72 / 136
王都にて2
王太子の帰還2
しおりを挟む
「そして、アーサー、そなたはこの件が終わったらシャーロット嬢をゼオンまで迎えに行くつもりか?」
「はい、無論です。彼女を迎えに言って、王都の伯爵家で過ごしてもらうつもりでいます。」
王太子と侯爵がクスクス笑いながら、話す。
「アーサー、そなたは、本当に優秀なのにシャーロット嬢のことになると途端にダメになるな。」
アーサーはちょっとムッとする。自覚は多少あるもののそこまで指摘されるとはと思っていると、
「アーサー殿、私たちは、君にシャーロット嬢が送ってきた手紙も一緒に読んでいる。最後の君に向けた愛情に満ちた文面もね。」
思い出すと、アーサーは顔が赤くなる。そうだ、緊急事態だったので、あの文章は殿下や侯爵、ギルバート達みんなに見せている。
「あの文章は、もう一度あなたと話し合いたい、ゼオンであなたが来てくれるのを待っていますと書かれていたが、迎えにきてくださいとは書いてなかったぞ。」
と殿下は少しニヤニヤする。
「つまり、お前に迎えにきてもらってすぐ結婚しますとは書いてなかったということが言いたい。」
頷きながら、侯爵が話す。「我々は、君と違って、ゆっくり馬車や宿泊先で話す時間があったからね。私は、この約4年については、君よりも彼女との付き合いは長い。」
「昔の彼女のことは知らないが まず、大前提として、アーサー殿、シャーロット嬢は、貴殿が今まで知っているシャーロット嬢とはかなり違うと思う。どこの貴族令嬢が殺されかけた後、平民となって治療師の資格をとるか?
私は、この数年、彼女を見ていて知っているが、彼女は、非常に頭が良い自立した女性で、科学的に観察し冷静に判断する力も持っている。今回の件を見ていてもそれはわかったと思う。治療師としても街の住民に信頼されている。
しかも、我が領土が、この数年ハーブやその産業で栄え始めたのは全て彼女のアドバイスのおかげだ。彼女は、蒸留という画期的な方法を考案してこれからさらに発展すると思われる。
今回の暗殺事件を未然に防ぐことができたのは、彼女の発想があったからだ。おそらく、この件についての彼女の功績が発表されれば、誰も彼女を女の治療師だと見下げるものはいなくなる。なんせ、王太子夫妻を救った救世主だからね。」
確かにそうだ。今回彼女がいなければ暗殺は未遂ではすまなかったかもしれないのだ。アーサーも頷く。
「彼女は、君のことを好きだが、話し合いたいと書いている。今までの仕事に彼女はプライドを持っているのだよ。話し合うときに、君が、彼女を屋敷に閉じ込めて彼女の行動を阻害するような言動をしたら彼女は君のことが好きでも受け入れられないかもしれない。アーサー殿と結婚して良妻賢母として家に閉じこもっているような女性ではない。むしろ、私は、彼女を大学に入れてもっと学ばせたい。そうすることが、この国にとって大きな発展に寄与するのではと思うのだよ。」
「はい、無論です。彼女を迎えに言って、王都の伯爵家で過ごしてもらうつもりでいます。」
王太子と侯爵がクスクス笑いながら、話す。
「アーサー、そなたは、本当に優秀なのにシャーロット嬢のことになると途端にダメになるな。」
アーサーはちょっとムッとする。自覚は多少あるもののそこまで指摘されるとはと思っていると、
「アーサー殿、私たちは、君にシャーロット嬢が送ってきた手紙も一緒に読んでいる。最後の君に向けた愛情に満ちた文面もね。」
思い出すと、アーサーは顔が赤くなる。そうだ、緊急事態だったので、あの文章は殿下や侯爵、ギルバート達みんなに見せている。
「あの文章は、もう一度あなたと話し合いたい、ゼオンであなたが来てくれるのを待っていますと書かれていたが、迎えにきてくださいとは書いてなかったぞ。」
と殿下は少しニヤニヤする。
「つまり、お前に迎えにきてもらってすぐ結婚しますとは書いてなかったということが言いたい。」
頷きながら、侯爵が話す。「我々は、君と違って、ゆっくり馬車や宿泊先で話す時間があったからね。私は、この約4年については、君よりも彼女との付き合いは長い。」
「昔の彼女のことは知らないが まず、大前提として、アーサー殿、シャーロット嬢は、貴殿が今まで知っているシャーロット嬢とはかなり違うと思う。どこの貴族令嬢が殺されかけた後、平民となって治療師の資格をとるか?
