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CASE5 武器と魔法
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リビングを出てアゲハの部屋に向かう途中
階段の真ん中に座るスーがいて、私に気づいて勢いよく立ち上がった。
さっきみたいな雰囲気じゃない、いつものスーだ。
「ソラちゃーん!さっきはビックリしたよね?ごめーん!」
階段から飛び降りながらこっちに来るからちょっと怖い!
「ゼロくんたち酷いよね!結局口先だけなんだね!見損なったよ!!」
私も同じこと、思ったよね。
「でね!お願いがあるの!」
「お願い?」
「うん!アゲくんに『スーはアゲくんの味方だよ』って伝えてほしいの!」
……はい?
「いや、自分で伝えたら?」
「ダメなの!だって部屋に入れてもらえなかった!『疲れてるから早く休みたい』って言われて…絶対ウソだよね」
「……ウソ、だねぇ」
今日話をしようって言ってたもんね。
その約束を忘れるとは思えない。
「ソラちゃんはアゲくんと仲良しだし?だから話聞いてくれると思うんだ~。ダメかな?」
「いいけど……スーはどうして怒ったの?」
スーはキョトンとして首を捻った。
「え?だってアゲくんが何を一番気にしてるかなんて、見てれば分かるじゃん。仲間なんだから。それに関してイジメたなら許せないでしょ。しかもゼロくんが関わるなら尚更」
「ゼロさんとスーって……?」
私の質問にスーはケラケラ笑ってた。
よく聞かれるのかな?
「ソラちゃんとアゲくんと同じようなものだよ?私の場合は同じ施設にいた家族のような存在」
「スー、苦労してそうだね。ゼロさんと家族とか…」
私の言葉にスーが爆笑してて
私も一緒になって笑った。
そういえば、あれから久しぶりに笑ったかも。
笑ったら少し気持ちが軽くなった気がした。
スーのおかげだね。
**********
部屋をノックして名前を言ったらあっさりと「どうぞ」って言われた。
スーを断ったのは、やっぱりわざと?
部屋に入るとソファに座ってお茶を用意していた。
「隣、いいの?」
「さすがに床に座れとは言わないよ」
二人掛けのソファだから並んで座るとちょっと狭い。
渡されたお茶を受け取って一口飲んだけど、アゲハが好きなお茶とは味が違う。
寝る前だから目が覚めないやつなのかな?
「さっきスーの笑い声が聞こえた。何話してたの?」
あ、聞こえていたんだ。
スーの笑い声、大きかったもんね。
「色々。スーからの伝言で、『スーはアゲくんの味方だよ』だって」
「……俺がいなくなってから何があったか想像ついたよ」
ふぅって息を吐いて、それから顔をあげた。
「私、聞いていいのかな?」
「何から聞きたい?」
私にはいつもみたいに優しい声で話してくれる。
さっきの様子が、嘘みたい。
「今日の話から……私は、アゲハの弱点とか…色々。何を話していたのかな?とか」
「うん、気になるよね……」
しばらく黙って、それから口を開いた。
「今日は今までの数々の行動を叱られててね。で、俺は空たちが絡むと無理をするし、空に甘えて依存してるし、特別扱いしている、と言われてね。まー、毎日夜に一緒だからそう言われても反論できないけど。だから勘違いしてる人もいる」
勘違い……は、夜の営み的な方への勘違い……だよな?
そう勘違いしてそうな人は二人だな。確実に。
「そんな事だから弱くなるみたいな話になって、空に何かあれば俺がダメになるだろうって。だから空が俺の弱点って話をしてた」
それは、私も言える事だけどなぁ、、、
アゲハがいない世界が駄目でこっち来たんだし、、、
「で、そんな会話をしていたからイラついてて、、、ゼロの言葉を流せなかった。冗談だとしても…流すべきだと分かってたけど……」
「新人類だって言われた事?」
そう聞いたら頷いた。
「ギルの言葉がムカついたから……俺が聞いて……まさか誰も違うって言わないなんて思わなくて、、、かなりショックだった。他の誰でもない、あの四人には……俺は人だって、、、言われたかった」
アゲハの気持ちを考えると信頼してる人たちから言われたかった言葉を貰えなかった事が
なによりも辛いんだろうね。
今のアゲハは、もうボロボロだね。
どうしたら、いいのかな?
私は、どうしたらいい?
階段の真ん中に座るスーがいて、私に気づいて勢いよく立ち上がった。
さっきみたいな雰囲気じゃない、いつものスーだ。
「ソラちゃーん!さっきはビックリしたよね?ごめーん!」
階段から飛び降りながらこっちに来るからちょっと怖い!
「ゼロくんたち酷いよね!結局口先だけなんだね!見損なったよ!!」
私も同じこと、思ったよね。
「でね!お願いがあるの!」
「お願い?」
「うん!アゲくんに『スーはアゲくんの味方だよ』って伝えてほしいの!」
……はい?
「いや、自分で伝えたら?」
「ダメなの!だって部屋に入れてもらえなかった!『疲れてるから早く休みたい』って言われて…絶対ウソだよね」
「……ウソ、だねぇ」
今日話をしようって言ってたもんね。
その約束を忘れるとは思えない。
「ソラちゃんはアゲくんと仲良しだし?だから話聞いてくれると思うんだ~。ダメかな?」
「いいけど……スーはどうして怒ったの?」
スーはキョトンとして首を捻った。
「え?だってアゲくんが何を一番気にしてるかなんて、見てれば分かるじゃん。仲間なんだから。それに関してイジメたなら許せないでしょ。しかもゼロくんが関わるなら尚更」
「ゼロさんとスーって……?」
私の質問にスーはケラケラ笑ってた。
よく聞かれるのかな?
「ソラちゃんとアゲくんと同じようなものだよ?私の場合は同じ施設にいた家族のような存在」
「スー、苦労してそうだね。ゼロさんと家族とか…」
私の言葉にスーが爆笑してて
私も一緒になって笑った。
そういえば、あれから久しぶりに笑ったかも。
笑ったら少し気持ちが軽くなった気がした。
スーのおかげだね。
**********
部屋をノックして名前を言ったらあっさりと「どうぞ」って言われた。
スーを断ったのは、やっぱりわざと?
部屋に入るとソファに座ってお茶を用意していた。
「隣、いいの?」
「さすがに床に座れとは言わないよ」
二人掛けのソファだから並んで座るとちょっと狭い。
渡されたお茶を受け取って一口飲んだけど、アゲハが好きなお茶とは味が違う。
寝る前だから目が覚めないやつなのかな?
「さっきスーの笑い声が聞こえた。何話してたの?」
あ、聞こえていたんだ。
スーの笑い声、大きかったもんね。
「色々。スーからの伝言で、『スーはアゲくんの味方だよ』だって」
「……俺がいなくなってから何があったか想像ついたよ」
ふぅって息を吐いて、それから顔をあげた。
「私、聞いていいのかな?」
「何から聞きたい?」
私にはいつもみたいに優しい声で話してくれる。
さっきの様子が、嘘みたい。
「今日の話から……私は、アゲハの弱点とか…色々。何を話していたのかな?とか」
「うん、気になるよね……」
しばらく黙って、それから口を開いた。
「今日は今までの数々の行動を叱られててね。で、俺は空たちが絡むと無理をするし、空に甘えて依存してるし、特別扱いしている、と言われてね。まー、毎日夜に一緒だからそう言われても反論できないけど。だから勘違いしてる人もいる」
勘違い……は、夜の営み的な方への勘違い……だよな?
そう勘違いしてそうな人は二人だな。確実に。
「そんな事だから弱くなるみたいな話になって、空に何かあれば俺がダメになるだろうって。だから空が俺の弱点って話をしてた」
それは、私も言える事だけどなぁ、、、
アゲハがいない世界が駄目でこっち来たんだし、、、
「で、そんな会話をしていたからイラついてて、、、ゼロの言葉を流せなかった。冗談だとしても…流すべきだと分かってたけど……」
「新人類だって言われた事?」
そう聞いたら頷いた。
「ギルの言葉がムカついたから……俺が聞いて……まさか誰も違うって言わないなんて思わなくて、、、かなりショックだった。他の誰でもない、あの四人には……俺は人だって、、、言われたかった」
アゲハの気持ちを考えると信頼してる人たちから言われたかった言葉を貰えなかった事が
なによりも辛いんだろうね。
今のアゲハは、もうボロボロだね。
どうしたら、いいのかな?
私は、どうしたらいい?
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