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CASE3 帰還

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ニャンさんが居なくなってすぐにルーラが入ってきた。


「ニャン様はあぁ言ったけど!私はアンタを許さないから!!」


それだけ言ってまた部屋を飛び出した。


「……恨まれても仕方ないね」

そうタメ息混じりに言いながら、ベッドから起き上がった。

「都築さんと辛島とも話したいな。何でここにいるかとか気になるし」

断る理由はなくて、辛島くんと桃華を迎えに行った。

話したいって事を伝えたら若干辛島くんが嫌そうな顔をしたけど。



**********



「私がこの世界に来た理由?井黒くんが心配だったし、空も心配だったから!」

桃華がどや顔で言ってるけど、、、アゲハとの温度差~っ!!!

信じられない物を見てる顔で桃華を見てるし!!


「俺はまぁ……俺のせいだし……そんな感じ」

辛島くんは真横を向きながら答えてて……アゲハとの温度差~っ!!!

まぁそうだよねってアゲハの顔に書いてあるし!!




アゲハはニャンさんたち全員に頭を下げた。

それでした事が許される訳じゃないって分かるけど、だけど、謝罪をして。それから私たちの世界に帰るって話をした。

異界人である私たちはいない方がいいってニャンさんたちみんなが言ってたんだけど……


「で、一応聞くけど、帰り方分かってる?」

三人一斉に首を横に振った。

まだここに来て1ヶ月だし……地下からほとんど出てないし。


「すみません、地図ありますか?この辺りの……花将軍の城がある辺りまでの範囲がいいな」

「花将軍ってこの辺にいるの?」

「うん、だから俺がいたんじゃん」


さも当たり前だって様子でアゲハは答えたけどそれって色々と危険じゃない?

ここにいる人たちも、アゲハ自身も。


借りた地図を広げたけど、そもそも地図ってあるんだ……はじめて見たけど。

砂漠の中にポツンと書かれた城っぽい絵。


「この場所はここよ」

みんなの食事を主に作ってくれるレオナさんが指差した。

比較的花将軍の城に近い場所だった。

「ここから花将軍の城までは何日かかりますか?」

「徒歩でなら……3日くらいかしら?」

「……なら、だいたい2日くらいか」


アゲハがそう言って何も書かれていない所を指差した。


「異界に通じるゲートがここにある。ゲートにカードを通せば元の世界に帰れる。異界人がこの地域に現れる理由は、このゲートのせい。ゲートポイントはここ以外には救済者と破壊者のそれぞれの皇帝がいる場所だけ」

淡々と説明してるけど、なんでアゲハ知ってるの?

えっ、ちょっと意味分かんないけど。


「井黒くんソレ知ってるならさっさと帰れば良かったじゃーん!」

「あー、、、うん。花将軍からこの話を聞いた時はもう苦しくて動けない時でね。で、身体を治すって言われて核を埋め込まれた。だから、帰れなかったよ」

「あっ、ごめん……」

「大丈夫、気にしないで」

桃華はシュンとしたけどアゲハは気にしないでそのまま話を続けた。


「花将軍はここのゲートと異界人の管理者。異界人は殺すのが大原則。でも、何かの要因で生き残る人もいる。空たちみたいに。そういう人がゲートの存在を知れば、この世界を去るためにゲートを目指す。だからゲートに近づいた者は全て消される。花将軍はゲートじゃなくて自分の支配地域全域で自分の意に反する人を殺してたけど……」

「つまり、そのゲートから戻れる……けど、花将軍もやってくる?」

「確実にね。俺を逃がすとも思えないしなぁ……」



「ねぇ、アンタも帰るの?あんなにたくさん人を殺して。全部忘れて平和な世界で生きるっていうの?」

私たちの会話を止めたのは、ルーラの冷たい言葉だった。

「やめな、ルーラ。ニャン様の話を聞いただろ?彼に罪はない」

レオナさんが止めようとしたけど、ルーラは無視してアゲハに近づいた。

アゲハは逃げずにまっすぐルーラを見てる。

「なんで私を殺さなかったの?私だけ半端に攻撃してさ!なんでよっ!」

ルーラにとってのアゲハという人物を思えば、自我を取り戻したから帰るって許しがたい話だよね。

ルーラの気持ちを思うと私も止められない……複雑な気持ち。


「……キミを刺した時、一瞬だけ自我を取り戻したから……だから、殺さなかった」


「ごめんなさい」って言葉を最後に辛そうに言って、ルーラは何も答えなかった。

もちろん私も、桃華も辛島くんも。

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