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CASE5 武器と魔法

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それから、二人で抱き締めあうような体勢で寝たけど

かれこれ5回は、うなされて起きている。

時間にして1時間もしてないんじゃないかな?



寝たのを確認して私がウトウトしだしたらうなされて

起こしたら回を重ねる毎にひどく不安定になっていくから

私は、どうしたらいい?

どうしたら、、アゲハは少しでも楽になれる?


「もう、いやだっ、、!もうっ、、もう、、」

ガタガタ震えながら涙をボロボロ溢していて
声だって震えているし、顔も苦しそうに歪んでる。


私が背中を触ったら大声で「やめろ」って言われてしまって。

私、傍にいるしか、本当にできない。。。


本当にもう、、自分が嫌だよ。

何も、できないから……。





「毎日こんな状態なのか?」

物音をたてずに人がベッドサイドに立っていた。

その人が抑揚のない声で発した言葉で。


顔を上げたらそこにいたのはギルバートさん。

かなり険しい顔をして、ベッドにいる私とアゲハを見下ろしていた。


「…昨日は知らないけど、、、私がここに来た日と翌日は……ここまで酷くもないけど……」


私の声のトーンは普通くらいなのに、それでもアゲハは気づいていない。


「話には多少聞いていたが…」

そう言ったギルバートさんがアゲハの背中に手を添えたら、やっぱりアゲハは「やめろ」って、、さっきより強く叫んだ。


「やめねぇよ。ったく、言えよ、ちゃんと」

背中を擦られてビクッと肩が震えて、ゆらっと顔をあげて誰であるかが分かったみたい。


「ギル……かえってよ、、へいき、だから、、、」

涙でぐしゃぐしゃの顔でなんで平気なんて言えるの?

辛いなら辛いって、言ってもいいのに。


「アゲハの平気はアテになんねぇよ」

反対の手で涙を吹いて

じっと顔を見ながら言葉を続けた。


「昨日…もう一昨日か…は、悪かった……きちんと話を…」

「やめろっ!!!聞きたくないっ!!!」


今までで一番大きな声で叫んで

両手で耳を塞いで下を向いて震えていた。


あぁ、そうか。

あの時の事もショックで、触れたくない話なんだ。


だけど、気づいていないのかな?

『悪かった』って、そう言ったよ?


「あー……もう、、こうなるよな……だから、悪かったって」

ギルバートさんはアゲハの頭をポンポンと撫でているけど、だけど全然顔をあげようとしなくて。

ずっと、ずーっと、そのまま。


みんな無言の中、たまに鼻を啜る音が響いていて。



しばらくしたら、アゲハの両手がダラッと落ちて、手で顔を覆った。


「ごめん……もう、いいから、、空も、もう…平気……だから、」

一人になりたいって、そういう意味?

平気なんて無理のある嘘を、鵜呑みにする私とギルバートさんだと思ったの?


ギルバートさんがアゲハの頭を撫でていた手で右腕を掴んだ。


「いいか、聞け。アゲハは新人類だ。人じゃない」

それは、アゲハにとって残酷な言葉。

肩がビクッと震えて、顔を覆った両手もガクガク震えていた。


「だけど、アゲハは新人類だが化け物ではない。お前はお前だ。俺は得体の知れない存在を自分の片腕にはしない」

じっとアゲハから目をそらさないで話を続けた。

「アゲハだから、俺の隣に選んだ。新人類だという事実は事実だが、俺はアゲハを人だと思う。俺がそう思っているのは、知っていてほしい」

顔をあげてギルバートさんを見上げて

涙を、ギルバートさんが拭いた。


「俺は決して出来た人間じゃない。あの日もつい、言い過ぎた。悪かったな、お前を追いつめるつもりはなかった」

アゲハが首を横に振ったのを見て、ギルバートさんの表情が和らいだ。

ってか笑った?

こんな表情、はじめて見たかも。


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