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CASE3 帰還

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タイヨウさんとの約束の日。


タイヨウさんに連れていかれた先は……。


「なつかしーっ!!」

「だろ?」


小学生の頃に来た、遊園地。

虹野家と井黒家総出で一度だけ来た、地元の小さな遊園地。


「パーッと遊ぼう!まずはジェットコースター!」


タイヨウさんに腕をひかれて中に入った。

小学生の時以来だけど、当時と何も変わらない園内。




「マジで無理!」

「いーや!行きます!」


ジェットコースターにひたすら乗って、それからお化け屋敷。


あの時もギャーギャー騒ぎながらタイヨウさんと園内を走り回ったよね。


お父さんが必死に私たちを追いかけてたね。


「アイス食べたーい!」

「やっぱバニラだよな!」


お財布、持ってきたけどね。

結局、タイヨウさんの奢り。

美味。美味。

楽しい。楽しい。

久々に私がはしゃいでるって感じだし。




「最後にアレ、乗るか」

夕方、タイヨウさんが指差したのは観覧車。

「ぁっ、、、うん」

観覧車。

観覧車だ。



二人で乗り込むと、急にタイヨウさんが黙って。

この場所とこの沈黙の意味、なんとなく理解。


「あの……さぁ、「ねえ!覚えてる!?」」


タイヨウさんの言葉、遮っちゃった。

悪いなぁって思うけど、タイヨウさんのこれからの言葉を、聞くわけにはいかない。


「昔、私とタイヨウさんとアゲハとさ。観覧車、乗ったよね?」

「あ……あぁ、覚えてるよ」


突然何?って感じだよね。

空気的には分かるだろ?って感じなのにね。


「私さ、あの日タイヨウさんと色々はしゃぎまくって楽しくって。帰り際にアゲハが『三人で観覧車に乗りたい』って言っておばさんたち困っちゃってたね」

「あー……そうだった。テンション上がりすぎて心拍上がるのを心配して母さんも行こうとしたのに頑なに三人、ってな」


観覧車はどんどん上に上がってもうすぐ頂上。


「私ね、気づいてなかったの。アゲハが乗れるアトラクションって観覧車くらいって事。三人で一緒に何かしたかった気持ち、気づかなかった」


あの時見たのと、同じ夜景。

アゲハは本当に嬉しそうに、ずっと景色を眺めていたね。


「どんな気持ちでアゲハは私たちを見てたのかな?とか、本当に楽しかったのかな?とか考えたら……あれからこの遊園地、来れなかったんだ」


タイヨウさんを見て、笑った。


「やっぱ私、アゲハがいない世界は楽しくない」


だから、決めたの。

私は、ユートピアに戻るって。

あのカードがあればまた帰れるはず。





**********




「今日は楽しかったです!ありがとうございました!!」


さっき、楽しくないと言った私の矛盾した発言も、さらりと流してくれてくれた。

同じマンションだから部屋の前まで送ってくれたけど、部屋には入らないでスマホを取り出した。

ヤツは3コール以内で絶対に出る自信がある。


1コール…

2コール……

あ、出た。

「もしもし、桃華?今から出れない?」

『おっけー!』

めっちゃ軽いノリで快諾された。

なんていうか、私との温度差すごいなぁ。



あともう一人。

「もしもし?今から会えるかな?」





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