私は、この数年、彼女を見ていて知っているが、彼女は、非常に頭が良い自立した女性で、科学的に観察し冷静に判断する力も持っている。今回の件を見ていてもそれはわかったと思う。治療師としても街の住民に信頼されている。
しかも、我が領土が、この数年ハーブやその産業で栄え始めたのは全て彼女のアドバイスのおかげだ。彼女は、蒸留という画期的な方法を考案してこれからさらに発展すると思われる。
今回の暗殺事件を未然に防ぐことができたのは、彼女の発想があったからだ。おそらく、この件についての彼女の功績が発表されれば、誰も彼女を女の治療師だと見下げるものはいなくなる。なんせ、王太子夫妻を救った救世主だからね。」
確かにそうだ。今回彼女がいなければ暗殺は未遂ではすまなかったかもしれないのだ。アーサーも頷く。
「彼女は、君のことを好きだが、話し合いたいと書いている。今までの仕事に彼女はプライドを持っているのだよ。話し合うときに、君が、彼女を屋敷に閉じ込めて彼女の行動を阻害するような言動をしたら彼女は君のことが好きでも受け入れられないかもしれない。アーサー殿と結婚して良妻賢母として家に閉じこもっているような女性ではない。むしろ、私は、彼女を大学に入れてもっと学ばせたい。そうすることが、この国にとって大きな発展に寄与するのではと思うのだよ。」
12
お気に入りに追加
3,186
あなたにおすすめの小説
このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。
【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜
白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」
即位したばかりの国王が、宣言した。
真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。
だが、そこには大きな秘密があった。
王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。
この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。
そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。
第一部 貴族学園編
私の名前はレティシア。
政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。
だから、いとこの双子の姉ってことになってる。
この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。
私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。
第二部 魔法学校編
失ってしまったかけがえのない人。
復讐のために精霊王と契約する。
魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。
毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。
修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。
前半は、ほのぼのゆっくり進みます。
後半は、どろどろさくさくです。
小説家になろう様にも投稿してます。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
異世界転移した町民Aは普通の生活を所望します!!
コスモクイーンハート
ファンタジー
異世界転移してしまった女子高生の合田結菜はある高難度ダンジョンで一人放置されていた。そんな結菜を冒険者育成クラン《炎樹の森》の冒険者達が保護してくれる。ダンジョンの大きな狼さんをもふもふしたり、テイムしちゃったり……。
何気にチートな結菜だが、本人は普通の生活がしたかった。
本人の望み通りしばらくは普通の生活をすることができたが……。勇者に担がれて早朝に誘拐された日を境にそんな生活も終わりを告げる。
何で⁉私を誘拐してもいいことないよ⁉
何だかんだ、半分無意識にチートっぷりを炸裂しながらも己の普通の生活の(自分が自由に行動できるようにする)ために今日も元気に異世界を爆走します‼
※現代の知識活かしちゃいます‼料理と物作りで改革します‼←地球と比べてむっちゃ不便だから。
#更新は不定期になりそう
#一話だいたい2000字をめどにして書いています(長くも短くもなるかも……)
#感想お待ちしてます‼どしどしカモン‼(誹謗中傷はNGだよ?)
#頑張るので、暖かく見守ってください笑
#誤字脱字があれば指摘お願いします!
#いいなと思ったらお気に入り登録してくれると幸いです(〃∇〃)
#チートがずっとあるわけではないです。(何気なく時たまありますが……。)普通にファンタジーです。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる