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王都へ

2通の手紙

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何者だと見ると、ゼオン侯爵の旗をあげている。

「王太子殿下、ゼオン侯爵、貴侯家からの早馬のようです。しかも兵の一団も一緒のようです。」

と声をかけ、馬車を止める。そして、警戒体制を取りながら、
「何事だ!」
と早馬に声をかける。

早馬から降りた伝達兵が、
「ドルミカ王国が実はもう一度襲撃を計画しているようです。ノア様から追加の警護をと派遣されました。こちらの手紙2通をご覧ください。1通はノア様から、もう1通はエミリー治療師からです。」
と大声で話す。

何と、シャーロットから私に手紙だと?と浮き立つ気持ちを抑えて家令の手紙を読む。そして、シャーロットの手紙を読み、
「これは・・・」と驚く。

降りてきた王太子と侯爵にこの二通の手紙を見せる。
二人は、読んだあと、王太子は、笑いながら

「アーサー、お前の婚約者はすごいな。」と笑う。

「殿下、シャーロット嬢の発想力、知識、考え方は我々と全く違うのですよ。興味深いとずっと思っていたのです。」

「よし、とりあえず、次の領地に移動しよう。そして、そこで、もう一度作戦会議だ」
と王太子が指示する。

「御意」と皆頭を下げるのであった。

隣の領地のバランでは、バラン伯爵が前触れを聞いて、今やいまかと待っていた。
王太子一行、ゼオン侯爵、そしてその兵団の多さを見て驚きつつ、ペリエの襲撃について耳にしていた伯爵としては当然のことと納得したのだった。

そこで、王太子、アーサー、ゼオン侯爵、バラン伯爵は、早速今後について会議を始める。

バラン伯爵は、
「なるほど、内通者がいて、もう一度襲撃を予定されていると。しかもその場所は、ケント領の近くのボーヌの山道ではないかということなのですな。

しかし、何とも、やや荒唐無稽では?
我が国内で王太子殿下妃殿下を襲撃するとのことも理解しにくいが、しかも場所まで特定している。それが、あくまで一人の女性の推察からと言われると信じろというのは、なかなか。」


疑わしげに侯爵たちを見る。

「私も100%確実だとは言いにくいです。ただ、今回驚くほどこちらの日程を相手は把握していた。そう考えると、旅程もわかっていたと考えるのが正しいのではないか。通常であれば、元のルートを戻るのが一番簡単です。すでに行きの道で警護も確認されており慣れているので。そして、逆に言えば把握しやすい。このルートの中で、国内で多数の兵士をドルミカ国が隠れて手配するのは難しい。そうなると、通常の襲撃でない方法を取ることが予想される。どう言った襲撃をするかと考えたときに、この方法が考えられるのではないかと思ったのです。」

アーサーはこたえる。

「うーむ、確かに一理あるが。で、どうするつもりだ。」

アーサーは、ニヤリと笑って、
「この方法はどうでしょう」
と地図を広げて提案してきたのだった。
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