上 下
81 / 136
シャーロット4

治療師学院の先生

しおりを挟む
「お嬢様、旦那様から、無事王太子殿下ご夫妻とともに王都に到着したと連絡が参りました。
そして、一緒に王都新聞も届きました。」

「まあ、ご無事で何よりです。安心しました。ありがとう、ノアさん」

新聞を読んでびっくりする。なんてこと、今回の王太子殿下の暗殺計画にゲルトランが関与していたなんて、しかもあの時の男達が今回殿下を暗殺しようとしていたと。ケント領の屋敷はゲルトランによって麻薬の栽培地となってしまっていたことも書かれており愕然とする。

お嬢様、なんて書かれているのですか?とエマに聞かれて、内容を説明する。そして、2週間後に裁判が開かれるだろうということも説明する。

しかし、二人ともショックなのは、ケントの屋敷が麻薬の栽培地となってしまっていたことである。

「ウィリアムやハンス爺、みんな大丈夫なのかしら。」

エマは、
「ウィリアムさんはそんな悪事に加担するような人じゃありません。きっとお屋敷をやめて何処かで過ごしていますよ。きっと大丈夫です」

と慰めてくれる。

しかし、一旦麻薬の栽培地となってしまったのであれば、それを普通の土地に戻すのは何年も時間がかかるに違いない。おそらく領地は没収されてしまうに違いない。ギルバートはどうすれば良いのだろう。これもアーサーと相談しなくてはと思う。できれば貴族の学校にいかせてあげたいけどとも思う。

「お嬢様、治療師学院の先生が来られております。」

「ありがとうございます。お通ししてください。」


「エミリー先生、噂には聞いておりましたが、本当に実は、貴族のお嬢様だったのですね」

と学院で教師をしてくれていたエドガーがシャーロットとあって呆然として話す。

「その節には、本当のことを話せず申し訳ありませんでした。そしてあのときにはご指導ありがとうございました。」

「いやいや、あの時からすでに私があなたに教えるものなんてほとんどなかったですから。今回、エミリー先生がゼオンに戻ってきて侯爵家で過ごされていると聞いて、ぜひ学院で教えてもらえないかと思ってきたのですが、お会いしてちょっとやめたほうが良いんだなとは思いました。ただ、代わりに、教科書を作ってもらえないかとお願いできればと思います。」

「まあ、なんて素敵なお話でしょう。教科書も作りますが、教えに行くのもぜひさせてください。」

「いやいや、こんな素敵な方がきたら護衛兵が常にいないと心配になります。それについては侯爵様の許可をとらせていただきます。まずは、教科書の作成をお願いします。」

シャーロットは、どうしてみんなそんなに過保護なのかしらと首を傾けるが、シャーロットの後ろに立っていたノアとエマが大きく頷く。

シャーロットは早速、教科書の構想を練る。なんと言っても、コンピューターはないので手書きである。おそらく1冊作ったらそれをもとに印刷がされるはずだ。やるからには、きちんとしたものを作りたい、頑張ろうと思う。

できれば、出産や女性の体のサイクルについてもいれたい。今は産婆さんが自分の経験だけでやっていて教科書も何も無い。そうすれば、女性で出産する人の参考にもなる、女性で治療師や助産師さんになりたい人もでてくるかもしれない。

あとは、できれば、ここの常識からあまりかけ離れたものを書くのは良くない、美咲としての膨大な知識は、ここでは異端と言われるレベルになってしまう。
できれば、この国の医学書を読みたいわ。侯爵家のお抱えのお医者様に頼んで読ませてもらえないかしら。それとも王都の図書館に行けば可能になるのかしらと思う。


これからどうするのか、どうしたいのか本当に考えなくてはねと思うのであった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~

りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。 ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。 我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。 ――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」 乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。 「はい、では平民になります」 虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――  乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】! ★★  乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ! ★★  この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

チートスキルを貰って転生したけどこんな状況は望んでない

カナデ
ファンタジー
大事故に巻き込まれ、死んだな、と思った時には真っ白な空間にいた佐藤乃蒼(のあ)、普通のOL27歳は、「これから異世界へ転生して貰いますーー!」と言われた。 一つだけ能力をくれるという言葉に、せっかくだから、と流行りの小説を思い出しつつ、どんなチート能力を貰おうか、とドキドキしながら考えていた。 そう、考えていただけで能力を決定したつもりは無かったのに、気づいた時には異世界で子供に転生しており、そうして両親は襲撃されただろう荷馬車の傍で、自分を守るかのように亡くなっていた。 ーーーこんなつもりじゃなかった。なんで、どうしてこんなことに!! その両親の死は、もしかしたら転生の時に考えていたことが原因かもしれなくてーーーー。 自分を転生させた神に何度も繰り返し問いかけても、嘆いても自分の状況は変わることはなく。 彼女が手にしたチート能力はーー中途半端な通販スキル。これからどう生きたらいいのだろう? ちょっと最初は暗めで、ちょっとシリアス風味(はあまりなくなります)な異世界転生のお話となります。 (R15 は残酷描写です。戦闘シーンはそれ程ありませんが流血、人の死がでますので苦手な方は自己責任でお願いします) どんどんのんびりほのぼのな感じになって行きます。(思い出したようにシリアスさんが出たり) チート能力?はありますが、無双ものではありませんので、ご了承ください。 今回はいつもとはちょっと違った風味の話となります。 ストックがいつもより多めにありますので、毎日更新予定です。 力尽きたらのんびり更新となりますが、お付き合いいただけたらうれしいです。 5/2 HOT女性12位になってました!ありがとうございます! 5/3 HOT女性8位(午前9時)表紙入りしてました!ありがとうございます! 5/3 HOT女性4位(午後9時)まで上がりました!ありがとうございます<(_ _)> 5/4 HOT女性2位に起きたらなってました!!ありがとうございます!!頑張ります! 5/5 HOT女性1位に!(12時)寝ようと思ってみたら驚きました!ありがとうございます!!

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

処理中です...