上 下
69 / 136
王都にて2

第二騎士団の帰還

しおりを挟む
王都では、イーズス騎士団長が、今かいまかと第二騎士団の到着を待っていた。

早馬で、ペリエで海賊に襲われたこと、その後ゼオンから戻って来ることなど、漸次連絡はきていた。

その後に、王都に内通者がいるらしいこと、再度の襲撃が計画されていることがわかり、それを予測して、王太子夫妻には別ルートで第二騎士団の一部とゼオン侯爵とバラン伯爵の護衛団を中心に守られながら王都に向かい、アーサーをはじめとする第二騎士団はバランで手配された王太子夫妻の影武者になるものとともに囮として、その一団を一網打尽にするために本来のルートで王都に向かうと連絡がきたのだ。

相手に動きが発覚しないようにひたすら王都で待つしかなかったのだ。


「閣下、第二騎士団が戻ってこられました。一味を逮捕捕獲しているようです!」

「よし、でかした。アーサー!」と向かう。

騎士団の門を入ったところに、第二騎士団が到着し、全員で敬礼する。
「アーサー イーズス、戻ってまいりました。」

「よく勤めを果たしてくれた。王太子殿下もこちらに向かっておられる、4、5日で到着されるだろうとのことだ。それまでに、逮捕した奴らを拷問してでも吐かせて、まだのうのうと過ごしている奴らを捕まえるのだ。」

「は!逮捕以来取り調べており、複数の商店が該当するようで、そちらにも兵を派遣しておりますが、一部はすでに王都を出立してしまったようです。すでにあとを追うように命令はしております。」

逮捕したゲルトランと、その手下の兵士たち、そして外国籍の兵士たちの取り調べは進んでいるものの、トカゲの尻尾切りとなってしまい、外国籍の商店がすでにもぬけの殻状態となってしまっているのである。

その中でも騎士団がしらみつぶしに捜索し、複数の関係者は逮捕ができたが、一部は自殺してしまいドルミカ王国との関連が証明しきれない状態であった。

「アーサー、此度もよくやった。襲撃を許してしまったことは残念だが、ペリエの街を守ることもでき、二度目の襲撃は未然にふせげた。あとは、ドルミカ国とどうしていくかはここから国王陛下と議会で決めていくことになるな。」

「きっと、相手は、海賊も兵士も知らぬ存ぜぬで済まして来るのでしょうな。」

「ドルミカ王国の人間であることは間違いないのだ。知らぬ存ぜぬでは通せない、しかしなんとも王太子の暗殺を計画するとは不埒な奴らだ。」

「はい、国王陛下には男性のお子様が王太子殿下しかいらっしゃらない。そして、殿下にも男のお子様はお一人のみ。王太子殿下の暗殺に成功すれば、我が国の被害は多大なものになるところでした。」
と頷く。

「ふむ、それはまた考えるとして警護をさらに厚くする必要があるな。アーサー」

「閣下、私は、もう少ししたら休暇を申請しますので王家の警護は第一騎士団でお願い申し上げます。」

「な、何を。いま、しばらく忙しくなると言おうとしたところだぞ」


「そもそも王家の警護は、第一騎士団の職務です。それに第3、第4も街の警護という意味では一緒に行うべきでしょう。」


「確かにそうだが。一体どういうことだ。」

「王太子殿下ご夫妻とゼオン侯爵が数日後に到着されるはずです。その時に、改めてお話ししたいと思います。それまでに私は、もう少し外国の商店の追跡をしたいと思いますのでよろしくお願いします。報告書については、オスカーに用意させています。 失礼します。」



「オスカー、どういうことだ!」

出て行こうとするオスカーを捕まえる。


「話すと長くなるのですが、一言でいえば、シャーロット様が生きていて、今はゼオンで過ごされていて、アーサーさまが迎えにいくつもりでいるってことですかね。」

オスカーがへらっと話す。

「シャーロットが生きていたと!」

「はい、とりあえず、合わせて報告書をお読みいただけると良いかと。私も、急ぎ追跡に行ってまいります。」

アーサーを追いかけるように出て行ったのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――  乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】! ★★  乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ! ★★  この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす

