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王都へ
トーマスとディラン
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「エミリー」
振り向くと、トーマスとディランが待合室にいる。処置室で怪我をした人たちの診察を終えて出てきたら二人が立っていてびっくりする。
「ディラン、トーマス、どうしたの?なんでペリエまで?」
「なんではないだろう。そりゃあ、ペリエが襲撃されて心配したからに決まっている。」
「そうじゃ、本当にみんなでびっくりしたんじゃ。もう、エマなんてペリエに行かせるんじゃなかったと泣き通しじゃよ。」
「確かに、恐ろしい思いもしたけど、それは、ペリエの人みんな一緒なのに。」
「いやいや、エミリーは頑張りすぎだよ。とりあえず、もう休憩だろ。ちょっと話さないか。」
と二人に休憩室に誘われる。そこは、スタッフの休憩室で会議室でもあるが、あらかじめ頼んであるのか、3人だけだった。
「さて、エミリー、いやシャーロット様、イーズス伯とお話になったとのこと、エマがとてもよろこんでおりました。」
ディランが話し始める。
「やめてください。そんな敬語で話すのは。」
「いやいや、本来なら、シャーロット様はエマの主になる方です。ギルバート様もイーズス伯とともに王都に向かわれました。これでご領主様の無念も晴らせるというものです。俺は、ケント領で、エマに出会って幸せになり、大恩あるロバート様に報いたいとずっと思っていましたから。」
とトーマスも続ける。
「でも、もう、私は平民の治療師です。アーサーにはつりあわないわ」
と首を横にふる。
「そこがおかしいのですよ。シャーロット様、わしは、ずっと治療師として誇りを持って生きてきました。平民だろうが、なんだろうが、女だろうが男だろうが、関係ない。なぜ、治療師を卑下するんですか。確かに、出来るだけあなた様を守ってきたが、女のくせにと言われていたのはわかってます。でも、もっと多くの人から感謝されておりましたぞ。誇りを持ってくだされ。そうでないと、他の治療師に失礼というもんじゃ。伯爵がなんだというのですか?それよりも、ゼオンも街でもペリエの街でも色々な人から尊敬され信頼されているのは、ほかでもないエミリー、あなたなのですぞ。」
と諭される。
そう言われて、はっとする。
そうだ、私は、なんてこと、自分の仕事にプライドを持っていたのに、自分とその仲間をいつの間にか卑下していたのだわ。なんてこととシャーロットは、自分が矛盾していたことに気がつく。
「シャーロット様、ひとつ一番大事なことをお聞きしたいです。シャーロット様は、今、アーサー様を愛していらっしゃいますか? エマは、お嬢様はすぐにもう釣り合わない、もう他に婚約者の方がいるに違いないとか言って、お嬢様の本心を知ることができないとずっと嘆いていました。それと同時に、お嬢様は、あの事故から別人のようになられた。もう、アーサー様を愛していらっしゃらないのかもしれないとも気にしていました。」
トーマスが、じっとこちらを見る。
私が、アーサーを愛しているか?愛していないか?
振り向くと、トーマスとディランが待合室にいる。処置室で怪我をした人たちの診察を終えて出てきたら二人が立っていてびっくりする。
「ディラン、トーマス、どうしたの?なんでペリエまで?」
「なんではないだろう。そりゃあ、ペリエが襲撃されて心配したからに決まっている。」
「そうじゃ、本当にみんなでびっくりしたんじゃ。もう、エマなんてペリエに行かせるんじゃなかったと泣き通しじゃよ。」
「確かに、恐ろしい思いもしたけど、それは、ペリエの人みんな一緒なのに。」
「いやいや、エミリーは頑張りすぎだよ。とりあえず、もう休憩だろ。ちょっと話さないか。」
と二人に休憩室に誘われる。そこは、スタッフの休憩室で会議室でもあるが、あらかじめ頼んであるのか、3人だけだった。
「さて、エミリー、いやシャーロット様、イーズス伯とお話になったとのこと、エマがとてもよろこんでおりました。」
ディランが話し始める。
「やめてください。そんな敬語で話すのは。」
「いやいや、本来なら、シャーロット様はエマの主になる方です。ギルバート様もイーズス伯とともに王都に向かわれました。これでご領主様の無念も晴らせるというものです。俺は、ケント領で、エマに出会って幸せになり、大恩あるロバート様に報いたいとずっと思っていましたから。」
とトーマスも続ける。
「でも、もう、私は平民の治療師です。アーサーにはつりあわないわ」
と首を横にふる。
「そこがおかしいのですよ。シャーロット様、わしは、ずっと治療師として誇りを持って生きてきました。平民だろうが、なんだろうが、女だろうが男だろうが、関係ない。なぜ、治療師を卑下するんですか。確かに、出来るだけあなた様を守ってきたが、女のくせにと言われていたのはわかってます。でも、もっと多くの人から感謝されておりましたぞ。誇りを持ってくだされ。そうでないと、他の治療師に失礼というもんじゃ。伯爵がなんだというのですか?それよりも、ゼオンも街でもペリエの街でも色々な人から尊敬され信頼されているのは、ほかでもないエミリー、あなたなのですぞ。」
と諭される。
そう言われて、はっとする。
そうだ、私は、なんてこと、自分の仕事にプライドを持っていたのに、自分とその仲間をいつの間にか卑下していたのだわ。なんてこととシャーロットは、自分が矛盾していたことに気がつく。
「シャーロット様、ひとつ一番大事なことをお聞きしたいです。シャーロット様は、今、アーサー様を愛していらっしゃいますか? エマは、お嬢様はすぐにもう釣り合わない、もう他に婚約者の方がいるに違いないとか言って、お嬢様の本心を知ることができないとずっと嘆いていました。それと同時に、お嬢様は、あの事故から別人のようになられた。もう、アーサー様を愛していらっしゃらないのかもしれないとも気にしていました。」
トーマスが、じっとこちらを見る。
私が、アーサーを愛しているか?愛していないか?
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