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CASE16 世界が終わるまで

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「でも………本当に、ありがとう。この世界でなら俺も……空や桃華さんと肩を並べられるから。空たちと同じように走ったり泣いたり怒ったり……できないと思っていた事ができて、、幸せだった」


アゲハに感じた違和感は

これが最後だから…みたいに話すことだ。


それは明日………アゲハが死ぬ覚悟………だから、なの、かな、、



私は思った事が顔に出ていたのか

アゲハはちょっと困った顔をしてから立ち上がった。


少しだけ前に歩き出したから、私も立ち上がろうとしたけど

アゲハはすぐに振り向いて、じっと私の目を見つめてきて


だから………なぜか動けなかった。




「勘付いてるだろうから先に言うね。俺は明日、死ぬ覚悟を持って挑むよ。あ、もちろん、死にたくはないから最後まで諦めないけど………少なくとも幹部は………全員が生き残るとは、思ってない」


いつになく真剣な表情だから

私が何か言うのは……できない。



「それで……だからこそ、悔いは残したくないから………だから、言わせて。


俺は、ずっと空が好きだった。幼馴染みとしてじゃなくて、一人の女の子として。

日本ではいつ死ぬか分からない状態だし、ユートピアでは人ですらない。そんな俺だからさ、言う気はなかったんだけど………。あ、だから、返事はいらないし、その事に悩まないでほしい」



後半………は、いつものアゲハの様子に戻ってニコニコ笑っていたけど………さぁ、、、


正直…………ビックリというかなんと言うか………頭が真っ白になってしまったよ。




告白………された。


しかも、アゲハに。



もしかして、私の事好きなのかな?って思った事は、、ある。

だけど、一緒に寝ても何もない関係だし、幼馴染だし……。


だから、気のせいって………思っていた………のか、思おうとしていたのか………。


しかも返事はいらないし悩まないでって………ずいぶん、わがままというか、、、私はモヤモヤが止まらないよ。



「変な事言ってごめんね?空の顔、すっごい不細工になってるよ?」


私の気持ちに気づいていないのか、アゲハはもういつものテンションだし!

なんなら私の顔を見て笑ってるし!!



「不細工………って!ヒドくない!!?」


「ふふっ、ごめんごめん。さぁ、そろそろ戻ろうか?」


アゲハが今まで通りを望むなら……その方がいいと思って

告白についてを深く追求するのはやめにした。


アゲハは私を立ち上がらせようと手を差し伸べてくれたから

迷わず掴んで立ち上がった……けど


手は繋がれたまま………。




「明日、俺は空を守るから………だから、心配しないでね」


「………うん、ありがとう」



ギュッと一度だけ強く手を握られてからパッと手を離したアゲハ。


二人で無言のまま戻ると、ギルバートさんとルーラだけじゃなくて

ゼロさんとレオンもなぜかいた。



「………増えてる」


思わず呟いたらレオンが一本のボトルを高く掲げた。


「いい酒貰ってな!みんなで飲もうぜ!ソラとルーラもイケるだろ!?」


レオンのノリは明日が決戦だなんて感じが全くなかった。

アゲハにボトルを見せてアゲハも「めっちゃいいヤツだ!」って嬉しそうに言ってるし………。


「私はお酒飲めないから……」

「あ、私も。だから、おやすみ」


ルーラが断ったから間髪入れず私も断って

二人でそそくさと部屋に戻った。



さっきの今で、アゲハとみんなと一緒に晩酌なんて………無理だから、絶対に…!
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