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CASE5 武器と魔法
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朝食を食べ終えて三人で練習場に行ったら、アゲハとレオンが戦っていた。
模擬戦ってヤツかな?
アゲハは大鎌を持っているし…普通にシンクロ使ってるじゃん。
レオンの武器は大剣で、武器の長さが全然違うけど、お互いに攻めてるっていうのは素人目で見ても分かった。
アゲハは持つ位置を変えて大鎌を操っているし、レオンも大鎌を打ち返している。
アゲハの武器は大鎌の柄の先端に三日月型の刃がついているから、そっち側で刺そうともしているし……。
「お互い本気なのかな?」
桃華がそう言いたくなったくらい、私の目にもそう映った。
本気で、倒そうとしているのかな?
「うわ、サイアク」
「動き悪ーーい!」
振り向くとゼロさんとスーがアゲハたちを見てそう言っていた。
「アゲくん、まるでダメだね。カンと体力を取り戻すの大変そ~!」
「寝てばっかだったからな」
私の感想とは違って、スーたちの評価は厳しかった。
スーはいつもの様子だけど、ゼロさんは眉間にシワが深めに入っていた。
そんなに、駄目な動きなの?
アゲハたちを見ると、レオンが大きく振った大剣を大鎌で受け止めきれずにアゲハが後ろに飛ばされた。
あっ!
って思った瞬間、
アゲハの真後ろに土の壁ができて、そこに当たって止まった。
当たったけど……あんまり痛そうな音はしていなかった。
「あーっ!!全然ダメだ!!めっちゃ悔しい!!!」
「病み上がりにしちゃマシな方だったぜ?」
座っているアゲハに向かってレオンが手を差しのべたら土の壁と大鎌が消えた。
その手を掴んで立ち上がって、服の汚れを叩いて落としていると、私たちに気づいたみたい。
手招きして呼ばれたから歩き出したら涼くんが着いてきてなかった。
「どうしたの?」
「別に……」
そう言った涼くんの顔は悔しさなのか怒りなのか、そんな表情でアゲハたちがいる方を見ていた。
「アイツと俺、同じ異界人で俺の方が健康なのに……差を見せつけられたな」
「クソッ!」って言って私を抜かして先に行ってしまった。
「じゃあシンクロの練習しよう。今日は魔法ね。二人がどれくらい使えるか見たいな」
水を飲みながら首にタオルを巻いている姿がすごい新鮮だった。
体育の授業はいつも見学だったから、タオルを持っていた記憶なんて皆無。
だから、なんか変な感じ。
「さっき、思いっきり背中ぶつけたように見えたけど平気?」
「うん、そこは計算の上でやったから平気。土は固くないし風も使ったしね」
シンクロは極力控えろって言われていたよね?
チラッとゼロさんを見たらより一層険しい顔になっていたから、、、見なかったことにしようって思って視線をそらした。
「じゃあ今日も桃華さんからお願いしまーす」
私たちの前にアゲハがいて
アゲハに呼ばれた桃華はすぐに水を出した。
でも、手のひらに水がフワフワ浮いているだけで、それからどうしたらいいか困っていた。
「アゲハ先生、どうしたらいいですか?」
「なんか大技見せてよ」
「大技!?」
桃華はちょっと悩んで、それから親指を立てて人差し指以外の指を握りこんで手でピストルの形を作った。
人差し指の先には小さな水の玉。
「はいっ!ドーン!」
桃華の明るい声に似合わない感じで
水の玉が高速で真っ直ぐに飛んでいった。
アゲハが慌てて振り返ると、壁には小さな穴が開いていた。
「マジか、、…想像以上」
アゲハが壁を見に行って、驚いた様子で桃華の開けた穴を触っていた。
「ほら!ピストル打てた感じじゃない?うわぁ!成功した~っ!!」
桃華はすっごい喜んでいるけど、私は驚いて言葉も出ないよ。
いつの間にできるようになったの?
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