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王都へ
ゲルトラン
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ケント子爵屋敷
ゲルトランは、イライラしながらウロウロと玄関前を行き来している。
おかしい、予定だととっくに戻って来ても良い時間なのに、なぜあいつら戻ってこんのだ。
と舌打ちする。
やはりこんなことに加担するのじゃなかったか、とも思う。
王都のパーティーで外国の商店の男に声をかけられたとき、ちょうど収入が減って困っていた時期だった。麻薬を領地で栽培し始めてその売買を開始したところだが、なかなか栽培はうまく行かなく収穫量が限られており、金策に行き詰まり始めていた。
そんなときに、融資してもらい、なんとか息を継いだところで、麻薬の売買をしていることを知っていると脅されたのだった。麻薬を自分たちにもよこせ、そして黙っておいて欲しければ、王太子一行の旅行の日程を調べて報告しろと。何に使うのかと聞いても、教えてはくれなかった。
仕方なく、妻や息子にどこの領地に寄るのか情報を集めさせつつ、軍隊にもジョンを内偵として向かわせて日程を把握した。そして、それを伝えた後、今度は、ジョンに、うまい話があると声をかけて来たのだった。まさか、王太子の馬車の前に石を落としてそれを襲撃するなんてことをするとは思わなかったのだ。
行く直前になって、ジョンがそういう計画があると言って来て流石に真っ青になったのだ。しかも、前回ロバートの時にうまく言ったことから思いついだのだと。しかし、もうここまで来てしまえばどうしようもない。このまま知らぬ存ぜぬで過ごすしかない、ジョン達が戻って来たら匿えば良いと思っていたのだ。
おかしい、なぜ帰ってこない。
馬の音が聞こえる、何頭もだ。玄関を開けてみると、道の向こうから、兵の一団がやって来る。なんと、あれは、王国の第二騎士団だ・・
先頭の男が、馬を降りて歩いて来た。その手や鎧、制服には、返り血がついている。アーサーだ。あの時のシャーロットの婚約者だ。
「やあ、ゲルトラン、お前の手下の兵隊たちを恐れ多くも王太子暗殺未遂の現行犯で逮捕した。お前もその一味と考える。何か言いたいことはあるか。」
真っ青になりながら、
「手下の兵隊たちとはなんでしょう。そんなことは全く知りません、何かの間違いだと思います。失礼ではないですか!」
と答える。
「申しひらきは、騎士団で聞こう、少なくとも、すでに捕まえた兵達はお前の関与について言っているぞ。」
「王太子殿下暗殺計画の立案、実施で逮捕だ!拘束しろ!」
「ハッ」
部下がゲルトランを拘束する。
そして、屋敷の中の証拠になる書類等を捜索するために中に入る。
「なんと・・これがあのシャーロットたちが住んでいた屋敷とは・・」
すでに使用人もほとんどいず、ゲルトランと子飼いの兵隊たちが長い間 好きに過ごしていたため、屋敷は荒れ放題である。
庭を見ると、庭のほとんどは枯れており、雑草だらけで、一部に、赤色の花が咲いているのみである。情けない、あのハーブで有名だったはずの庭が・・これは・・この花はもしや麻薬ではないか!
「おいっ!これは麻薬だろう!なんてことだ!よもや、シャーロットの庭でこんなことを!」
拘束されているゲルトランの胸ぐらを掴む。
「ひっ!し、知らん、私は関係ない!」
「麻薬の栽培は禁止されている。王太子殿下暗殺計画の実施だけでなく麻薬の栽培で逮捕だ。」
庭は麻薬と雑草だらけ、屋敷は荒廃した状態でとても住める状態ではない。
裏に向かうと荒れた状態のケント家の墓があるばかりである。
できれば、修繕したいが、これほど麻薬が栽培されてしまうとしばらくここで何かをすることは難しいとも思われる。根こそぎ潰してもしばらくは他のものは栽培できないだろう。
「シャーロットが悲しむだろうが・・・」
と思いつつ、ケント領を後にしたのだった。
ゲルトランは、イライラしながらウロウロと玄関前を行き来している。
おかしい、予定だととっくに戻って来ても良い時間なのに、なぜあいつら戻ってこんのだ。
と舌打ちする。
やはりこんなことに加担するのじゃなかったか、とも思う。
王都のパーティーで外国の商店の男に声をかけられたとき、ちょうど収入が減って困っていた時期だった。麻薬を領地で栽培し始めてその売買を開始したところだが、なかなか栽培はうまく行かなく収穫量が限られており、金策に行き詰まり始めていた。
そんなときに、融資してもらい、なんとか息を継いだところで、麻薬の売買をしていることを知っていると脅されたのだった。麻薬を自分たちにもよこせ、そして黙っておいて欲しければ、王太子一行の旅行の日程を調べて報告しろと。何に使うのかと聞いても、教えてはくれなかった。
仕方なく、妻や息子にどこの領地に寄るのか情報を集めさせつつ、軍隊にもジョンを内偵として向かわせて日程を把握した。そして、それを伝えた後、今度は、ジョンに、うまい話があると声をかけて来たのだった。まさか、王太子の馬車の前に石を落としてそれを襲撃するなんてことをするとは思わなかったのだ。
行く直前になって、ジョンがそういう計画があると言って来て流石に真っ青になったのだ。しかも、前回ロバートの時にうまく言ったことから思いついだのだと。しかし、もうここまで来てしまえばどうしようもない。このまま知らぬ存ぜぬで過ごすしかない、ジョン達が戻って来たら匿えば良いと思っていたのだ。
おかしい、なぜ帰ってこない。
馬の音が聞こえる、何頭もだ。玄関を開けてみると、道の向こうから、兵の一団がやって来る。なんと、あれは、王国の第二騎士団だ・・
先頭の男が、馬を降りて歩いて来た。その手や鎧、制服には、返り血がついている。アーサーだ。あの時のシャーロットの婚約者だ。
「やあ、ゲルトラン、お前の手下の兵隊たちを恐れ多くも王太子暗殺未遂の現行犯で逮捕した。お前もその一味と考える。何か言いたいことはあるか。」
真っ青になりながら、
「手下の兵隊たちとはなんでしょう。そんなことは全く知りません、何かの間違いだと思います。失礼ではないですか!」
と答える。
「申しひらきは、騎士団で聞こう、少なくとも、すでに捕まえた兵達はお前の関与について言っているぞ。」
「王太子殿下暗殺計画の立案、実施で逮捕だ!拘束しろ!」
「ハッ」
部下がゲルトランを拘束する。
そして、屋敷の中の証拠になる書類等を捜索するために中に入る。
「なんと・・これがあのシャーロットたちが住んでいた屋敷とは・・」
すでに使用人もほとんどいず、ゲルトランと子飼いの兵隊たちが長い間 好きに過ごしていたため、屋敷は荒れ放題である。
庭を見ると、庭のほとんどは枯れており、雑草だらけで、一部に、赤色の花が咲いているのみである。情けない、あのハーブで有名だったはずの庭が・・これは・・この花はもしや麻薬ではないか!
「おいっ!これは麻薬だろう!なんてことだ!よもや、シャーロットの庭でこんなことを!」
拘束されているゲルトランの胸ぐらを掴む。
「ひっ!し、知らん、私は関係ない!」
「麻薬の栽培は禁止されている。王太子殿下暗殺計画の実施だけでなく麻薬の栽培で逮捕だ。」
庭は麻薬と雑草だらけ、屋敷は荒廃した状態でとても住める状態ではない。
裏に向かうと荒れた状態のケント家の墓があるばかりである。
できれば、修繕したいが、これほど麻薬が栽培されてしまうとしばらくここで何かをすることは難しいとも思われる。根こそぎ潰してもしばらくは他のものは栽培できないだろう。
「シャーロットが悲しむだろうが・・・」
と思いつつ、ケント領を後にしたのだった。
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