坂の上のキミと、坂の下のジブン

Chapter1.泰斗

6

５月末


中間テストも終わり、いつもの４人でなんか食ってから帰ろうって流れになった。


俺と竜は電車通学

翔と夏希は徒歩通学


だから、必然的に駅周辺が俺達の溜り場。



坂ノ下の制服を着て歩けば


大体の人は

避ける・嫌そうな顔をする・噂話をする

の、どれかで、、、


まぁ、慣れたよね。





ファミレスに入って翔がものすごい注文して


「ねー、ヤバいかも。中間」


そう言って、翔が頭を抱えた。



「……ヤバい？」

「うん、全く分かんなかった」

「………中１レベルだったけど？」


竜はありえないって顔で翔を見ているから

思わず俺は、顔を背けた。


「あっ、泰斗くんもヤバい感じでしょー？」

夏希はニヤニヤ笑ってて


「あっ、マジ？仲間？？心強いーっ！！」

翔はなぜか安心した様子。


「た、たまたまだからっ！調子悪かっただけっ！」


「ふぅん………じゃあ、期末が楽しみだねぇ」

竜は余裕そうだから………頭いいのか？？



いつもみたいに馬鹿みたいに笑って


中間テストなんて一瞬で忘れて


そろそろ帰ろうかとなって駅に行って


２人と別れようとした…………その時










「あのっ！！」


少し高い、女の声がして全員が振り向いた。



俺たちの後ろにいたのは


ずいぶん背が低い…………………坂ノ上の制服を着た女…………。



え？


誰？？



しかもなんか……俺を見てない？？？



「わたしのこと、覚えていませんかっ！？」


やや興奮気味に詰め寄ってくる女…………


マジで誰？？


ってか近くないっ！？



俺が後ずさりしたらさらに前に来て


キラキラした目でじっと見てきた。



「えぇっと………人違いでは………？」


「その顔と身長とピアス。絶対に間違えていません！
3月30日のデスアークのライブで場所を譲っていただいた者です！！」



3月30日………


デスアークのライブ…………


行ったなぁ、確かに。


でもなぁ………記憶にないんだよなぁ…………。