする。
「では、ご案内させていただきます」
すでに先ほどの客間は、公爵夫人に合わせてしつらえも変更してある。
お茶を再度用意される。
「先ほどの件なのですけどね。この間の暗殺未遂事件があったので、早急に王太子に側室を娶ってもらわなければならなくなりました。ですので、王太子の側室が決定するまでしばらく貴族の婚約にストップをかけるように王妃様が陛下にお願いされておりますの」
なんと、それはさすがに暴挙である。貴族界から反発を食らうのは明らかである。
「そ、それはもう決定事項ですの?」
「いいえ、残念ながら、国王陛下が渋っていらっしゃると伺っております。」
当たり前ですと心の中で思う。
しかし、はっきりわかったのは、王妃様が本気で側室探しをしているということである。
「ほほほ、そんなことになったら、アーサーが気落ちして仕事に手がつかなくなるかもしれませんわね、ねえ、エリザベス?」
「はい、ショックなあまりシャーロット様の側から離れなくなりますわね。」
「まあ、ではそうならないためにも伯爵夫人、ぜひどなたか側室に適切な方をご推挙願いたいわ」
「わ、私如きが推挙できる方など恐れ多いことでございます」
まずいわ、劣勢に陥って来たわと焦っていると、
「失礼します。ゼオン侯爵がギルバート殿とご到着です」
家令が重々しく伝えに来た。
全員が玄関で出迎える。
「ええ、突然の訪問ごめんなさい。あら?イーズス伯爵夫人!もしかして今日はお茶会でもされていたのかしら?悪いことをしてしまったわね?」
「とんでもございません。パトリシア様にお会いできるとは光栄でございます。」
貴族らしく微笑む。
「でも、珍しい取り合わせですのね。そんなにおふた方が仲が良いなんて存じ上げませんでしたわ」
「実は、この間の事件でずっと亡くなったと思われていたシャーロット嬢が生きていたとわかり、アーサーと再度婚約する予定でございます。シャーロット嬢は、ゼオン侯爵のご養女となることも決まりましたので、侯爵のお姉様と婚約式のことについて打ち合わせに参りましたの」
スラスラと言い訳が出てくる。
「まあ、気の早いこと。そんなに簡単に許可が出るかしら・・・」
え?どういうこと?貴族の婚約は確かに届け出が必要だが許可が出ないなんてことは基本ないはずである。
つい顔に出てしまっていたのかもしれない。
「うふふ、後で説明させていただきますわ。それよりも、まあ、なんて素敵なお嬢様たちでしょう。ぜひ、御挨拶いただけないかしら?」
「し、失礼しました。さあ、ロザリー、クリスティナ」
二人が、挨拶をする。そして、エリザベスも挨拶をする。
「では、ご案内させていただきます」
すでに先ほどの客間は、公爵夫人に合わせてしつらえも変更してある。
お茶を再度用意される。
「先ほどの件なのですけどね。この間の暗殺未遂事件があったので、早急に王太子に側室を娶ってもらわなければならなくなりました。ですので、王太子の側室が決定するまでしばらく貴族の婚約にストップをかけるように王妃様が陛下にお願いされておりますの」
なんと、それはさすがに暴挙である。貴族界から反発を食らうのは明らかである。
「そ、それはもう決定事項ですの?」
「いいえ、残念ながら、国王陛下が渋っていらっしゃると伺っております。」
当たり前ですと心の中で思う。
しかし、はっきりわかったのは、王妃様が本気で側室探しをしているということである。
「ほほほ、そんなことになったら、アーサーが気落ちして仕事に手がつかなくなるかもしれませんわね、ねえ、エリザベス?」
「はい、ショックなあまりシャーロット様の側から離れなくなりますわね。」
「まあ、ではそうならないためにも伯爵夫人、ぜひどなたか側室に適切な方をご推挙願いたいわ」
「わ、私如きが推挙できる方など恐れ多いことでございます」
まずいわ、劣勢に陥って来たわと焦っていると、
「失礼します。ゼオン侯爵がギルバート殿とご到着です」
家令が重々しく伝えに来た。
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