171 / 342
CASE9 救済者 vs レジスタンス
14
しおりを挟む
私も、みんなも、走ったはず。
なのに、瞬きをした後に見えた景色は
みんなが走り出す前の状況。
え……?
私も、最初に降り立った場所に戻っている?
それに、私のずっと前の方で
救済者たちと距離を置いてしゃかんでいるギルバートさん
の、隣にはアゲハが倒れている……。
「なんで……?」
「キミがなんで?だよ、ソラ。なんで来てしまうんだ……アゲハも」
エドガーには呆れられたけど、私の前に来て武器を構えた。
結局、私が来ても守ってもらう立場で……申し訳ない。
「ギルバート……本当にさっきから鬱陶しいわ。だけどまぁ……今日はこちらが引いた方がいいみたいねぇ」
傷だらけのレジスタンスの面々とは違って、余裕そうな花将軍。
その花将軍の隣には皇帝と、もう一人の初見の男の人。
「糞が!!アイツを殺さなきゃ納得できねーよッ!!」
腕を失った皇帝は叫んでこちら側に来ようとしているけど、花将軍は服を掴んで止めていた。
「やめなさいよ、みっともない。それでも貴方皇帝なの?ライトも状況くらいは分かるでしょ?」
花将軍の隣にいた人は、ライトって名前らしい。
「あぁ……誰かのせいでこちらは戦力が足りない上にギルバートの魔法が解放されたなら……状況は我らが不利」
ギルバートさん……何の魔法使いなんだよ。
誰か説明してよ。
花将軍は急に方向転換して、私たちに背を向けた。
そして、振り向いて、、笑った。
「今日は引くわ。この城は壊しても構わないけど……造り直すのが面倒だからできれば残してね。
それと、アゲハも連れて帰りたいけど、、皇帝がご乱心だからしばらく預けるわ。また必ず迎えに行く。アゲハは私の所有物よ?忘れないでね?」
預けるとか所有物とか……
ホント、口の減らない女。
私はあの女は嫌い。マジで。
「私は貴方が生きている限り、諦めないからね。また会いましょう……愛しているわ、アゲハ」
花将軍は最後にニタァって笑って、アゲハに呪いの言葉を吐いて、、消えた。
皇帝も、ライトと呼ばれた人も。
光の魔法使いに連れていかれたのか、この場に隠れていたのかな?
ってか花将軍ってただのストーカーかなんかじゃん。
マジで頭ヤバくない!?
発言がヤバすぎ。
笑顔まで怖かったし。
「レオン……ちょっと来い」
ギルバートさんはアゲハの服を捲りながらレオンを呼んだ。
呼ばれなくても私を含めた全員が、ギルバートさんのところに集まろうとしていたけど。
………私は、背中が痛くて走れないけどね。
「これは、何だと思う?あの女の魔法か?」
ギルバートさんの視線の先は、アゲハが刺された背中の傷口。
なぜか少しだけ、盛り上がっているように見える。
レオンは一瞬躊躇いながらも傷口に触って、感触を確かめているみたい。
アゲハは気を失っているけど、苦しそうに口呼吸している……。
レオンは何か分かったのか、苦い顔をしてアゲハを見たまま口を開いた。
「……植物使いの中でヤバイ奴らが使う拷問のひとつ。切り口から身体の中に種を埋めた」
は……?
植物の、種??
花将軍だから、花の種を、身体に埋めた??
あ、だからあの時背中を押したんじゃなくて、種を埋めたなのか……。
私だけじゃなくて全員が事の重大さに気づいていなかったけど、次の言葉で事態を理解した。
「拷問に使うだけあって、人の身体から養分を奪って成長する。養分を奪われている間は立つのもままならねぇくらい激痛だ。そして、成長した種は身体を突き破って花を咲かせる。だから、早く取り出さねぇとマズい」
レオンがそう言った時、アゲハが「うぅ…」って苦しそうに唸って身体を丸めた。
拷問……。
花将軍から見たら裏切ったアゲハへの、、これが罰なの?
なのに、瞬きをした後に見えた景色は
みんなが走り出す前の状況。
え……?
私も、最初に降り立った場所に戻っている?
