278 / 342
CASE14 私の記憶
6
しおりを挟むアゲハさんは「えっ!?」って小さく声を上げてから
下を向いて笑ったんだけど……その顔は本当に嬉しそうに笑っていた。
「……やっぱり空は空で、、安心した」
「え?」
意味が分からなかったけど、アゲハさんは下を向いたまま、言葉を続けた。
「俺が駄目な時はずっと傍にいてくれて、それで…今みたいに慰めてくれた。覚えていなくても空の本質は変わらないんだなって、、そう思ったら安心した」
私は本当に……アゲハさんとは仲良かったんだろうね。
今のアゲハさんは余裕なんてなさそうだから、嘘は言えないと思う。
つまり、アゲハさんは最初から私に嘘なんて言ってなくて、、、
だとしたら、私はかなり酷い事を言ったよね。。。
「……ずっと、見つけられなくて、ごめん。空はきっと、怖い思いも辛い思いもたくさんしたと思う。もっと早く、もっと俺が、、しっかりしていたら………」
アゲハさんはそう言いながら自分の拳を強く握りしめていて
痛くないかな?って思うくらいギリギリと握りしめていたから、アゲハさんの手に自分の手を重ねた。
「アゲハさんは十分しっかりしていると思いますよ。今日は……ひどい事を言って、ごめんなさい」
「空が謝る事はないよ。記憶がないって事は、きっと俺が思う以上に辛く苦しい事だから。
思い出したくても思い出せないのは……似たような経験が俺にもあるから少しなら、気持ちは分かる。分かるくせに空の気持ちを理解しきれない俺が悪いんだよ」
この人は……何を言ってるのかな?
私の気持ちを悟るなんて無理に決まっているのに
悟れない自分が悪いって……。
そんなの無理に決まっているのに……。
なんで私を責めないのかな?
それに、アゲハさんも似たような経験したって、、何だろう?
聞いていいか分からなくて、答えられないでいたけど
アゲハさんは気にした様子はなくて……あと、さっきまで変な様子だったけど、いつも通りのアゲハさんに戻っていた。
「ところで、空はこんな夜中にどうしたの?」
聞かれて思い出した。
お腹空いていたって事を。
思い出したらお腹空いてきて……だから、すっと立ち上がった。
「お夕飯、まだだったから……お腹が空いたんです」
「あっ、ごめんね。俺が邪魔をしてたね。俺も一階に用があるから一緒に行こう」
アゲハさんも立ち上がって、二人で静かにダイニングに向かった。
テーブルの上にはお夕飯のおかずが置いたままになっていて……これは私用なんだってすぐに分かった。
アゲハさんがおかずを温め直して温かいご飯を用意してくれて
その間に話を少ししたら、今アゲハさんの部屋にはエドガーさんがいて
エドガーさんは疲れて爆睡してるから起こさないように廊下にいたんだって教えてくれた。
そして、私が食べている間にアゲハさんが用意したのはお酒と氷。
アゲハさんの用は晩酌??
お酒の知識は私にはないけど、氷を入れたグラスに注がれたお酒。
「水で割ったりしないんですか?」
「んー、ロック派なんだよ俺は」
そう言ってグラスを持ってお酒を眺めているアゲハさんの姿は大人だなぁって感じ。
だけどアゲハさんはお酒を眺めてばかりで飲もうとはしなくって、、
氷が溶けて薄まるんじゃない?って思いながら私はお夕飯を食べていた。
私が食べ終わるまでアゲハさんはお酒を飲む事をしなくて
たまに時計を見ては私を見てお酒を見る…という謎の行動をしていた。
時刻は現在夜中の1時。
「空はもう寝る?」
って聞かれたけど眠たくなくて首を横に振った。
「……なら、少し、話をしていいかな?」
アゲハさんは真剣な顔で私を見ていたから頷いた。
真面目な話をするためにお酒を飲まずにいたんだなって、さすがの私にも分かったよ。
下を向いて笑ったんだけど……その顔は本当に嬉しそうに笑っていた。
「……やっぱり空は空で、、安心した」
「え?」
意味が分からなかったけど、アゲハさんは下を向いたまま、言葉を続けた。
「俺が駄目な時はずっと傍にいてくれて、それで…今みたいに慰めてくれた。覚えていなくても空の本質は変わらないんだなって、、そう思ったら安心した」
私は本当に……アゲハさんとは仲良かったんだろうね。
今のアゲハさんは余裕なんてなさそうだから、嘘は言えないと思う。
つまり、アゲハさんは最初から私に嘘なんて言ってなくて、、、
だとしたら、私はかなり酷い事を言ったよね。。。
「……ずっと、見つけられなくて、ごめん。空はきっと、怖い思いも辛い思いもたくさんしたと思う。もっと早く、もっと俺が、、しっかりしていたら………」
アゲハさんはそう言いながら自分の拳を強く握りしめていて
痛くないかな?って思うくらいギリギリと握りしめていたから、アゲハさんの手に自分の手を重ねた。
「アゲハさんは十分しっかりしていると思いますよ。今日は……ひどい事を言って、ごめんなさい」
「空が謝る事はないよ。記憶がないって事は、きっと俺が思う以上に辛く苦しい事だから。
思い出したくても思い出せないのは……似たような経験が俺にもあるから少しなら、気持ちは分かる。分かるくせに空の気持ちを理解しきれない俺が悪いんだよ」
この人は……何を言ってるのかな?
私の気持ちを悟るなんて無理に決まっているのに
悟れない自分が悪いって……。
そんなの無理に決まっているのに……。
なんで私を責めないのかな?
それに、アゲハさんも似たような経験したって、、何だろう?
聞いていいか分からなくて、答えられないでいたけど
アゲハさんは気にした様子はなくて……あと、さっきまで変な様子だったけど、いつも通りのアゲハさんに戻っていた。
「ところで、空はこんな夜中にどうしたの?」
聞かれて思い出した。
お腹空いていたって事を。
思い出したらお腹空いてきて……だから、すっと立ち上がった。
「お夕飯、まだだったから……お腹が空いたんです」
「あっ、ごめんね。俺が邪魔をしてたね。俺も一階に用があるから一緒に行こう」
アゲハさんも立ち上がって、二人で静かにダイニングに向かった。
テーブルの上にはお夕飯のおかずが置いたままになっていて……これは私用なんだってすぐに分かった。
アゲハさんがおかずを温め直して温かいご飯を用意してくれて
その間に話を少ししたら、今アゲハさんの部屋にはエドガーさんがいて
エドガーさんは疲れて爆睡してるから起こさないように廊下にいたんだって教えてくれた。
そして、私が食べている間にアゲハさんが用意したのはお酒と氷。
アゲハさんの用は晩酌??
お酒の知識は私にはないけど、氷を入れたグラスに注がれたお酒。
「水で割ったりしないんですか?」
「んー、ロック派なんだよ俺は」
そう言ってグラスを持ってお酒を眺めているアゲハさんの姿は大人だなぁって感じ。
だけどアゲハさんはお酒を眺めてばかりで飲もうとはしなくって、、
氷が溶けて薄まるんじゃない?って思いながら私はお夕飯を食べていた。
私が食べ終わるまでアゲハさんはお酒を飲む事をしなくて
たまに時計を見ては私を見てお酒を見る…という謎の行動をしていた。
時刻は現在夜中の1時。
「空はもう寝る?」
って聞かれたけど眠たくなくて首を横に振った。
「……なら、少し、話をしていいかな?」
アゲハさんは真剣な顔で私を見ていたから頷いた。
真面目な話をするためにお酒を飲まずにいたんだなって、さすがの私にも分かったよ。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!
Levi
ファンタジー
前世は日本で超絶貧乏家庭に育った美樹は、ひょんなことから異世界で覚醒。そして姫として生まれ変わっているのを知ったけど、その国は超絶貧乏王国。 美樹は貧乏生活でのノウハウで王国を救おうと心に決めた!
※エブリスタさん版をベースに、一部少し文字を足したり引いたり直したりしています
令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
孤児が皇后陛下と呼ばれるまで
香月みまり
ファンタジー
母を亡くして天涯孤独となり、王都へ向かう苓。
目的のために王都へ向かう孤児の青年、周と陸
3人の出会いは世界を巻き込む波乱の序章だった。
「後宮の棘」のスピンオフですが、読んだことのない方でも楽しんでいただけるように書かせていただいております。
【プロット】ミコナとかぷせるあにまるず
せんのあすむ
ファンタジー
十歳の少女ミコナが暮らすその世界は、亡くなった人の魂が帰ってこれるという不思議なところ。
今よりもっと幼い頃に母親を病気で亡くした彼女のために、彼女の父親(ハカセ)は、帰ってきた母親の魂を自身が作った<かぷせるあにまる>に封入する。
けれど、ミコナへの想いがとても強かった母親の魂は一つには入りきらず、五つのかぷせるあにまるに分割して収められることとなった。
でも、ミコナの母親の魂を収めたかぷせるあにまるは、なぜか、タカ、トラ、オオカミ、サメ、ティラノサウルスと、どれもとても強そうな動物達の姿に。
こうして、ミコナと五体の<かぷせるあにまるず>による、少し不思議で、でもとても楽しい日常が始まったのだった。
こちらはかなりまとまりがなくなってしまったので、プロットということにします。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる