84 / 342
CASE5 武器と魔法
26
しおりを挟む
それから、二人で抱き締めあうような体勢で寝たけど
かれこれ5回は、うなされて起きている。
時間にして1時間もしてないんじゃないかな?
寝たのを確認して私がウトウトしだしたらうなされて
起こしたら回を重ねる毎にひどく不安定になっていくから
私は、どうしたらいい?
どうしたら、、アゲハは少しでも楽になれる?
「もう、いやだっ、、!もうっ、、もう、、」
ガタガタ震えながら涙をボロボロ溢していて
声だって震えているし、顔も苦しそうに歪んでる。
私が背中を触ったら大声で「やめろ」って言われてしまって。
私、傍にいるしか、本当にできない。。。
本当にもう、、自分が嫌だよ。
何も、できないから……。
「毎日こんな状態なのか?」
物音をたてずに人がベッドサイドに立っていた。
その人が抑揚のない声で発した言葉で。
顔を上げたらそこにいたのはギルバートさん。
かなり険しい顔をして、ベッドにいる私とアゲハを見下ろしていた。
「…昨日は知らないけど、、、私がここに来た日と翌日は……ここまで酷くもないけど……」
私の声のトーンは普通くらいなのに、それでもアゲハは気づいていない。
「話には多少聞いていたが…」
そう言ったギルバートさんがアゲハの背中に手を添えたら、やっぱりアゲハは「やめろ」って、、さっきより強く叫んだ。
「やめねぇよ。ったく、言えよ、ちゃんと」
背中を擦られてビクッと肩が震えて、ゆらっと顔をあげて誰であるかが分かったみたい。
「ギル……かえってよ、、へいき、だから、、、」
涙でぐしゃぐしゃの顔でなんで平気なんて言えるの?
辛いなら辛いって、言ってもいいのに。
「アゲハの平気はアテになんねぇよ」
反対の手で涙を吹いて
じっと顔を見ながら言葉を続けた。
「昨日…もう一昨日か…は、悪かった……きちんと話を…」
「やめろっ!!!聞きたくないっ!!!」
今までで一番大きな声で叫んで
両手で耳を塞いで下を向いて震えていた。
あぁ、そうか。
あの時の事もショックで、触れたくない話なんだ。
だけど、気づいていないのかな?
『悪かった』って、そう言ったよ?
「あー……もう、、こうなるよな……だから、悪かったって」
ギルバートさんはアゲハの頭をポンポンと撫でているけど、だけど全然顔をあげようとしなくて。
ずっと、ずーっと、そのまま。
みんな無言の中、たまに鼻を啜る音が響いていて。
しばらくしたら、アゲハの両手がダラッと落ちて、手で顔を覆った。
「ごめん……もう、いいから、、空も、もう…平気……だから、」
一人になりたいって、そういう意味?
平気なんて無理のある嘘を、鵜呑みにする私とギルバートさんだと思ったの?
ギルバートさんがアゲハの頭を撫でていた手で右腕を掴んだ。
「いいか、聞け。アゲハは新人類だ。人じゃない」
それは、アゲハにとって残酷な言葉。
肩がビクッと震えて、顔を覆った両手もガクガク震えていた。
「だけど、アゲハは新人類だが化け物ではない。お前はお前だ。俺は得体の知れない存在を自分の片腕にはしない」
じっとアゲハから目をそらさないで話を続けた。
「アゲハだから、俺の隣に選んだ。新人類だという事実は事実だが、俺はアゲハを人だと思う。俺がそう思っているのは、知っていてほしい」
顔をあげてギルバートさんを見上げて
涙を、ギルバートさんが拭いた。
「俺は決して出来た人間じゃない。あの日もつい、言い過ぎた。悪かったな、お前を追いつめるつもりはなかった」
アゲハが首を横に振ったのを見て、ギルバートさんの表情が和らいだ。
ってか笑った?
こんな表情、はじめて見たかも。
かれこれ5回は、うなされて起きている。
時間にして1時間もしてないんじゃないかな?
寝たのを確認して私がウトウトしだしたらうなされて
起こしたら回を重ねる毎にひどく不安定になっていくから
私は、どうしたらいい?
どうしたら、、アゲハは少しでも楽になれる?