それに、私のずっと前の方で
救済者たちと距離を置いてしゃかんでいるギルバートさん
の、隣にはアゲハが倒れている……。
「なんで……?」
「キミがなんで?だよ、ソラ。なんで来てしまうんだ……アゲハも」
エドガーには呆れられたけど、私の前に来て武器を構えた。
結局、私が来ても守ってもらう立場で……申し訳ない。
「ギルバート……本当にさっきから鬱陶しいわ。だけどまぁ……今日はこちらが引いた方がいいみたいねぇ」
傷だらけのレジスタンスの面々とは違って、余裕そうな花将軍。
その花将軍の隣には皇帝と、もう一人の初見の男の人。
「糞が!!アイツを殺さなきゃ納得できねーよッ!!」
腕を失った皇帝は叫んでこちら側に来ようとしているけど、花将軍は服を掴んで止めていた。
「やめなさいよ、みっともない。それでも貴方皇帝なの?ライトも状況くらいは分かるでしょ?」
花将軍の隣にいた人は、ライトって名前らしい。
「あぁ……誰かのせいでこちらは戦力が足りない上にギルバートの魔法が解放されたなら……状況は我らが不利」
ギルバートさん……何の魔法使いなんだよ。
誰か説明してよ。
花将軍は急に方向転換して、私たちに背を向けた。
そして、振り向いて、、笑った。
「今日は引くわ。この城は壊しても構わないけど……造り直すのが面倒だからできれば残してね。
それと、アゲハも連れて帰りたいけど、、皇帝がご乱心だからしばらく預けるわ。また必ず迎えに行く。アゲハは私の所有物よ?忘れないでね?」
預けるとか所有物とか……
ホント、口の減らない女。
私はあの女は嫌い。マジで。
「私は貴方が生きている限り、諦めないからね。また会いましょう……愛しているわ、アゲハ」
花将軍は最後にニタァって笑って、アゲハに呪いの言葉を吐いて、、消えた。
皇帝も、ライトと呼ばれた人も。
光の魔法使いに連れていかれたのか、この場に隠れていたのかな?
ってか花将軍ってただのストーカーかなんかじゃん。
マジで頭ヤバくない!?
発言がヤバすぎ。
笑顔まで怖かったし。
「レオン……ちょっと来い」
ギルバートさんはアゲハの服を捲りながらレオンを呼んだ。
呼ばれなくても私を含めた全員が、ギルバートさんのところに集まろうとしていたけど。
………私は、背中が痛くて走れないけどね。
「これは、何だと思う?あの女の魔法か?」
ギルバートさんの視線の先は、アゲハが刺された背中の傷口。
なぜか少しだけ、盛り上がっているように見える。
レオンは一瞬躊躇いながらも傷口に触って、感触を確かめているみたい。
アゲハは気を失っているけど、苦しそうに口呼吸している……。
レオンは何か分かったのか、苦い顔をしてアゲハを見たまま口を開いた。
「……植物使いの中でヤバイ奴らが使う拷問のひとつ。切り口から身体の中に種を埋めた」
は……?
植物の、種??
花将軍だから、花の種を、身体に埋めた??
あ、だからあの時背中を押したんじゃなくて、種を埋めたなのか……。
私だけじゃなくて全員が事の重大さに気づいていなかったけど、次の言葉で事態を理解した。
「拷問に使うだけあって、人の身体から養分を奪って成長する。養分を奪われている間は立つのもままならねぇくらい激痛だ。そして、成長した種は身体を突き破って花を咲かせる。だから、早く取り出さねぇとマズい」
レオンがそう言った時、アゲハが「うぅ…」って苦しそうに唸って身体を丸めた。
拷問……。
花将軍から見たら裏切ったアゲハへの、、これが罰なの?
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
幼馴染みに恋愛感情がないのは本当みたいですが、だからと言って何をしても許されるとは思わないでくださいね。
ふまさ
恋愛
「女性の中で一番愛しているのはきみだけど、すべての人間の中で一番好きなのは、アデラかな」
婚約者のネイトは何の悪びれもなく、そう言って笑った。
ネイトの元恋人から、どうしてネイトと別れたのかを聞かされたエリンの心が揺らぐ。けれどネイトは、僅かに残る想いを見事にぶった斬ってくれた。
「ねえ、ネイト。わたし、公爵令嬢なんですよ。知っていましたか?」
こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる