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それからまた時間が経過し、事故から6年近くになる春の始め。今年アーサーは20歳となる。
「アーサー、今度王太子夫妻がエクア王国に友好を深めるために訪問されることとなった。」
「はい、このところのドルミカ国やナーベラ国の状況を考えると素晴らしいご判断かと存じます。」
「ナーベラ国の山賊問題は無事収まったが、ドルミカ王国は残念ながら信頼がならない。もともと好戦的な上に、少しでも物資の豊富な王国の領土を狙おうとしている。ナーベラ国には支援もしたし、山賊も殲滅しナーベラ国にも喜ばれている。あとは、エクア国と友好を深めておく必要があるからな。それと、今後のことを考え、万が一争いが起きた時に前線となる沿岸沿いや港も見ておきたいとのことだ。無論、そんなことにはなって欲しくはないが。
まずは、先だって視察に行って問題がないか確認してこい。それから、王太子夫妻は、途中でゼオンに立ち寄りたいと希望がある。」
「ゼオンですか?確かに沿岸沿いの視察という点では、その途中にありますが他のルートの方が距離は短くなります。」
「なんでも、ゼオン侯爵の屋敷の庭が素晴らしいらしくてな。それに、この数年で急激にハーブの収穫量を増やしたらしく最近は貴族の間でも有名だ。観光目的に人も集まってくるらしい。妃殿下が見てみたいと希望されてな」
「わかりました。では、ゼオン領を経由したルートの確認し、防御体制の拡充を行ってまいります。」
「待て、アーサー。もう一つある。おまえがいつまでも婚約しないから、もうおまえの結婚相手は私が決めることとした。」
「父上!」
「本当は公爵家か伯爵家からと考えていたが、今は、遠縁の娘を考えている。王太子殿下のエクアへの訪問が終わったら、婚約、そして結婚だ。嫌ならそれまでに自分で見つけろ。おまえが結婚したいと思う女を見つけたらそちらを優先してやる。
どうしても嫌だというなら、弟のエドワードを嫡男としてその娘と結婚させるからな、よく考えろ」
「若、どうされるんですか?」
オスカーが声をかける。
「わからん。だが、今言えるのは、その遠縁の娘と結婚はしないだろうということかな。エドワードには悪いが、好きでもない女と結婚するのはまだ無理だ。こんな時になって嫡男が交代するとお前は飛んだ貧乏くじを掴んでしまったことになるな」
「いやいや、この旅で若が誰か好きになる可能性がありますからね。まだわからないですよ。でも、気にしないでください。私は、貧乏くじとは思っていないですから。イーズス家の嫡男に仕えているわけではないです、アーサー様に仕えているんですよ、うちもエドワード様に仕えているデイビッドが控えていますから気にする必要はないですよ」
と笑う。
「よし、独りもの同士呑みにいくか!」
「いいですよ、今日は、シャーロット様がどれほど天使だったかの話も聴きますよ。他の部下と呑みにいく時にはもうやめてくださいよ。みんなドン引きしてましたから。」
笑いながら酒場に出かけたのであった。
「アーサー、今度王太子夫妻がエクア王国に友好を深めるために訪問されることとなった。」
「はい、このところのドルミカ国やナーベラ国の状況を考えると素晴らしいご判断かと存じます。」
「ナーベラ国の山賊問題は無事収まったが、ドルミカ王国は残念ながら信頼がならない。もともと好戦的な上に、少しでも物資の豊富な王国の領土を狙おうとしている。ナーベラ国には支援もしたし、山賊も殲滅しナーベラ国にも喜ばれている。あとは、エクア国と友好を深めておく必要があるからな。それと、今後のことを考え、万が一争いが起きた時に前線となる沿岸沿いや港も見ておきたいとのことだ。無論、そんなことにはなって欲しくはないが。
まずは、先だって視察に行って問題がないか確認してこい。それから、王太子夫妻は、途中でゼオンに立ち寄りたいと希望がある。」
「ゼオンですか?確かに沿岸沿いの視察という点では、その途中にありますが他のルートの方が距離は短くなります。」
「なんでも、ゼオン侯爵の屋敷の庭が素晴らしいらしくてな。それに、この数年で急激にハーブの収穫量を増やしたらしく最近は貴族の間でも有名だ。観光目的に人も集まってくるらしい。妃殿下が見てみたいと希望されてな」
「わかりました。では、ゼオン領を経由したルートの確認し、防御体制の拡充を行ってまいります。」
「待て、アーサー。もう一つある。おまえがいつまでも婚約しないから、もうおまえの結婚相手は私が決めることとした。」
「父上!」
「本当は公爵家か伯爵家からと考えていたが、今は、遠縁の娘を考えている。王太子殿下のエクアへの訪問が終わったら、婚約、そして結婚だ。嫌ならそれまでに自分で見つけろ。おまえが結婚したいと思う女を見つけたらそちらを優先してやる。
どうしても嫌だというなら、弟のエドワードを嫡男としてその娘と結婚させるからな、よく考えろ」
「若、どうされるんですか?」
オスカーが声をかける。
「わからん。だが、今言えるのは、その遠縁の娘と結婚はしないだろうということかな。エドワードには悪いが、好きでもない女と結婚するのはまだ無理だ。こんな時になって嫡男が交代するとお前は飛んだ貧乏くじを掴んでしまったことになるな」
「いやいや、この旅で若が誰か好きになる可能性がありますからね。まだわからないですよ。でも、気にしないでください。私は、貧乏くじとは思っていないですから。イーズス家の嫡男に仕えているわけではないです、アーサー様に仕えているんですよ、うちもエドワード様に仕えているデイビッドが控えていますから気にする必要はないですよ」
と笑う。
「よし、独りもの同士呑みにいくか!」
「いいですよ、今日は、シャーロット様がどれほど天使だったかの話も聴きますよ。他の部下と呑みにいく時にはもうやめてくださいよ。みんなドン引きしてましたから。」
笑いながら酒場に出かけたのであった。
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