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番外編
独りもん同士 呑み会 1
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47話の呑み会です。
二人で、ワインを2、3本開けながら話をする。
「ところで、ずっと不思議に思っていたんですけど、若はいつからシャーロット様のことが好きになったんです? シャーロット様が3歳の時にはすでに惚れ込んでいましたよね」
オスカーはあの頃のアーサーを思い出す。
7歳のくせに、大人かと思うほど冷静で優秀な若が、ケント領に行く前だけ本当に頭の中がシャーロット様のことでいっぱいになって、勉強も訓練も手につかなくなるのである。ちなみに帰ってきてからも1週間はひどかったな。あー言うのを、シャーロット様ロスって言うんだなと振り返る。
「そんなのは決まっている。生まれたときからだ。」
平然とアーサーが言う。
「う、生まれたときからですか?」
まじ、そんなことあんの?若、当時4歳ですよ。生まれたばかりの赤ちゃんを好きになるってどういうこと?
どれだけロリコン、ゲフンゲフン
「いやいやぁ、錯覚してただけでしょう。」
とオスカーは笑う。
アーサーはいたって真面目である。
「いや、違うな。正確には、生まれて2日目だ。そもそも、オスカー、考えてみろ、我が家は、私の二つ下に弟、そして3つ下に、妹が生まれている。」
「無論存じ上げております。エドワード様に、エリザベス様です。それが何か?」
「エドワードの時はまだ自分も幼かったので漠然としているが、それでも何となくわーわー真っ赤な顔をして泣いていたのを覚えている。さらに、妹が生まれたとき、私は、あー、猿だな、猿みたいなものが生まれたと思ったんだ、顔を真っ赤にして叫んでいて、うるさいと思っていて、ようやく寝たと思って見ても、やはり猿みたいだと思ったわけだ。」
「いや、生まれたばかりの赤ん坊なんてそんなものでは・・」
「違うな。いや、私もその時までそう思っていたんだ。父上も母上も生まれたばかりはそうなんだと言っていたしな。」
うん、うんとアーサーが頷く。
「ところが違ったんだ。
ロバート様のところに赤ちゃんが生まれたと聞いた父上は、もう2日後には、お祝いに行くぞと私を同行させた。ちょうど、出産のため王都のタウンハウスで過ごされていたからな。
行く前から、お前のお嫁さんだと父上が興奮していたんだ。まあ、言われながら屋敷に向かったんだが、心の中では、はあ、猿をわざわざ見に行くのかとか思っていたんだ。」
「ところがだ」
ここでアーサーはぐっと手を握りしめて、ガッツポーズをする。
「そこで会ったのは、天使だったんだ。猿じゃないんだぞ。スヤスヤ寝ていて、金髪でまつ毛だって金髪で長いんだ、肌が真っ白で、だけどほっぺたはピンクで唇ももうピンク、天使と表現するしかないだろ?」
その時を思い出したのか、アーサーがうっとりしている。
流石に20歳の男が力説すると、4歳の男の子と違いキモいとオスカーは思った。
「そこには天使がいたんだよ。そして、普通、赤ん坊なんて、なかなか眼を開けないもんだろう?
ところが、シャーロットは、私が顔をみようと覗いた時、ぱちっと眼を開けてくれたんだ。そして、あのウグイス色の目でこちらを見てくれたんだ。
その時に、私は恋に落ちた。そして、その手を指で触ったら、ぎゅっと握ってくれたんだ。行かないでくれってな。」
「それって、赤ん坊は普通の・・」ギロっと睨まれて黙る。
「私は、すぐさま、ケント子爵夫妻と父上にお願いしたんだ。将来結婚させてくださいと。無論、快諾された。もちろん、ケント家に弟が産まれたらが条件だったけどな。そこから、シャーロットは私の恋人であり天使であり、婚約者となったわけだ。」
「な、なるほど、よく理解できました。若は、シャーロット様が生まれた時から一目惚れして恋に落ちたわけですね。」
「そう、それからも、会うたびに私はシャーロットが好きになったんだ。」
「あれは、彼女が1歳の誕生日の時・・・」
「 2歳の時には・・・・」
「もう、そろそろ良いです。その辺でやめませんか?」
「何を言う、お前が今回は天使について語っても良いと言ったんじゃないか。
もう、2時間聴いてますってばあ・・・ため息
二人で、ワインを2、3本開けながら話をする。
「ところで、ずっと不思議に思っていたんですけど、若はいつからシャーロット様のことが好きになったんです? シャーロット様が3歳の時にはすでに惚れ込んでいましたよね」
オスカーはあの頃のアーサーを思い出す。
7歳のくせに、大人かと思うほど冷静で優秀な若が、ケント領に行く前だけ本当に頭の中がシャーロット様のことでいっぱいになって、勉強も訓練も手につかなくなるのである。ちなみに帰ってきてからも1週間はひどかったな。あー言うのを、シャーロット様ロスって言うんだなと振り返る。
「そんなのは決まっている。生まれたときからだ。」
平然とアーサーが言う。
「う、生まれたときからですか?」
まじ、そんなことあんの?若、当時4歳ですよ。生まれたばかりの赤ちゃんを好きになるってどういうこと?
どれだけロリコン、ゲフンゲフン
「いやいやぁ、錯覚してただけでしょう。」
とオスカーは笑う。
アーサーはいたって真面目である。
「いや、違うな。正確には、生まれて2日目だ。そもそも、オスカー、考えてみろ、我が家は、私の二つ下に弟、そして3つ下に、妹が生まれている。」
「無論存じ上げております。エドワード様に、エリザベス様です。それが何か?」
「エドワードの時はまだ自分も幼かったので漠然としているが、それでも何となくわーわー真っ赤な顔をして泣いていたのを覚えている。さらに、妹が生まれたとき、私は、あー、猿だな、猿みたいなものが生まれたと思ったんだ、顔を真っ赤にして叫んでいて、うるさいと思っていて、ようやく寝たと思って見ても、やはり猿みたいだと思ったわけだ。」
「いや、生まれたばかりの赤ん坊なんてそんなものでは・・」
「違うな。いや、私もその時までそう思っていたんだ。父上も母上も生まれたばかりはそうなんだと言っていたしな。」
うん、うんとアーサーが頷く。
「ところが違ったんだ。
ロバート様のところに赤ちゃんが生まれたと聞いた父上は、もう2日後には、お祝いに行くぞと私を同行させた。ちょうど、出産のため王都のタウンハウスで過ごされていたからな。
行く前から、お前のお嫁さんだと父上が興奮していたんだ。まあ、言われながら屋敷に向かったんだが、心の中では、はあ、猿をわざわざ見に行くのかとか思っていたんだ。」
「ところがだ」
ここでアーサーはぐっと手を握りしめて、ガッツポーズをする。
「そこで会ったのは、天使だったんだ。猿じゃないんだぞ。スヤスヤ寝ていて、金髪でまつ毛だって金髪で長いんだ、肌が真っ白で、だけどほっぺたはピンクで唇ももうピンク、天使と表現するしかないだろ?」
その時を思い出したのか、アーサーがうっとりしている。
流石に20歳の男が力説すると、4歳の男の子と違いキモいとオスカーは思った。
「そこには天使がいたんだよ。そして、普通、赤ん坊なんて、なかなか眼を開けないもんだろう?
ところが、シャーロットは、私が顔をみようと覗いた時、ぱちっと眼を開けてくれたんだ。そして、あのウグイス色の目でこちらを見てくれたんだ。
その時に、私は恋に落ちた。そして、その手を指で触ったら、ぎゅっと握ってくれたんだ。行かないでくれってな。」
「それって、赤ん坊は普通の・・」ギロっと睨まれて黙る。
「私は、すぐさま、ケント子爵夫妻と父上にお願いしたんだ。将来結婚させてくださいと。無論、快諾された。もちろん、ケント家に弟が産まれたらが条件だったけどな。そこから、シャーロットは私の恋人であり天使であり、婚約者となったわけだ。」
「な、なるほど、よく理解できました。若は、シャーロット様が生まれた時から一目惚れして恋に落ちたわけですね。」
「そう、それからも、会うたびに私はシャーロットが好きになったんだ。」
「あれは、彼女が1歳の誕生日の時・・・」
「 2歳の時には・・・・」
「もう、そろそろ良いです。その辺でやめませんか?」
「何を言う、お前が今回は天使について語っても良いと言ったんじゃないか。
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