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CASE16 世界が終わるまで

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合図から30秒

それまでに、私はアゲハの下に行ってアゲハに伝えないといけない。

ギルバートさんの作戦を。


とは言っても、私は詳細は聞かされていない。

だって、ギルバートさんがもうすでに辛そうで…話せる余裕もないみたいだから。



「ギルバートさん、」


声をかけると返事はなかったけど顔だけ私の方を向けてくれた。



「私を、私たち異界人を、レジスタンスに迎えてくれて……ありがとうございました」


「礼を言うのは、、俺達の方だ。後を、頼む、、」



ギルバートさんは頭を下げて

その姿を目に焼き付けてから、私は岩山を登った。




実際に登るとそんなにキツくなくて、まぁそこは良かったんだけど


頭がまだガンガンするからそれが辛い。



ギルバートさんからの合図、、は、まだない。




私とアゲハの距離が近づいた時


頭の中で声が響いた。


『今から、30秒後だ、、』


さっきよりもずっと、声が小さいけどギルバートさんの声。



その声はアゲハにも聞こえていたみたいで

アゲハの視線がギルバートさんの方に向いた。

で、直線上に私もいたからアゲハは目を見開いて、叫んだ。



「来るなっ!!!ギルを守れ!!!」



合図から30秒



「おや?また人が増えたのか?何人増えても変わらぬと言うのに…」


あと30秒で、ノアの攻撃をかわしながらアゲハとの距離を詰めないと…!


ノアは攻撃の手を緩めなくて、アゲハはその攻撃の全てを受け止めている。

多分、、私への攻撃も、アゲハが受け止めている状態。



あと、20秒……



私もノア魔法で攻撃をしながらアゲハに近づいた。




「空ッ!!俺はいいから!!ギルを!!」

近づいたらアゲハに怒られたけど


「ッ、ギルバートさんの伝言!!」


慌てて声を上げたらアゲハはハッとして黙った。



「『俺がノアを止めるから俺ごと殺せ』あと10秒くらいでギルバートさんが何かするよ!」


私の言葉でアゲハには伝わるはず。

ギルバートさんが助からないって事も、ギルバートさんを殺すのが私たちだという事も……全部。


あと、10秒……ーーーーー



私の手には、剣。


ノアを倒したいってギルバートさんの願いを叶えるためにも、、これでいいんだよね?



そろそろ、時間……





そう思った瞬間

変な違和感を感じた。



前にもあった、この感覚…ーーーーー


そう、あれは、、ギルバートさんが時の魔法を使った時


あの感覚に似た感覚……


私がそう感じたのは一瞬で、


「今だ!!やれ!!!」



目の前からギルバートさんの大声がしてハッとなった。



私たちの目の前で……ギルバートさんが、ノアを後ろから拘束していた。


片腕で首を締めているけど、ノアは何故か動かない、、、



動かないというよりも、ノアだけ全てが止まったまま。

ノアが動き出したら片腕での拘束なんて、簡単に解いてしまうと思う。




そういう事か


ギルバートさんが魔法を使うには時間がかかるから、合図から30秒後


時間を止めてノアの背後をとって、私たちの時間だけを動かして

ノアの時間は止めたまま……だから、ノアは動かないからギルバートさんごと殺せって事ね。




本当は、やりたくない。


絶対に、、、だけど!




私が剣を構えてノアの胸に刺そうとした時


ノアの目が動いた。




「なっ!!ギルバートか!!?」



ノアの焦った声がして、一瞬躊躇ったけど


アゲハの手が私の剣を掴んで


そのまま真っ直ぐに、胸を貫いた…ーーーーー

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