のりのりの
ファンタジー
木から降りれなくなった子猫を助けようとした侯爵令嬢の次女フレーシア・アドルミデーラは、木から落ちて、池で溺れた。池に落ちた勢いで、水底の石に頭をぶつけ、高熱にうなされた挙げ句、自分が腐女子OLだった前世の記憶をとり戻す。 転生先は、前世でやり込んでいた乙女ゲーム『君に翼があるならば、この愛を捧げよう』(略してキミツバ)の世界だった。 フレーシアは攻略キャラに出会うごとに、前世で課金しまくったキミツバの内容を思い出していく。 だが、彼女は、ヒロインでも、悪役令嬢でもなく、侯爵の次女に転生していた。 ただのモブ、と思ったら、異母兄は、キミツバで一番大好きだった(貢いだ)攻略キャラだった。 だが、フレーシアは、キミツバの本編が始まる前に、池で溺れて死んだという、攻略キャラにトラウマを与えるために設定されたキャラだった。 たしかに、池で溺れたけど、なぜか生きてます? トラウマ発生しませんでした? フレーシアが死ななかったことにより、攻略キャラたちの運命が微妙に変わっていく。 ただ、このキミツバの世界。 乙女ゲームとしては異色ともいえる廃課金ユーザーターゲットのハードなゲームだった。 選択肢を間違えたら、攻略キャラは簡単に死亡するのは当たり前。恋愛シーンスチルよりも、死亡シーンスチルの方が圧倒的に多いという阿鼻叫喚なゲーム。 うっかりしてたら、侯爵家は陰謀に巻き込まれ、兄以外は使用人もろとも全員が死亡して、御家断絶。 他の攻略キャラも似たような展開なのだが、異母兄は自分の家を滅ぼした連中の復讐のために、国を滅ぼし、他の攻略キャラを惨殺する。 家族が惨殺されるのを防ぐため、 推しキャラの闇落ちを阻むため、 死亡絶対回避不可能といわれている最難関攻略キャラを助けるため、 転生腐女子フレーシア・アドルミデーラは、破滅フラグを折りまくる!

チートスキルを貰って転生したけどこんな状況は望んでない

カナデ
ファンタジー
大事故に巻き込まれ、死んだな、と思った時には真っ白な空間にいた佐藤乃蒼(のあ)、普通のOL27歳は、「これから異世界へ転生して貰いますーー!」と言われた。 一つだけ能力をくれるという言葉に、せっかくだから、と流行りの小説を思い出しつつ、どんなチート能力を貰おうか、とドキドキしながら考えていた。 そう、考えていただけで能力を決定したつもりは無かったのに、気づいた時には異世界で子供に転生しており、そうして両親は襲撃されただろう荷馬車の傍で、自分を守るかのように亡くなっていた。 ーーーこんなつもりじゃなかった。なんで、どうしてこんなことに!! その両親の死は、もしかしたら転生の時に考えていたことが原因かもしれなくてーーーー。 自分を転生させた神に何度も繰り返し問いかけても、嘆いても自分の状況は変わることはなく。 彼女が手にしたチート能力はーー中途半端な通販スキル。これからどう生きたらいいのだろう? ちょっと最初は暗めで、ちょっとシリアス風味(はあまりなくなります)な異世界転生のお話となります。 (R15 は残酷描写です。戦闘シーンはそれ程ありませんが流血、人の死がでますので苦手な方は自己責任でお願いします) どんどんのんびりほのぼのな感じになって行きます。(思い出したようにシリアスさんが出たり) チート能力?はありますが、無双ものではありませんので、ご了承ください。 今回はいつもとはちょっと違った風味の話となります。 ストックがいつもより多めにありますので、毎日更新予定です。 力尽きたらのんびり更新となりますが、お付き合いいただけたらうれしいです。 5/2 HOT女性12位になってました!ありがとうございます! 5/3 HOT女性8位(午前9時)表紙入りしてました!ありがとうございます! 5/3 HOT女性4位(午後9時)まで上がりました!ありがとうございます<(_ _)> 5/4 HOT女性2位に起きたらなってました!!ありがとうございます!!頑張ります! 5/5 HOT女性1位に!(12時)寝ようと思ってみたら驚きました!ありがとうございます!!

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

処理中です...