物の怪なんでも相談所

由奈(YUNA)

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◇招かれざる客

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「えぇ、だって息子は東京に来ているのだもの」

「東京に……ねぇ、、、当時14歳の子供がねぇ、、、」

「悪い犬が、息子を唆したのです」


……悪い犬が14歳の息子を唆したって。。。

もうこれ、確定だろうね。

この客、客なんかじゃない。

目的は、健治さんと、、、



「……その、悪い犬というのが、、俺…って事か?」


「そう……さぁ!息子を返しなさい!!!」


叫び声を上げた女は本当の姿に変化して健治さんに噛みつこうとしていた。

健治さんは予想していたから簡単に避けたけど


そこにいたのは尾がフサフサした、狐。



そう、コイツは間違いなく



「……お母様」



僕の、母親。


クソみたいな毒親の典型。


コイツらが無理で俺は自分の意志で実家を逃げ出したワケで

健治さんはただ偶然、お金もなくて困っている僕を助けてくれたにすぎない。



「亮介、探したのよ。さぁ、帰りましょう」


笑顔で僕に手を差し伸べてくる母親


「待て待て。
亮介がどうしたいかが重要だろ?
亮介が家を出た理由くらい聞いたらどうだ?」


僕を心配してくれる健治さん



家を出た理由

それを話したところで、理解のある親なんかじゃない。



「理由は家で聞きます。
私たち親子の問題に他人が口を挟まないでくださる?」


親子の問題ってか

問題はアンタたちの方だろ!?


僕の方にジワジワと近づきながら僕を捕獲しようとする母親が怖くって


「僕は……帰らない!!!」



そう叫んで


手に持っていたコップを母親に向かって投げつけて



僕は、相談所から逃げ出した。

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