「もう、いやだっ、、!もうっ、、もう、、」
ガタガタ震えながら涙をボロボロ溢していて
声だって震えているし、顔も苦しそうに歪んでる。
私が背中を触ったら大声で「やめろ」って言われてしまって。
私、傍にいるしか、本当にできない。。。
本当にもう、、自分が嫌だよ。
何も、できないから……。
「毎日こんな状態なのか?」
物音をたてずに人がベッドサイドに立っていた。
その人が抑揚のない声で発した言葉で。
顔を上げたらそこにいたのはギルバートさん。
かなり険しい顔をして、ベッドにいる私とアゲハを見下ろしていた。
「…昨日は知らないけど、、、私がここに来た日と翌日は……ここまで酷くもないけど……」
私の声のトーンは普通くらいなのに、それでもアゲハは気づいていない。
「話には多少聞いていたが…」
そう言ったギルバートさんがアゲハの背中に手を添えたら、やっぱりアゲハは「やめろ」って、、さっきより強く叫んだ。
「やめねぇよ。ったく、言えよ、ちゃんと」
背中を擦られてビクッと肩が震えて、ゆらっと顔をあげて誰であるかが分かったみたい。
「ギル……かえってよ、、へいき、だから、、、」
涙でぐしゃぐしゃの顔でなんで平気なんて言えるの?
辛いなら辛いって、言ってもいいのに。
「アゲハの平気はアテになんねぇよ」
反対の手で涙を吹いて
じっと顔を見ながら言葉を続けた。
「昨日…もう一昨日か…は、悪かった……きちんと話を…」
「やめろっ!!!聞きたくないっ!!!」
今までで一番大きな声で叫んで
両手で耳を塞いで下を向いて震えていた。
あぁ、そうか。
あの時の事もショックで、触れたくない話なんだ。
だけど、気づいていないのかな?
『悪かった』って、そう言ったよ?
「あー……もう、、こうなるよな……だから、悪かったって」
ギルバートさんはアゲハの頭をポンポンと撫でているけど、だけど全然顔をあげようとしなくて。
ずっと、ずーっと、そのまま。
みんな無言の中、たまに鼻を啜る音が響いていて。
しばらくしたら、アゲハの両手がダラッと落ちて、手で顔を覆った。
「ごめん……もう、いいから、、空も、もう…平気……だから、」
一人になりたいって、そういう意味?
平気なんて無理のある嘘を、鵜呑みにする私とギルバートさんだと思ったの?
ギルバートさんがアゲハの頭を撫でていた手で右腕を掴んだ。
「いいか、聞け。アゲハは新人類だ。人じゃない」
それは、アゲハにとって残酷な言葉。
肩がビクッと震えて、顔を覆った両手もガクガク震えていた。
「だけど、アゲハは新人類だが化け物ではない。お前はお前だ。俺は得体の知れない存在を自分の片腕にはしない」
じっとアゲハから目をそらさないで話を続けた。
「アゲハだから、俺の隣に選んだ。新人類だという事実は事実だが、俺はアゲハを人だと思う。俺がそう思っているのは、知っていてほしい」
顔をあげてギルバートさんを見上げて
涙を、ギルバートさんが拭いた。
「俺は決して出来た人間じゃない。あの日もつい、言い過ぎた。悪かったな、お前を追いつめるつもりはなかった」
アゲハが首を横に振ったのを見て、ギルバートさんの表情が和らいだ。
ってか笑った?
こんな表情、はじめて見たかも。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ヤンキーVS魔法少女
平良野アロウ
ファンタジー
<1/23更新の130話までは毎日更新、1/30更新の131話以降は隔週日曜日更新に変わります>
最強無敗の不良男子高校生である最強寺拳凰は、ある日公園で戦う二人の魔法少女と出会う。
強敵との戦いに飢えていた拳凰は魔法少女の人智を超えた強さに感銘を受け戦いを挑むが、全く相手にされることなくあっという間に倒されてしまった。
それから八ヶ月後、山篭りの修行を終えた拳凰は、再び魔法少女と邂逅。
妖精界と呼ばれる異世界の者達が人間界の少女を使って行う祭り「魔法少女バトル」。その参加者である魔法少女達に、拳凰は次々と戦いを挑む。
そして魔法少女バトルの裏で巻き起こる陰謀が、拳凰の運命を大きく変えてゆく。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
聖剣の光Ⅰ(完結)
まさきち
ファンタジー
昔、魔王を倒し世界を救った勇者がいた。
魔王の復活する日の為に、光の精霊から不死の能力を授かった勇者。
でも光の精霊が不老の能力を授け忘れていた。
時は経ち、勇者の存在も人々から忘れ去られた頃…
一人の男が立ち上がった。
その男は勇者レイス。
不死の為に死なないが、じじいにはなっていた。
今、じじい勇者の冒険が始まる。
※戦闘描写がある為、年齢の指定をかけてあります。
※十何年も前にRPGツクール2003で自作したRPG(黒歴史)を元にしています。
流れを整えたり言い回しを調整したりしています。
※何かにつけて素人ですので、何かにつけて多めに見て下さい。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる