上 下
87 / 342
CASE5 武器と魔法

29

しおりを挟む
治療が終わって服を着る前に、前に奴隷の証があった所を見せてくれた。

何があったか分からないくらい焼けただれた跡だったけど、だけどアゲハは嬉しそうだった。


「エドガーが破壊者への潜入をやめたら自分の左腕にある破壊者の証を自分で焼き消すんだって。そうしたら俺とお揃いだって、言ってくれたんだ」

ちょっと嬉しそうに言うアゲハの後ろで、二人が険しい顔をしていた。

エドガーの右腕を、考えているんだろうね。


「さぁ二人共もう少し寝ろ」

「ご飯食べるのは全員でのルール…」

「そんなのゼロがアイリーンに伝えてくれる。朝飯抜いてもいいからお前はもう少し寝ていろ」

ぐいっとベッドに押し込まれたアゲハは素直に潜り込んだから……やっぱりまだ眠たかったのかな?


「空も。一緒に寝ようよ」

断る理由もないから私もベッドに潜り込んだらやっぱりぎゅっと抱き締められた。

もう慣れたけど…やましい関係じゃないけど……いいのか?ゼロさんがいるのに。


「おやすみ、アゲハ」

「ん……おやすみ…」

すぐに規則正しい寝息が聞こえてきたから眠たかったんだね。

私もすぐに、再び眠りに落ちた、、






**********





起きたらお昼で、アゲハもギルバートさんも寝起きっぽいけど起きていた。


「着替えてご飯行こうよ。お腹すいた」

「昨日ほとんど食ってないからだろ?」

「今日は食べる!」

普通に戻ったアゲハの様子にホッとしてから慌てて部屋に戻って身支度を整えて

洗面所から出たらアゲハとギルバートさんが待っててくれていた。


「俺たちが一緒にいたって遅れたって、ギルがいたら誰もなにも言わないよ?」

「なにそのパワハラ的な圧力は……」

「だってギルがリーダーだもん。部下はリーダーのイエスマンだよ?」

「ブラック企業みたいなんだけど…」

とりあえず、ギルバートさんがいたら全て解決らしい。

……いいのか、それで。


でもそんなギルバートさん、昨夜はアゲハの部屋のソファで寝ていたんだって。

二人掛けのソファだから小さいのに……問題ないって言っていたけどアクビしてた。

ギルバートさんの方があまり寝てないのかもね。



リビングのドアを開けると全員が揃っていたけど……ギルバートさんを見て誰もなにも言わないし……。


「俺が空とアゲハを捕まえて話し込んでしまった。遅れてすまない」

ギルバートさんが謝ればザワッとなって誰からも文句は上がらなかった。


「あのさぁ、」

昼食を食べてみんなが談笑している中、ゼロさんの声が響いた。

誰に向かって声を掛けたか分からなくて私とかギルバートさんは顔をあげた。


「だから、おい!アゲハ!」

「……え?俺??」

顔を上げていなかったアゲハだったけど、名前を呼ばれたら勢いよく顔をあげた。

「その、、、この間は………悪かった」


バツが悪そうに言ってから「クソッ」って言って頭をかいていた。

謝った?

ゼロさんがアゲハに?


「俺もイライラして受け流せなかったから気にしないでよ」

「別に……お前が何者だろうとどーでもいいと思ってる……」

すっごい気まずそうに言う姿を見ていると、何となくわかる。

普段謝らないタイプの人間だって。

そんな人が謝っているんだね。


「分かったから、、もう気にしないでよ。それよりはじめて名前呼ばれたけど…これから名前で呼んでよ!」

アゲハも気を使ってか話題をスルッと変えたけど……


「名前…なんて呼んでねーよ!」

ゼロさんが顔真っ赤なんですけど…、

もしかして、照れてるの?


「ゼロくん偉い~!ちゃんと謝ったぁ!!」

「スー黙れ!!」

スーに向かって立ち上がって怒鳴ったけど……

照れ隠しじゃん。

顔真っ赤だし、恥ずかしそうだもん。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

孤児が皇后陛下と呼ばれるまで

香月みまり
ファンタジー
母を亡くして天涯孤独となり、王都へ向かう苓。 目的のために王都へ向かう孤児の青年、周と陸 3人の出会いは世界を巻き込む波乱の序章だった。 「後宮の棘」のスピンオフですが、読んだことのない方でも楽しんでいただけるように書かせていただいております。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

特典付きの錬金術師は異世界で無双したい。

TEFt
ファンタジー
しがないボッチの高校生の元に届いた謎のメール。それは訳のわからないアンケートであった。内容は記載されている職業を選ぶこと。思いつきでついついクリックしてしまった彼に訪れたのは死。そこから、彼のSecond life が今始まる___。

最強の英雄は幼馴染を守りたい

なつめ猫
ファンタジー
 異世界に魔王を倒す勇者として間違えて召喚されてしまった桂木(かつらぎ)優斗(ゆうと)は、女神から力を渡される事もなく一般人として異世界アストリアに降り立つが、勇者召喚に失敗したリメイラール王国は、世界中からの糾弾に恐れ優斗を勇者として扱う事する。  そして勇者として戦うことを強要された優斗は、戦いの最中、自分と同じように巻き込まれて召喚されてきた幼馴染であり思い人の神楽坂(かぐらざか)都(みやこ)を目の前で、魔王軍四天王に殺されてしまい仇を取る為に、復讐を誓い長い年月をかけて戦う術を手に入れ魔王と黒幕である女神を倒す事に成功するが、その直後、次元の狭間へと呑み込まれてしまい意識を取り戻した先は、自身が異世界に召喚される前の現代日本であった。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

虚弱高校生が世界最強となるまでの異世界武者修行日誌

力水
ファンタジー
 楠恭弥は優秀な兄の凍夜、お転婆だが体が弱い妹の沙耶、寡黙な父の利徳と何気ない日常を送ってきたが、兄の婚約者であり幼馴染の倖月朱花に裏切られ、兄は失踪し、父は心労で急死する。  妹の沙耶と共にひっそり暮そうとするが、倖月朱花の父、竜弦の戯れである条件を飲まされる。それは竜弦が理事長を務める高校で卒業までに首席をとること。  倖月家は世界でも有数の財閥であり、日本では圧倒的な権勢を誇る。沙耶の将来の件まで仄めかされれば断ることなどできようもない。  こうして学園生活が始まるが日常的に生徒、教師から過激ないびりにあう。  ついに《体術》の実習の参加の拒否を宣告され途方に暮れていたところ、自宅の地下にある門を発見する。その門は異世界アリウスと地球とをつなぐ門だった。  恭弥はこの異世界アリウスで鍛錬することを決意し冒険の門をくぐる。    主人公は高い技術の地球と資源の豊富な異世界アリウスを往来し力と資本を蓄えて世界一を目指します。  不幸のどん底にある人達を仲間に引き入れて世界でも最強クラスの存在にしたり、会社を立ち上げて地球で荒稼ぎしたりする内政パートが結構出てきます。ハーレム話も大好きなので頑張って書きたいと思います。また最強タグはマジなので嫌いな人はご注意を!  書籍化のため1~19話に該当する箇所は試し読みに差し換えております。ご了承いただければ幸いです。  一人でも読んでいただければ嬉しいです。

処理中です...