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シャーロット1

新しい生活

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翌日、エマが近所からサイズの合わなくなった子供服を貰い受け、
早速、代筆業のギルドに登録に行く。

「へえ、お前さんがねえ」

 ディランからもらった紹介状を見ながら聞いて来る。

「はい、私以前貴族様の館で働いたことがあって、その時に文字を教えてもらったんです。」


ヒゲを生やした強面の男がこちらを睨んでくる。
「よし、じゃあ、試してやる。
今からいう文章を書け。
前略、ご注文いただいたカーペットは、7月10日に到着いたします。到着後、すぐに持参いたしますのでもう少々お待ちいただければ幸いです。」


エミリーは、スラスラと手紙を書く。

「うーん、おどろいた。なんだ、綺麗な字だ。誤字もない。これは、すげえ。よし、気に入った。俺は、ニコラスだ。よろしくな。明日から月曜日から土曜日まで毎日朝10時にここに来な。その時の量に応じて仕事をやるよ。」


「ありがとうございます。ニコラスさん、助かります。」

「いいってことよ、ディラン爺さんちの親戚なんだろ。今は、耄碌して藪になっちまったが、昔は腕の良い治療師の爺さんでな。世話になったやつも多いんだ。」


「あの、ディランさんが調子が悪くなったのはいつからなんですか?」

「そうだなあ、数年前からかなあ。酒ばかり飲んでいた時期があって。しかも甘いものも好きだし。だんだん動きが悪くなって来たのさ」


やっぱり、ディランさんは糖尿病なんだわ。この世の中にはっきりした治療薬があるわけではないけど、血糖値を下げるようにしなくてはね。

商店街を歩いていると、

「姉さん!」

振り向くとギルバートがエマと歩いている。

「ジル!学校はどうだったの?」

「うん、ちゃんと受け付けてくれたよ。僕は、テストを受けて、7歳だけど1つ上の学年から始めて良いと言われたんだ。」

「まあ、さすがジルだわ。素敵!」

「お嬢。エミリー。洋品店にも相談したわ。腕前を確認したら内職を頼みたいと言ってくれたの。ちょうど、私もお館で刺繍を教えていただいてましたからね。その場で刺繍をしたらこのレベル以上なら問題ないと言ってくれて、私も、一緒に、パン屋の仕事が軌道に乗るまでお針子をするつもりよ。」


「まあ、楽しみ。嬉しいね。さあ、毎日頑張ろうね。」
と笑顔になった。

「エミリー、だめです。あまり外では笑わないでください。」

「え?なんで?」

「笑うと天使になります。」

「天使?何それ?」

「姉さんは無自覚だからな。昔から天使と呼ばれていたことの自覚が何もないんだよ。」

 「えーえー、アーサー様もお嬢様が笑うとよく言葉に詰まっていらっしゃいましたね。」


二人がコソコソと話し合う。

「いい!姉さんは、基本最大限、外で笑わないこと。いいね!」


「わかったわ。よくわからないけど。」

シャーロットが不思議そうに首をかたむける。

とりあえず、ゼオンでの新生活が始まっただった。


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