上 下
138 / 342
CASE7 急転

21

しおりを挟む
「皆に話したのは前に集まった時。あの時のアゲハはひどく不安定な様子だった。とても今は話せないと思い、話さなかった……。私の判断だ」


「………そっか。うん、分かった」


明らかにトーンダウンしたアゲハに対して、エドガーは不満そう。


「その言い方は絶対に分かっていないな?」

「分かったって。ってか今めちゃめちゃ痛いからそれどころじゃない」


なんとなく、無理矢理話をやめたように見えた。

それに、痛いって言った……。

傷は塞がっても痛いんだね。。。


アゲハの視線は私に向いて

笑顔でポンと私の頭を撫でてから立ち上がった。


「だけど、空が無事だったからそれでいい」


「……っ、よくないっ!!」


よくない!

なんにもっ!!


「空が怪我する方が俺が嫌なの。だから、これでいい」


アゲハの優しさに、甘えきったらいけないのに……。


なのに、アゲハはそれから一度も

この件で私を責めることはなかった。




ギルバートさんがアゲハに話ができるか確認した上で、改めてあの日の話を振り返る事になった。



「まず……あの女将軍が最後の将軍で間違いないのか?」


「あぁ、そうだ。私も最近ようやく会えた……“第一将軍”のノアという女性。使う魔法は“創造”」


この将軍だけ呼び方が魔法の名前じゃない。

他の将軍は、火炎使いだから火炎将軍とか、屍使いだから屍将軍なのに。


それに魔法が“創造”?



「創造?……何かを作り出すって事かな?」

「アゲハの言う通りで、なんでも創造で作れると言っていた」


なんでも作れるってチート過ぎな気がするけど……。

なんか、勝てる気がしなくない?


「………でも、、あの姿はイヴちゃんだった」

スーがポツリと呟いた。


「子供の姿を作り出して放浪した経験があるらしい。その時にスーは出会ったんだろう……スーとゼロはどういう関係だったのかな?」


「俺とスーが育った施設に来た子供だ。俺たちにはイヴって名乗っていた。すぐに引取り手が現れていなくなったが……俺とスーの後を着いて回る、ただの子供だった」

「喋り方もあんなじゃないし、1年くらいは一緒に生活してたし!イヴは魔法を使えない子だった!」


ゼロさんとスー

二人は落ち込んだ様子だった。


知っている人が破壊者の最後の将軍だったなんて、、信じられないよね。


「ちなみに、そのノアってヤツは槍使いか?ギルの胸を貫いたのは槍だった」

「……ギル、大丈夫?」


レオンの言葉にアゲハも驚いていた。

途中から来たアゲハは知らないよね。


ギルバートさんは右胸に手をあてて「問題ない」って一言答えた。



「ノア将軍は魔法が強力だから自らの武器で戦う事はしないそうだ。だから、私も武器は知らない。その槍は、、恐らく魔法で作ったモノだろう」


私の場合は魔法が闇だから

闇を凝縮させて何か武器を作れなくはないだろうけど……


絶対に無理だな。

シンクロの消耗が激しすぎて、すぐに何もできなくなると思う。



創造って魔法がなんでも作れるとは言っても


普通に自分の武器で戦う方がいいんじゃないかな?って思っちゃう。



「……どこまで作り出せるんだろうね?それによってはかなり厄介そうだね」


アゲハの言葉に全員が頷いていたけど


そんな中で一番辛そうな顔をしていたのはアゲハ自身だった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

転生獣医師、テイマースキルが覚醒したので戦わずしてモンスターを仲間にして世界平和を目指します

burazu
ファンタジー
子供の頃より動物が好きで動物に好かれる性質を持つ獣医師西田浩司は過労がたたり命を落とし異世界で新たにボールト王国クッキ領主の嫡男ニック・テリナンとして性を受ける。 ボールト王国は近隣諸国との緊張状態、そしてモンスターの脅威にさらされるがニックはテイマースキルが覚醒しモンスターの凶暴性を打ち消し難を逃れる。 モンスターの凶暴性を打ち消せるスキルを活かしつつ近隣諸国との緊張を緩和する為にニックはモンスターと人間両方の仲間と共に奮闘する。 この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも連載しています。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

ヤンキーVS魔法少女

平良野アロウ
ファンタジー
<1/23更新の130話までは毎日更新、1/30更新の131話以降は隔週日曜日更新に変わります> 最強無敗の不良男子高校生である最強寺拳凰は、ある日公園で戦う二人の魔法少女と出会う。 強敵との戦いに飢えていた拳凰は魔法少女の人智を超えた強さに感銘を受け戦いを挑むが、全く相手にされることなくあっという間に倒されてしまった。 それから八ヶ月後、山篭りの修行を終えた拳凰は、再び魔法少女と邂逅。 妖精界と呼ばれる異世界の者達が人間界の少女を使って行う祭り「魔法少女バトル」。その参加者である魔法少女達に、拳凰は次々と戦いを挑む。 そして魔法少女バトルの裏で巻き起こる陰謀が、拳凰の運命を大きく変えてゆく。

処理中です...