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CASE13 理想郷

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世界を創る

創造主……?



この世界は、私がいた世界が基になっているの?



「まぁ、簡単な話。私の魔法“創造”にかかれば、創れぬモノは何もない」


「世界も……人も、創れる……?」


「そうだ。少し、昔話をしよう。今から数百年とか数千年とか……とにかく、それくらい昔の話」



そう言って語り出したのは、ノア将軍が生まれた時の話……―――――



ユートピアという世界がまだない、名前のない世界だった時代。

日本でいう縄文時代とか弥生時代みたいな、原始的な生活をしていた。


その生活が嫌だったけど、“創造”の魔法のおかけで全てが一変した。

自分が思い描く服も家も街並みも創れて、人々からは神のような扱いを受けた。


自分は他者に与えるけど、他者は自分に何もしてはくれない。


その事が不公平に感じていて、ある日、不満が爆発した。



“もっと自分のためになる世界を創ればいい”



そう思って、自分以外の全てを壊して新たに世界を創り直した。



創っては壊し、創っては壊しを繰り返して、その過程で偶然、異世界の住人に出会った。

異世界からこの世界に来れた原理は分からないけど、自分の世界とは違う世界がある事を確信して


“異世界のいいところを取った世界”を、創造した。




「……だがな、人は愚かにも何度も自ら破滅を選ぶ。今回の世界もそうだ。異世界が発展したせいで環境汚染が進み深刻な事態になりそうだからと、この世界はあまり発展した物がない世界にしたのに……結局は、自らの手で世界を破壊している」



「だからまた壊して……また新しい世界を、創る……?」



「そうだ。次の世界には異世界の便利な物を取り入れた上で、優秀な人材も今の世界から数人は入れる。今度はどんな世界になるのか、楽しみだよ」



ノア将軍、は、、この世界を創った人。


そして、飽きたら壊してまた創るって考えだけど……。



なら、今生きている人たちは?


破壊者と救済者がいる意味は?



聞けば聞くほど、疑問しかないよ。



「本当は記憶を奪う人としてあの女を呼び寄せたんだけど……ちょっと面白そうだから遊びをしたんだ。捕まれば私の勝ち、逃げ切れば女の勝ち。まぁまさか、お前を差し出すとは予想外だったがな」



あ……そうか。


向こうの世界の事を知るために……私の記憶、奪われるんだ。


私は、全部忘れるから……だからこうやって、話しているんだね。



簡単に諦めたくはないけど、手足すらロクに動かせなくて……どうすることもできないから、、、




「私がどうせ全部忘れるなら、、全部教えて。この世界について、貴女についてを」



私がもし、記憶を取り戻せたら


きっと役に立つだろうから……。




「もちろん。準備が整うまでは暇だからな。して、私についてとは?」



……やっぱり。


色々自ら話してる人だから、『貴女についてを知りたい』と言えば食いつくと思った。



「何度も世界を壊して創ったの分かったけど……貴女は何歳?」



私の質問に、一瞬の無言から笑い声に変わった。



「歳など数え切れぬ程月日は流れたわ!私は私の命を創造した。だから永遠の命という訳だ」



永遠の命……。


これは、予想通りだけど



「でも、物理的に攻撃を受けたら……例えば胸を刺されたら、死ぬの?」



「うむ……刺された試しがないが……私はあくまで“永遠の命を得た人間”に過ぎないからな。シンクロは無限ではないから……死ぬ、かもしれないなぁ、、」


ノア将軍も、正確には分からないんだ、、、


ただ分かったのは、シンクロっていう目に見えない物は創り出せないという事。



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